zardtribute3 2022年2月9日発売、SARD UNDERGROUNDの通算3作目となるZARDトリビュートアルバム。全12曲収録。初回限定盤にはライブ映像とメイキング動画を収録したDVDが付属(CDの収録内容は同一)。本レビューは通常盤となります。

 ZARDのトリビュートバンドとして四人組で活動をスタートしたSARD UNDERGROUND。これまで2作のZARDの楽曲をトリビュートしたカバーアルバムを発表する一方、前後してオリジナル楽曲もシングル単位でリリースし、昨年秋には初の全曲オリジナルアルバム発売と、徐々にオリジナル路線へとシフト…と思いきや、本作は約一年半ぶりのカバーアルバムへと回帰。なお、昨年の5月末にギタリストが脱退しているので、三人編成になってからの初のトリビュート作品でもあります。

 2019年9月の1st、2020年10月の2ndと、ZARDの主だったヒット曲はこれまでで既にかなり選曲されていることもあってか、本作は「この愛に泳ぎ疲れても」「愛が見えない」といったまだカバーしてなかったんだ、というヒット曲に加え、オリジナルアルバムのリードトラック的な「Today is another day」「I'm in love」、ベストに数回収録された「遠い日のNostalgia」、00年代の代表曲「夏を待つセイル(帆)のように」、坂井泉水没後のリメイクシングル「素直に言えなくて」等、前二作に比べると一般的な知名度はそこまでは…という楽曲が選ばれていますが、まあ3枚目にもなるとこのラインナップは妥当かな、と。なお、発売当時のインタビューによると、前作に続いてメンバーの意見も一部反映された選曲になっているようです。また、歌詞ブックレットの演奏クレジットはメンバー以外にはコーラスとサックスプレイヤーのみの表記で、明らかに生の演奏であるギタリストの名前は未記載。

 さて、そんな各楽曲のトリビュートっぷりはと言うと…今回も編曲はSARDの楽曲にほぼ皆勤状態のアレンジャー鶴澤夢人、そしてプロデューサーである長戸大幸の連名なのですが、冒頭から聴いてみると、オリジナルの編曲者である明石昌夫、葉山たけし、池田大介らのアレンジを見事なまでにトレースしているという、「これってほぼオリジナルのままじゃん…」というのが第一印象。まあそれが原曲へのトリビュートなりリスペクトなりを表しているのかもしれませんが、あまりにまんま過ぎて、ほぼ同じ演奏のものを焼き直しする必要があったのか…とちょっと疑問。
 そんな中、7曲目に登場するリードMVも制作された「運命のルーレット廻して」は、原曲から大きくアレンジを変更して演奏されており、これはコナン初期版、ZARDシングル版に続く第三のバージョンとしての存在感を感じさせる仕上がり。こういう「SARDでの新解釈」のものを聴きたかったので、何でこの曲だけ…?と思いましたが、「世界はきっと未来の中」「お・も・ひ・で」も「運命の〜」ほどではないものの部分的なアレンジを結構変更しており、プロデューサーとしては「オリジナルがZARD王道サウンドのものは忠実に再現、王道から外れて制作されていたZARD楽曲に関しては、王道に寄せたSARDバージョンとして新たにお届け」、という線引きがあるのかも。

 ボーカルを務める神野友亜の歌声は時々坂井泉水を想起させる部分もあり、ボーカリストとしての表現力の成長・進化も感じさせますが、その点を加味しても、一般向けよりもファン寄りの選曲(=ZARDのコアファンが興味を持ちやすい選曲)で特に前半の完コピ状態の楽曲を連発されるのは微妙。とはいえ楽曲自体に文句はないし、むしろ原曲に思い入れの薄い、SARDがきっかけでZARDの曲に興味を持った、というリスナーに向けては、SARDが奏でる名曲集としてお薦めできるアルバムかな、と思う1作でした。