bjjp 2021年12月22日発売、日本独自企画盤としてシリーズ化されているSONY所属の洋楽アーティストのシングルコレクションアルバム第10弾としてリリースされた、Blu-spec CD2仕様のCD2枚全39曲+MV集DVD1枚で構成されたビリー・ジョエルの3枚組ベストアルバム。

 2021年にソロデビュー50周年を迎えたビリー・ジョエルの久々のベストアルバムとなった本作。SONYの特設サイトの文言を引用すると、『日本でリリースされた全シングル曲と、これまでに発表された全てのミュージック・ビデオを網羅。更に、収録曲の当時の日本盤全シングル・ジャケット(ドーナツ盤/8cmCD盤)を、12CDジャケットサイズで忠実に復刻再現してブックレットに掲載した究極のコレクション』とのことで、歌詞・対訳に加えて楽曲の詳細な解説が掲載された80頁の1色刷りブックレットの他に、歴代のEP、8cmシングルのジャケットを1作品1頁ずつに掲載している56頁のフルカラーブックレットも付属する豪華な内容。
 なお、収録範囲は前述の記載では「全シングル曲」となっていますが、CD2枚ともに収録時間が80分近く、これ以上は1曲も収録できないという事情から(解説書にも言及あり)、収録範囲は1993年までの8cmシングルとなっており、一部のカバーシングルや1997年の「To Make You Feel My Love(心のままに)」、2007年の「All My Life」の12cmシングルは未収録。また、全曲2021年リマスターとなっており、基本的に収録音源は曲によっては曲の尺をエディットしたシングルバージョンになっていますが、例外としてマスターの関係で「You're Only Human(オンリー・ヒューマン)」等、アルバムバージョンで収録されている曲が数曲あることも解説書で語られています。

 ということで前置きが長くなりましたが(笑)CD本編の感想を。DISC 1は日本では1975年にリリースされた(米国では1973年)「Piano Man」から、1983年の「Uptown Girl」までの全20曲を収録。ブレイク曲「Just The Way You Are(素顔のままで)」、日本のみでシングルリリースされて大ヒットした「The Stranger」、その他「My Life」「Honesty」「Pressure」「Tell Her About It(あの娘にアタック)」等、彼の代表曲が次々と出てくる充実の内容。対するDISC 2は1983年の「Innocent Man」から、1993年の「Lullabye(眠りつく君へ)」までの全19曲を収録。ちょうどDISC 1と2で初ベスト「ビリー・ザ・ベスト」の境目辺りとなり、全米1位の「We Didn't Start The Fire(ハートにファイア)」等のヒット曲も出ているものの、DISC 1に比べると有名曲が少なくなり大御所化していく時代の内容。ただ個人的にはDISC 2の後半からリアルタイムでビリー・ジョエルを聴くようになった世代の筆者としては思い入れはこっちの方にあったりします。
 さて、全体を見渡してみると、彼の生み出す楽曲はジャンルが多彩。世間一般的なイメージのピアノ弾き語りを核とした曲ももちろん多いですが、ロックンロール路線の「You May Be Right(ガラスのニューヨーク)」、フォーク寄りの「Allentown」、アカペラの「The Longest Time」、ハードな面を見せた「I Go To Extreme(愛はイクストリーム)」、ゴスペルの要素も垣間見られる「The River Of Dreams」と、実に幅広い音楽性を持っていながら、マニアックな傾向に走らず「ビリー・ジョエル」のポピュラーミュージックとして成立させている点は特筆モノ。万人向けポップス…と書くと何だかマイナス的な印象を与えてしまいそうですが、筆者はそういったポップスを書き歌う彼のファンでもあるし、キャッチーなメロディーに癖のないボーカルで良くも悪くも間口が広く敷居が低く、洋楽というジャンルに足を踏み込むきっかけとしては最適なアーティストなんだな、と改めて思いました。

 DISC 3は日本初DVD化5曲を含むMV集DVD「MUSIC VIDEOS」。全42曲収録で収録時間は185分という驚愕(?)の長さ。彼のMV集は「ビリー・ザ・ヒッツ」収録曲を中心に2時間弱収録していた2002年発売のDVDが存在していましたが、本作はその超拡大版といった内容で、DISC 1、2には収録されなかったアルバム曲のMV、先述の未収録シングル「To Make You〜」のMVに加え、最新公開されたプロモーション用のアニメーションMV「Scenes From An Italian Restaurant(イタリアン・レストランで)」がラストに収められている、コンプリートMV集といった趣。
 歴代映像集ということで年を重ねてどんどん渋くなっていくビリー・ジョエル(だんだん貫禄がついてきたり、フサフサだった髪の毛が…)の姿の変遷を堪能?できます。映像の方向性としては、初期は通常のライブスタイルで歌唱も演奏も生のライブクリップ中心、80年代はロケやセットの中でカラフルな衣装で踊ったり演技したりするMTV的な演出、90年代になるとあくまで演奏をメインに据えながら+αで役者やオーディエンスを起用する、現代に通じるスタンダードなMV、という印象で時代の移り変わりを実感。まあ今観るとちょっと吹いちゃうような内容の珍品もありましたが、このボリュームで4,000円+税という価格ですし、コアなファンほどDISC 3目当てで購入するんじゃないかと(笑)。おそらく今後も新曲制作は期待できないのが残念ですが、50周年を祝うアイテムとしては大満足の大盤振る舞いな内容でした。