
2021年10月のTM NETWORKの再起動宣言と共に、本格的に表舞台への復帰を表明した小室哲哉。本作のプレスリリースは11月、発売は12月と、avexが水面下で彼の正式復帰に合わせて企画した作品だと思われます。ミックスCDということで、収録曲を基本的に1コーラス程度の長さで繋ぐ構成。なおミキサーのクレジットに「DJ KOO with YUKEMURI DJs」とあり、DJ KOOはTRFのメンバー、YUKEMURI DJsは日本のポップミュージックを取り扱うDJ集団とのことで、両者のタッグで2022年1月にはavex関連のノンストップミックスを一斉配信するなどの活動実績があるようです。
選曲は特にアナウンスはされていませんが、小室の2018年の引退時にリリースされたレーベル越えの小室曲ベスト「TETSUYA KOMURO ARCHIVES」全2作、100曲の楽曲の中からのチョイス。曲順は若干の前後はあるものの、前半は作曲家としての出世作「My Revolution」(渡辺美里)や、「50/50」(中山美穂)「TOO SHY SHY BOY!」(観月ありさ)などアイドルに提供した曲が中心、中盤になると「I'm Proud」(華原朋美)「DEPARTURES」(globe)といったTKプロデュースの最大級のヒット作、後半はa-nation関連の楽曲、玉置浩二とコラボした「EDM TOKYO 2014」、ヒャダインとの「22世紀への架け橋」等のコラボ作品を置くなど時系列を意識した流れに。ラストの2曲は「Get Wild」(TM NETWORK)「YOU ARE THE ONE」(TK PRESENTS こねっと)をそれぞれフルサイズで収録して締めています。
選ばれたアーティストに関しては、基本的には1アーティスト1曲となっていて、例外的にTMは2曲、他はヒット曲が複数あるTRFやglobe、鈴木あみやH Jungle with tでも1曲のみと厳選。意外にも安室奈美恵名義の楽曲は1曲もなし(TK PRESENTS こねっと名義では歌唱に参加していますが)。その分お世辞にも「ヒットした」とは言い難い曲も結構含まれていて、TKプロデュース全ヒット曲網羅!という内容のミックスCDではありませんが、有名かそうでないかはさておき、彼が手掛けた複数のアーティストの楽曲を1枚でつまみつまみ聴けるのは結構美味しいかも。一方でミックスの方はこのシリーズと同様のアプローチであり、音の差し引きやクロスフェードすら行っていないザックリとした繋ぎの連続で、明確な工夫がないのはちょっと物足りなかったかも。
というわけでミックスに関しては物足りなさが残るものの、小室メロディーをこれでもかと堪能できるミックスCDはこれまで明確にはなかったと思うので結構楽しく聴けました。ただ「TETSUYA KOMURO ARCHIVES」のダイジェスト盤という趣も感じましたので、これを定価(約2,500円)で購入した人はちょっと納得行かないかも。興味のある方はサブスクかCDレンタルで聴くことをお薦めいたします。
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