CKBSUKI 2021年9月8日発売、クレイジーケンバンド通算21枚目のスタジオアルバムとして企画されたカバーアルバム。全21曲収録。初回限定盤には2020年10月に開催された日本武道館での公演を収録+αのDVD or Blu-rayが付属の2枚組。本エントリーはCDのみの通常盤(曲目は共通)となります。

 CKBのフロントマンたる横山剣は今年でデビュー40周年。それを記念して制作されたのが本作。遡ること5年前に、外部提供曲をセルフカバーしたアルバムをリリースしたことがありましたが、他人の楽曲をカバーしたアルバムというのは初とのこと。選曲はこちらによると毎年行われていたというファンクラブ公演で、毎回募っていたカバー曲のリクエストリストの楽曲の中から厳選したそうです。トラック数は21曲ですがうち3トラックは毎度恒例の数秒の短いアイキャッチなので実際は全18曲。1970年代〜1990年代前半までの歌謡曲、ニューミュージック、ポップスが潤沢に選曲され、円熟した生バンドの演奏と共に、基本的には剣さんが朗々と歌い上げています。

 選曲は70年代の作品が11曲と圧倒的。ということで有名曲が満載とはいえ、筆者もリアルタイムで全く知らない曲が多い上に、サビだけ知っていて今回初めてその曲のタイトルを知った!という曲も恥ずかしながらありました(苦笑)。まあこの辺りの曲に関しては原曲に思い入れがない分、「剣さんの歌声のおかげで圧倒的なCKB感」という感想に落ち着いてしまうのですが、原曲を知っている曲の中ではシュガー・ベイブの「DOWN TOWN」はオリジナルよりも陽気な演奏がワクワク感を増幅させていたり、寺尾聰の「ルビーの指環」やORIGINAL LOVEの「接吻-kiss-」では原曲に忠実なアレンジに対して、原曲とは異なる下世話な(剣さんの)ボーカル、中西保志の「最後の雨」はアレンジを生音AORテイストに仕上げたりとそれぞれに特色が。詞曲のイメージを塗り替えるまで行くような野心的な試みはこれといっては無いかな、という印象なのですが、曲によってはCKBのコーラスを担当する女性シンガー・Ayeshaをフィーチャーしたり、デュエットしたりと、歌唱・演奏面でのCKBらしい工夫は面白いなぁ、と思える曲はそれぞれ有りました。

 前述の通り楽曲数が多く(まあこの仕様は毎回のことなのですが・笑)、収録時間は約1時間15分とかなり長めなので、在宅でじっくり聴く…というには正直長い本作。むしろ外出、特にドライブなどの長距離移動の際のお供に流して聴くには著名曲が沢山ということで気分が上がる効果がありそうで、最適なアイテムかも。彼らのベストをさらったぐらいのライトな聴き手にも次の1枚として結構お薦めかな、と思います。