1991年9月9日、シングル「Can't Stop!! -Loving-」でCDデビューを果たしたSMAP。当時のメンバーは中居正広、木村拓哉、稲垣吾郎、森且行(96年脱退)、草剛、香取慎吾の6人。従来のジャニーズ的な活動からスタートし、バラエティ、ドラマ、そして音楽に関してもそれまでのアイドル像を打ち破る活動に徐々にシフトし一般層にも大きくファン層を広げ、いつしか国民的アイドルと呼ばれる存在に。「夜空ノムコウ」「らいおんハート」「世界に一つだけの花」の3大ミリオンセラーを放つなど、日本の音楽シーンにも確固たる地位を築いた彼らでしたが、2016年末に解散し現在はそれぞれの道へ。解散から5年が経過した今年はCDデビュー30周年。今回の「CD Review Extra」では、男性アイドルグループのパイオニアでもある彼らがリリースしてきたベストアルバムを1作ずつレビューいたします。
CDデビュー30周年記念・SMAP 全ベストアルバムレビュー
Cool -Best Selection-
1995年1月1日発売、初のベストアルバム。全14曲収録。初回限定盤は三方背ボックス仕様。
1993年の「$10」、1994年の「がんばりましょう」がヒットし、アイドルファン以外にも彼らの音楽性が注目されるようになってきたタイミングでのリリース。ファン投票を基に選曲された13曲+新曲「過去の人」を収録。制作にあたっては全くのリアレンジでの新録(「笑顔のゲンキ」「かなしいほど青い空」)、ボーカルも含めた再録(「DON'T CRY BABY」)を始め、大半の楽曲がリズムセクションを中心に生演奏に差し替えられるなど、かなり気合の入った手直しが施されていて、こちらの演奏に慣れてしまうと原曲が物足りなくなってしまうほどの変貌ぶり。
SMAP通史的には「6人時代の最初期ベスト」といった立ち位置。著名なヒット曲を量産するのはこの直後からなので知名度の高い曲はそれほど入っていないものの、このアルバムでしか聴けないバージョンも多数収録されているので、現在でも色褪せない魅力がある作品。
Wool
1997年3月26日発売、生産限定盤としてリリースされた2枚組ベストアルバム。全26曲収録。縦長サイズのブリスターパッケージや歌詞が掲載されているフォトブックレット、缶バッジが2個付属する特殊仕様であり、現在中古市場でも状態の良い完品で見かける機会はあまりない。
森が脱退し5人編成になってからのヒット曲「青いイナズマ」「SHAKE」がアルバム初収録。「Cool」以降のヒットシングル+同時期を中心にしたアルバム楽曲のセレクト+新曲「突然の夏」「月に背いて」を収録している。シングル曲はオリジナルアルバムでのバージョンを中心に、本作用に手を加えたもの(「しようよ」「どんないいこと」)、「Cool」バージョンを更に編集したもの(「$10」「君が何かを企んでいても」)など、前ベストほどではないが手の込んだ変更が見られる。2枚それぞれディスク名があり、「WOO SIDE」はファンク調中心、「LOO SIDE」はメロウな曲中心と、大まかに選別されている。
海外で活躍する著名外国人ミュージシャンを大々的に招き上質な演奏に乗って、若者の日常や偽らざる本音が、SMAPの良い意味で垢抜けないボーカルで表現されるという、この時代の彼らの音楽の方向性を捉えた各楽曲が光る。25周年のベスト(後述)ではシングル曲も含めてほぼスルーされたのが残念だったが、逆に考えるとこの時期の名曲・佳曲を一気に聴けるのは本作のみということで、大変意義のあるベスト盤。
Smap Vest -SMAP Complete Best Album-
2001年3月23日発売、CDデビュー10周年を迎えた際にリリースされた2枚組ベストアルバム。全32曲収録。初回生産盤はCDジャケットに描かれたベスト(衣服)の色が12種類のバリエーションでリリース、通常盤は白で、CD盤面は無色。
当時の最新シングル「らいおんハート」から時系列を遡って全シングルタイトル32曲をオリジナルバージョンで収録。シングルバージョンがアルバム未収録の楽曲が大半だったのでここで一気に揃えられるのはかなり有難いアイテム。前述の通り最新作からデビュー作まで過去に向かっていく構成なので、Disc 2の後半になると声も幼く如何にも90年代初頭アイドル!という曲も出てくるのが何だか微笑ましい。
歌詞カードには歌詞と演奏クレジット、本作用のスタッフが掲載されているぐらいでSMAPの写真はおろかメンバーの名前も記載されていないという超シンプルな装丁で、周辺情報は最低限にして彼らの音楽を純粋に楽しむベスト、という事か。SMAPがセールス的にピークを迎えていた頃の楽曲がほぼ揃うベストは本作のみ。出来ればこの後の15年分のシングルをコンプリートしたベストもリリースして欲しかったが…。
ウラスマ
2001年8月8日発売、セレクションアルバム。全17曲収録。
シングルのカップリング曲やアルバム曲、メンバーソロ名義の曲をセレクトし、楽曲発表時の時系列と逆に収められた、「Smap Vest」と対を成すいわゆる裏ベストアルバム。例外としてシングル曲の「雪が降ってきた」は短い尺のバラードバージョンで、「どんないいこと」は英語バージョン(Every You)で最初と最後にそれぞれ収録、また初期の曲を中心にリメイク(2001 version)として新規で制作されるなど「〜Vest」と異なりメンバーが稼働している。
発売当時から人気のあった「オレンジ」、後に有名になった「BEST FRIEND」を筆頭に良質のポップソングをデビュー期から万遍なくピックアップ。「Wool」の時のような生演奏で聴かせる!という趣向ではないが、潤沢なアルバム曲の中から選ばれているだけあって良曲が並ぶ。シングル以外の彼らの曲も続けて聴きたい、という気分の時には最適な1枚。
SMAP AID
2011年8月17日発売、同年末までの限定出荷ベスト。全16曲収録。黄色、赤の2種類の三方背ボックスジャケットに同色のハンカチが封入されている2形態での発売(収録曲は同一)。
同年に発生した東日本大震災をきっかけに企画が立ち上がった10年振りのベストアルバム。「みんなを勇気づけるSMAPの曲」をテーマにしたファン投票の結果、選ばれた上位15曲を第15位からカウントダウン形式に収録。ボーナストラックとして「世界に一つだけの花」の中国語バージョンを追加収録している。投票3位の「not alone 〜幸せになろうよ〜」は当時の最新曲で初のCD化。なお、1枚につき200円がジャニーズが立ち上げた震災支援プロジェクト・Marching Jを通じ義援金として寄付された。
収録曲は概ね投票テーマに沿って、聴き手の背中を押す応援歌やメッセージソングが選曲された(因みに1位は「オリジナル スマイル」)。「Smap Vest」以降の楽曲が多く選ばれたこともあり、既発のベストと被りはほとんど無く、「freebird」「世界に一つだけの花」「ありがとう」「この瞬間、きっと夢じゃない」「This is love」等のシングルも含まれているので、結果的に00年代のベストセレクションとしても機能する内容…だったが、ボーナストラックを除くと次の25周年ベストに15曲中13曲が収録されているので現在の価値は微妙なところ。
SMAP 25 YEARS
2016年12月21日発売、年末の解散直前にリリースされた3枚組ベストアルバム。全50曲収録。初回限定盤はデジパック+デビューから今日に至る歴代のアーティスト写真が多数掲載されたカラーペーパーを封入した三方背ボックス仕様。
同年秋にビクターの公式サイトの特設ページにて募集した「CDデビュー25周年を記念してのファン投票」の結果上位50曲をリリース順に収録したリクエストベスト(投票1位はアルバム曲の「STAY」)なのだが、解散発表後に投票が始まったこともあり、選曲の方向性は単に好きな曲というよりも、人と人との繋がりや感謝を綴った楽曲が多く選ばれた印象で、純粋なファン投票の結果というよりも、当時の投票した人達の想いが詰まっているような50曲となった。
結果、90年代中盤〜後半のヒット曲や活動末期のアルバム未収録のままのシングル曲がかなり抜け落ち、オールタイムベストとしてはあの曲がない、この曲がない、といった消化不良を感じてしまう内容なのだが、選ばれた50曲には良曲がギッシリ。一気に聴くのはさすがにキツいが、時系列順に彼らの25年間の音楽の変遷を辿っていけるのは本作が初(で最後?)。SMAPが日本の音楽シーンに残してきた歴史を感じられる作品。
Cool -Best Selection-
1995年1月1日発売、初のベストアルバム。全14曲収録。初回限定盤は三方背ボックス仕様。
1993年の「$10」、1994年の「がんばりましょう」がヒットし、アイドルファン以外にも彼らの音楽性が注目されるようになってきたタイミングでのリリース。ファン投票を基に選曲された13曲+新曲「過去の人」を収録。制作にあたっては全くのリアレンジでの新録(「笑顔のゲンキ」「かなしいほど青い空」)、ボーカルも含めた再録(「DON'T CRY BABY」)を始め、大半の楽曲がリズムセクションを中心に生演奏に差し替えられるなど、かなり気合の入った手直しが施されていて、こちらの演奏に慣れてしまうと原曲が物足りなくなってしまうほどの変貌ぶり。
SMAP通史的には「6人時代の最初期ベスト」といった立ち位置。著名なヒット曲を量産するのはこの直後からなので知名度の高い曲はそれほど入っていないものの、このアルバムでしか聴けないバージョンも多数収録されているので、現在でも色褪せない魅力がある作品。
Wool
1997年3月26日発売、生産限定盤としてリリースされた2枚組ベストアルバム。全26曲収録。縦長サイズのブリスターパッケージや歌詞が掲載されているフォトブックレット、缶バッジが2個付属する特殊仕様であり、現在中古市場でも状態の良い完品で見かける機会はあまりない。
森が脱退し5人編成になってからのヒット曲「青いイナズマ」「SHAKE」がアルバム初収録。「Cool」以降のヒットシングル+同時期を中心にしたアルバム楽曲のセレクト+新曲「突然の夏」「月に背いて」を収録している。シングル曲はオリジナルアルバムでのバージョンを中心に、本作用に手を加えたもの(「しようよ」「どんないいこと」)、「Cool」バージョンを更に編集したもの(「$10」「君が何かを企んでいても」)など、前ベストほどではないが手の込んだ変更が見られる。2枚それぞれディスク名があり、「WOO SIDE」はファンク調中心、「LOO SIDE」はメロウな曲中心と、大まかに選別されている。
海外で活躍する著名外国人ミュージシャンを大々的に招き上質な演奏に乗って、若者の日常や偽らざる本音が、SMAPの良い意味で垢抜けないボーカルで表現されるという、この時代の彼らの音楽の方向性を捉えた各楽曲が光る。25周年のベスト(後述)ではシングル曲も含めてほぼスルーされたのが残念だったが、逆に考えるとこの時期の名曲・佳曲を一気に聴けるのは本作のみということで、大変意義のあるベスト盤。
Smap Vest -SMAP Complete Best Album-
2001年3月23日発売、CDデビュー10周年を迎えた際にリリースされた2枚組ベストアルバム。全32曲収録。初回生産盤はCDジャケットに描かれたベスト(衣服)の色が12種類のバリエーションでリリース、通常盤は白で、CD盤面は無色。
当時の最新シングル「らいおんハート」から時系列を遡って全シングルタイトル32曲をオリジナルバージョンで収録。シングルバージョンがアルバム未収録の楽曲が大半だったのでここで一気に揃えられるのはかなり有難いアイテム。前述の通り最新作からデビュー作まで過去に向かっていく構成なので、Disc 2の後半になると声も幼く如何にも90年代初頭アイドル!という曲も出てくるのが何だか微笑ましい。
歌詞カードには歌詞と演奏クレジット、本作用のスタッフが掲載されているぐらいでSMAPの写真はおろかメンバーの名前も記載されていないという超シンプルな装丁で、周辺情報は最低限にして彼らの音楽を純粋に楽しむベスト、という事か。SMAPがセールス的にピークを迎えていた頃の楽曲がほぼ揃うベストは本作のみ。出来ればこの後の15年分のシングルをコンプリートしたベストもリリースして欲しかったが…。
ウラスマ
2001年8月8日発売、セレクションアルバム。全17曲収録。
シングルのカップリング曲やアルバム曲、メンバーソロ名義の曲をセレクトし、楽曲発表時の時系列と逆に収められた、「Smap Vest」と対を成すいわゆる裏ベストアルバム。例外としてシングル曲の「雪が降ってきた」は短い尺のバラードバージョンで、「どんないいこと」は英語バージョン(Every You)で最初と最後にそれぞれ収録、また初期の曲を中心にリメイク(2001 version)として新規で制作されるなど「〜Vest」と異なりメンバーが稼働している。
発売当時から人気のあった「オレンジ」、後に有名になった「BEST FRIEND」を筆頭に良質のポップソングをデビュー期から万遍なくピックアップ。「Wool」の時のような生演奏で聴かせる!という趣向ではないが、潤沢なアルバム曲の中から選ばれているだけあって良曲が並ぶ。シングル以外の彼らの曲も続けて聴きたい、という気分の時には最適な1枚。
SMAP AID
2011年8月17日発売、同年末までの限定出荷ベスト。全16曲収録。黄色、赤の2種類の三方背ボックスジャケットに同色のハンカチが封入されている2形態での発売(収録曲は同一)。
同年に発生した東日本大震災をきっかけに企画が立ち上がった10年振りのベストアルバム。「みんなを勇気づけるSMAPの曲」をテーマにしたファン投票の結果、選ばれた上位15曲を第15位からカウントダウン形式に収録。ボーナストラックとして「世界に一つだけの花」の中国語バージョンを追加収録している。投票3位の「not alone 〜幸せになろうよ〜」は当時の最新曲で初のCD化。なお、1枚につき200円がジャニーズが立ち上げた震災支援プロジェクト・Marching Jを通じ義援金として寄付された。
収録曲は概ね投票テーマに沿って、聴き手の背中を押す応援歌やメッセージソングが選曲された(因みに1位は「オリジナル スマイル」)。「Smap Vest」以降の楽曲が多く選ばれたこともあり、既発のベストと被りはほとんど無く、「freebird」「世界に一つだけの花」「ありがとう」「この瞬間、きっと夢じゃない」「This is love」等のシングルも含まれているので、結果的に00年代のベストセレクションとしても機能する内容…だったが、ボーナストラックを除くと次の25周年ベストに15曲中13曲が収録されているので現在の価値は微妙なところ。
SMAP 25 YEARS
2016年12月21日発売、年末の解散直前にリリースされた3枚組ベストアルバム。全50曲収録。初回限定盤はデジパック+デビューから今日に至る歴代のアーティスト写真が多数掲載されたカラーペーパーを封入した三方背ボックス仕様。
同年秋にビクターの公式サイトの特設ページにて募集した「CDデビュー25周年を記念してのファン投票」の結果上位50曲をリリース順に収録したリクエストベスト(投票1位はアルバム曲の「STAY」)なのだが、解散発表後に投票が始まったこともあり、選曲の方向性は単に好きな曲というよりも、人と人との繋がりや感謝を綴った楽曲が多く選ばれた印象で、純粋なファン投票の結果というよりも、当時の投票した人達の想いが詰まっているような50曲となった。
結果、90年代中盤〜後半のヒット曲や活動末期のアルバム未収録のままのシングル曲がかなり抜け落ち、オールタイムベストとしてはあの曲がない、この曲がない、といった消化不良を感じてしまう内容なのだが、選ばれた50曲には良曲がギッシリ。一気に聴くのはさすがにキツいが、時系列順に彼らの25年間の音楽の変遷を辿っていけるのは本作が初(で最後?)。SMAPが日本の音楽シーンに残してきた歴史を感じられる作品。
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