
対象は既にレビュー済のポリドール時代三作品に続く、1995年から2000年までにリリースされた全作品となります。当時はVHSのみでの発売であり、後に何作かDVD化された作品もあるものの、未だに未DVD化の作品もあるので、何かの機会にDVDでの再発を是非実現させていただきたいことを願いつつ、1本ずつご紹介いたします。
KAN 歴代LIVE VIDEOレビュー(1996〜2000)
牛乳のんで来い -KAN CONCERT TOUR '95 LA TOUR DOMESTICA DELLA LUCE-
1996年5月10日発売のライブビデオ。前年の上半期に開催された全国ホールツアー「LA TOUR DOMESTICA DELLA LUCE」の最終日・1995年6月4日大阪厚生年金会館での模様を収録。バンドメンバーは中野豊(G)、西嶋正巳(Ba)、清水淳(Dr)、嶋田陽一(Key)、矢代恒彦(Key)、小林慈(Cho)、上林昇(Cho/後の野沢トオル)。コーラスの二人はダンスも担当。
全14曲、収録時間100分(パッケージには90分と書いてあるが誤記)というボリュームで、これまで1時間程度だった彼のライブ作品としては一気に尺が長くなり、一本のライブ公演をほぼ通しで鑑賞したという気分になれる初の作品。前作に続いて萩原健太が聞き手を務める短いインタビューシーンも所々に挿入され良いアクセントになっている。
選曲は当時最新のオリジナルアルバム「東雲」前後の作品が大半。加えて「秋、多摩川にて」「青春国道202」といった過去曲、演奏当時は未発表だったピアノ弾き語り曲「指輪」などで構成。「愛は勝つ」「まゆみ」も演奏されたらしいが本作ではカットされており、ライブビデオまで買うようなややコアなファン向けといったところ。KANのパフォーマンスとしてはピアノを弾きながらの歌唱、ハンドマイクで歌う曲に加えて、「ホタル」「丸いお尻が許せない」「君はうるさい」等、コーラスメンバーを従えて本格的に歌い踊る曲も多く収録されており、視覚的にも飽きさせないステージが堪能できる。
上林(野沢)の持ちキャラ、アーバン・宝田の登場や、現在まで続くアンコールでの「全曲つなげメドレー」も初映像化されるなど、今日に至るKANのバンドライブのフォーマットの確立を映像で残した良作。惜しむらくは次作と共に未だに未DVD化な点。いつか副音声でコメンタリーを収録して再発してくれたら…と思わずにはいられない。
Decimo
1998年1月21日発売のライブビデオ。前年の秋に開催された全国ホールツアー「LA TOUR DOMESTICA DEL DECIMO ANNIVERSARIO DAL TREDICI SETTEMBRE PASSANDO IL MIO COMPLEANNO AL OTTO NOVEMBRE」 (なげーよ!)より最終日・1997年11月8日東京・中野サンプラザでの公演を収録。バンドメンバーは「牛乳〜」から嶋田が抜け、バイオリニストとして早稲田桜子が参加。なお、早稲田は本ツアーでの共演をきっかけに1999年にKANと結婚する運びになる。
本人曰く「初のノーギャグコンサートツアー」。なので本作はメンバー一同はタキシードで正装、数々の持ちネタを封印し、ただひたすら実直に楽曲を演奏する全11曲・約1時間の「普通のライブビデオ」。選曲もバイオリニストがいるということで「星屑の帰り道」「いつもまじめに君のこと」「こっぱみじかい恋」などで大々的にフィーチャーされている。
キーボードの嶋田が抜けた影響かKANも踊らずひたすらピアノを弾いて歌うライブにほぼ終始し、選曲も相俟って全体的に格調高く落ち着いた構成。淡々と進んでいくので正直物足りなさはあるが、1時間ぐらいで収める一般的なライブビデオとしては適度な収録内容だと思う。KANが珍しく「ギミック無しのライブビデオを作った」という意味では記念碑的な作品か。
あいつとおれ -KAN CONCERT TOUR '98 LIONFLOORLADY-
1998年7月25日発売、当時のKAN公式ファンクラブ「北青山イメージ開発」会員限定販売としてリリースされたライブビデオ。同年春の全国ホールツアー「LIONFLOORLADY」からのライブ抜粋全11曲+α。バンドメンバーは中野、清水、西嶋、矢代、野沢に加え、添田啓二(Key)、西村正人(Cho,Perc)が参加。
同年5月11日の大阪厚生年金会館での最終公演を収録。一応ライブビデオの体裁なのだが、前述のアーバン・宝田と、恵比寿・スレプリー(KANのライブでの持ちキャラ)がホテルのスイートルームでライブを鑑賞する、という緩いシナリオに沿って進んでいく。いきなりアーバンのシャワーシーンがあったり(誰得だ)、ブルース・リー(KANの一人二役)が乱入してきたりと、やりたい放題やっているのはファンクラブ限定モノゆえに許されるお遊び、と思おう(笑)。
選曲は発売直後のオリジナルアルバム「TIGERSONGWRITER」中心。テンポを落としてパーカッション色を強くした「Songwriter」、原曲の歌詞を田舎方言に改作し、寸劇と共に10分以上の長尺ナンバーと化した「ドラ・ドラ・ドライブ大作戦」、書割まで用意してやたら壮大な「SAIGON」「Song of Love」等、ライブのハイライトをピンポイントで抜き出した構成だと思われ、ライブの全体像はあまり掴めないのが難点か。全身に銀色のプロテクターを纏いKANが踊りながら歌う「STALK」は本作のみの収録。
なお、本作、「UNCUTTABLE 129min.」、「AFRO37」の三作は2007年に副音声コメンタリー付きでDVD化され、KAN公式サイトのWebショップ限定で販売されていた(現在は取り扱い終了の模様)。
UNCUTTABLE 129min. -KAN CONCERT TOUR '99 KREKLEMAN-
1999年10月27日発売、同年夏に最新作「KREMLINMAN」を引っ提げて開催された全国ホールツアー「KREKLEMAN」の最終公演東京2DAYSの初日・7月23日の東京厚生年金会館での公演を収録したライブビデオ。バンドメンバーは「LIONFLOORLADY」と同一。本作は当時所属のワーナーからの一般発売。
全21曲、タイトル通りに、MCや幕間の暗転、アンコール待ちも含めてのノーカットでの完全収録(暗転の際は画面にテロップが流れる)。おかげで本ツアーについてはこれを観れば全てが分かるという親切設計。なお、最初と最後にホスト役としてSTARDUST REVUEの根本要がライブ鑑賞という形で友情出演している。
この年はKANが結婚した年ということでテーマは「冠婚葬祭」。最新アルバム曲と共に「めずらしい人生」「死ぬまで君を離さない」「ぼくたちのEaster」等テーマに沿った楽曲を前半は演奏し、中盤は歴代ダンスナンバーでのメドレータイム、終盤はバンドメンバー共々ウェディングドレスを着てロック曲を熱唱する、アンコールではフォーマルな喪服に着替えて「50年後も」「永遠」を歌って締めるというコンセプチュアル(?)で分かりやすいステージを展開。
ウェディングドレスのインパクトが強すぎて他の部分があまり語られないツアーな気がするが(苦笑)、音楽+ギャグのエンターテイメントステージとしては最高の内容で、筆者はこれをDVDで観て彼のライブに行く決意を固めた(笑)。ある程度KANの楽曲を知っており、KANのライブがどんな感じのものなのかに興味を持った層にはかなりお薦め。
AFRO37 -LIVE UNDER THE BALL-
2000年10月27日発売、ファンクラブ「北青山イメージ開発」会員限定販売のライブビデオ。1999〜2000年を跨いで開催された全国ライブハウスツアー「1999-2000」より2000年1月16日の東京・赤坂BLITZでの公演を抜粋して全10曲収録。バンドメンバーは「KREKLEMAN」から西村、添田、野沢が抜け、KANも含めた5人編成となり、2010年代前半までのバンドライブではこの5人がスタンダードな形態になっていた。
今回はケーブルテレビのカウントダウン音楽番組的なフォーマットで進行。KANはなぜか行司のコスプレをしてVJとステージでの裏話を解説している(笑)。選曲は「氷の世界」「I WANT YOU BACK」といったカバー曲、活動最初期の「きみを想う夜」などの超レア曲など、レコ発ライブではないということもあり、ファンクラブ会員向けを前提としたコアな楽曲がピックアップされているのが異色といえば異色。ビデオタイトル「AFRO37」は終盤にKANが西嶋と共にアフロヅラを被って「DISCO 80's」を演奏したのが元ネタだと思われる(37は当時のKANの年齢)。
約1時間半程度の内容なのだが収録楽曲は思ったより体感的に少なく、その代わりに結構くどい繰り返しギャグのライブシーンが収録されているのは微妙なところで、そこまで楽しめるコアファン向け。
牛乳のんで来い -KAN CONCERT TOUR '95 LA TOUR DOMESTICA DELLA LUCE-

全14曲、収録時間100分(パッケージには90分と書いてあるが誤記)というボリュームで、これまで1時間程度だった彼のライブ作品としては一気に尺が長くなり、一本のライブ公演をほぼ通しで鑑賞したという気分になれる初の作品。前作に続いて萩原健太が聞き手を務める短いインタビューシーンも所々に挿入され良いアクセントになっている。
選曲は当時最新のオリジナルアルバム「東雲」前後の作品が大半。加えて「秋、多摩川にて」「青春国道202」といった過去曲、演奏当時は未発表だったピアノ弾き語り曲「指輪」などで構成。「愛は勝つ」「まゆみ」も演奏されたらしいが本作ではカットされており、ライブビデオまで買うようなややコアなファン向けといったところ。KANのパフォーマンスとしてはピアノを弾きながらの歌唱、ハンドマイクで歌う曲に加えて、「ホタル」「丸いお尻が許せない」「君はうるさい」等、コーラスメンバーを従えて本格的に歌い踊る曲も多く収録されており、視覚的にも飽きさせないステージが堪能できる。
上林(野沢)の持ちキャラ、アーバン・宝田の登場や、現在まで続くアンコールでの「全曲つなげメドレー」も初映像化されるなど、今日に至るKANのバンドライブのフォーマットの確立を映像で残した良作。惜しむらくは次作と共に未だに未DVD化な点。いつか副音声でコメンタリーを収録して再発してくれたら…と思わずにはいられない。
Decimo

本人曰く「初のノーギャグコンサートツアー」。なので本作はメンバー一同はタキシードで正装、数々の持ちネタを封印し、ただひたすら実直に楽曲を演奏する全11曲・約1時間の「普通のライブビデオ」。選曲もバイオリニストがいるということで「星屑の帰り道」「いつもまじめに君のこと」「こっぱみじかい恋」などで大々的にフィーチャーされている。
キーボードの嶋田が抜けた影響かKANも踊らずひたすらピアノを弾いて歌うライブにほぼ終始し、選曲も相俟って全体的に格調高く落ち着いた構成。淡々と進んでいくので正直物足りなさはあるが、1時間ぐらいで収める一般的なライブビデオとしては適度な収録内容だと思う。KANが珍しく「ギミック無しのライブビデオを作った」という意味では記念碑的な作品か。
あいつとおれ -KAN CONCERT TOUR '98 LIONFLOORLADY-

同年5月11日の大阪厚生年金会館での最終公演を収録。一応ライブビデオの体裁なのだが、前述のアーバン・宝田と、恵比寿・スレプリー(KANのライブでの持ちキャラ)がホテルのスイートルームでライブを鑑賞する、という緩いシナリオに沿って進んでいく。いきなりアーバンのシャワーシーンがあったり
選曲は発売直後のオリジナルアルバム「TIGERSONGWRITER」中心。テンポを落としてパーカッション色を強くした「Songwriter」、原曲の歌詞を田舎方言に改作し、寸劇と共に10分以上の長尺ナンバーと化した「ドラ・ドラ・ドライブ大作戦」、書割まで用意してやたら壮大な「SAIGON」「Song of Love」等、ライブのハイライトをピンポイントで抜き出した構成だと思われ、ライブの全体像はあまり掴めないのが難点か。全身に銀色のプロテクターを纏いKANが踊りながら歌う「STALK」は本作のみの収録。
なお、本作、「UNCUTTABLE 129min.」、「AFRO37」の三作は2007年に副音声コメンタリー付きでDVD化され、KAN公式サイトのWebショップ限定で販売されていた(現在は取り扱い終了の模様)。
UNCUTTABLE 129min. -KAN CONCERT TOUR '99 KREKLEMAN-

全21曲、タイトル通りに、MCや幕間の暗転、アンコール待ちも含めてのノーカットでの完全収録(暗転の際は画面にテロップが流れる)。おかげで本ツアーについてはこれを観れば全てが分かるという親切設計。なお、最初と最後にホスト役としてSTARDUST REVUEの根本要がライブ鑑賞という形で友情出演している。
この年はKANが結婚した年ということでテーマは「冠婚葬祭」。最新アルバム曲と共に「めずらしい人生」「死ぬまで君を離さない」「ぼくたちのEaster」等テーマに沿った楽曲を前半は演奏し、中盤は歴代ダンスナンバーでのメドレータイム、終盤はバンドメンバー共々ウェディングドレスを着てロック曲を熱唱する、アンコールではフォーマルな喪服に着替えて「50年後も」「永遠」を歌って締めるというコンセプチュアル(?)で分かりやすいステージを展開。
ウェディングドレスのインパクトが強すぎて他の部分があまり語られないツアーな気がするが(苦笑)、音楽+ギャグのエンターテイメントステージとしては最高の内容で、筆者はこれをDVDで観て彼のライブに行く決意を固めた(笑)。ある程度KANの楽曲を知っており、KANのライブがどんな感じのものなのかに興味を持った層にはかなりお薦め。
AFRO37 -LIVE UNDER THE BALL-

今回はケーブルテレビのカウントダウン音楽番組的なフォーマットで進行。KANはなぜか行司のコスプレをしてVJとステージでの裏話を解説している(笑)。選曲は「氷の世界」「I WANT YOU BACK」といったカバー曲、活動最初期の「きみを想う夜」などの超レア曲など、レコ発ライブではないということもあり、ファンクラブ会員向けを前提としたコアな楽曲がピックアップされているのが異色といえば異色。ビデオタイトル「AFRO37」は終盤にKANが西嶋と共にアフロヅラを被って「DISCO 80's」を演奏したのが元ネタだと思われる(37は当時のKANの年齢)。
約1時間半程度の内容なのだが収録楽曲は思ったより体感的に少なく、その代わりに結構くどい繰り返しギャグのライブシーンが収録されているのは微妙なところで、そこまで楽しめるコアファン向け。
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