

2021年6月9日発売、WANDS通算18作目(第5期としては通算3作目)となるニューシングル。初回限定盤・通常盤の2種での発売となり、それぞれに異なるカップリング曲を1曲ずつ収録。初回限定盤には表題曲のMVメイキング映像が視聴可能となるシリアルナンバーが封入。本エントリーは初回・通常両作のレビューとなります。
表題曲「カナリア鳴いた頃に」は作詞がボーカル上原大史、作・編曲がギター柴崎浩という第5期の鉄板パターン。なおリリース前にキーボード担当の木村真也の無期限の休養がアナウンスされており、ジャケットには写っていますがインタビューによるとレコーディングやMV撮影には不参加とのこと。
楽曲は歴代のWANDSシングル作品とは一線を画すシンプルなミディアムナンバー。ギミック満載だった第5期処女作の「真っ赤なLip」や、90年代王道路線を再現したかのような「抱き寄せ 高まる 君の体温と共に」とも全く異なる切なさと優しさが溢れる楽曲。正直シンプル過ぎてインパクトには欠け、シングル表題曲にはどうかな?という感想なのですが、過去の焼き直しだけではない第5期ならではの新たなWANDS像を見せた、という点では好印象でした。
初回限定盤収録のカップリング曲は「錆びついたマシンガンで今を撃ち抜こう [WANDS 第5期 ver.]」。オリジナルは1997年発売の第3期WANDSの初のシングル表題曲。メンバーチェンジの情報が明確に出ていない時点でのリリースで従来のWANDSファンから物議を醸したいわくつきの楽曲のセルフカバーですが、原曲の時点で既にひと時代前を感じさせるシンセの音(1993年頃の路線の再現?)をカットするなど、セルフカバー版はざっくりとしたエレキギター中心のややハードな聴き心地に。最後のタイトルのリフレインの間が変わったのが個人的には良い再構築だと思いました。
通常盤収録のカップリング曲は「Brand New Love [WANDS 第5期 ver.]」。こちらも第3期のシングル曲で1998年の発売。デジタルビートとロックの融合が果たされた楽曲のセルフカバー。こちらは基本的に原曲に忠実ながら、上原のボーカルが歌詞を受けてか終始がなり気味のヤケクソ感(?)が出ているという点では和久二郎(第3期ボーカル)とは異なる独自の解釈点が。原曲での曲中のカウンターの英語コーラスが完全に省略、アウトロのラップが無くなってしまったのは残念。
総じて3曲共に第5期WANDSとしてのアプローチの詰まった作品になっていましたが、初回限定盤・通常盤のCDに付属のインナーには、各楽曲の歌詞・作詞作曲編曲クレジット・メンバーの名前のみが記載されているという超シンプルな構成で、楽曲制作参加ミュージシャンのクレジットが記載されている、というフィジカルシングルの利点を捨て去ってしまっていたのは悪い意味での驚きポイントでした(少なくとも今回に関してはコーラス担当がいるはず)。こういう作りなら1曲261円の配信の方が安いしそっちを買うよなぁ…と思ってしまいました。
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