samuraiheart 2022年1月31日配信開始、TVアニメ「鎧伝サムライトルーパー」のオープニングテーマを森口、草尾両者がそれぞれにカバーした企画配信シングル。

 「鎧伝サムライトルーパー」は1988〜1989年に放映されたサンライズ制作のアニメ作品。登場人物達が伝承された鎧を身に纏って戦ういわゆるプロテクトヒーローもので、「聖闘士星矢」の和風版、と言えば分かりやすいでしょうか。物語後半から人気に(主に個々のキャラクターに)火が着き、TVシリーズ終了後も3本のOVAシリーズが1991年まで制作され、CDや書籍でも派生の外伝ドラマや小説等が展開される作品となっていました。今回の「サムライハート」はTVシリーズ後期のオープニングテーマ。森口博子は自身の6枚目のシングル曲としてオリジナルを歌っていたのでセルフカバー、作品の主人公・烈火のリョウ役を務めた声優・草尾毅はカバーと、若干立ち位置は異なりますが、両者ともに80年代末〜90年代初頭にこの曲を英語バージョン(森口)や歌詞違い(草尾)で一度カバーしたCDをリリースしている、という経歴があります。

 まずは森口博子の歌う「サムライハート 〜2022〜」。編曲は十川ともじが担当。原曲(編曲は戸塚修)の尺やキメのリフなどを忠実にリメイクして現代版に仕立て上げており、音色が全体的に若干派手になっていて、アニソン的なインパクトが増した印象。森口は近年のガンダムカバーアルバムで見せた表現力の増したボーカルで歌い上げていますが、アップテンポな曲ということもあり、情感を込めて…という歌い方ではなく、オリジナル準拠のパワフルな熱唱の中に、時折翳りの見える歌声を混ぜた歌唱に。
 そして草尾毅の「サムライハート 〜烈火〜」。こちらは作曲者でもある茂村泰彦が編曲・プロデュースを担当。茂村の起用は草尾の提案でもあったらしく、茂村のブログでは録音参加メンバーも明かされています。こちらは男性ボーカルということでキーも下げ、構成もサビの一部から始まるなど変更を施しつつ、ストレートなロック色を強めた新バージョン、という趣。草尾は放送当時は駆け出しのほぼ新人声優ながら歌唱力は既に高く、その後も多くのキャラソンや主演アニメの主題歌のみならず、本人名義でも音楽活動を続けてきたこともあり、今回も予想に違わない熱い歌唱を披露しています。正当進化系の森口、別アプローチ系の草尾と、どちらも甲乙つけ難い完成度だと思いました。

 最後に余談ですが、特に周年記念というわけでもないのに、本作といい、アクションフィギュアといい、御朱印帳といい、最近「サムライトルーパー」関連の商品が次々と発売されるのは結構不思議。何か今後新たな動きでもあるのでしょうか。個人的には放送当時にリリースされて以降、ほとんど顧みられることのなかったサントラ関係(TVシリーズ3枚、OVAシリーズ2枚)の再評価もお願いしたいところです。