
2018年5月に復活し、翌年にオリジナルアルバムをリリース、その後アルバムを引っ提げたツアーなど一連の流れが終わった後も、SURFACEとしての活動を続けながらも椎名・永谷両名の個人活動は引き続き継続。ということもあり、バンド活動最盛期のような定期的なリリースは望めないと思う…と前作のレビューでは書いたのですが、何と前作から一年二ヶ月後に早くも再始動2作目のアルバムリリースの運びに。こちらのインタビューでも書かれていますが、SONYからの提案で制作が始まったということで、その対応の速さにはメンバーも驚いたとのこと(笑)。なお、同年5月末にリリース予定でしたがコロナ禍の影響で発売延期になっていたライブCD1作品、ライブ映像2作品も本作と同日に発売され、4作品同時という形でのリリースとなりました。
先述のインタビューによると、コロナ禍以降に書かれた歌詞が大半とのことで、アルバム全体のバランスを調整しながらもこの時期ならではのテーマの曲が散見。「クロール」はまさにダイレクト、という感じの歌詞であり、「LAST BIRTHDAY」や「そっか」等、曲調は正反対ながら別離を想起させる曲もあったりして、いつものSURFACE(椎名)の歌詞よりもシリアス成分多めなのは気のせいではないでしょう。とは言え、ネガティブなテーマの曲が沢山…というと決してそうではなく、本人いわく「聴く人と同じ位置にいる、絶対に上からものを言わない、ということを大事にした」歌詞にはどこか救いを感じさせるものが。個人的には今度いつ会うなんて決めずに友人達とのカラオケでのひと時を描いた「下手くそな応援歌 -たまり場 パート3-」が非常に心に残りました。
一方アレンジ的には前作の延長線上。演奏陣を潤沢に起用した生バンドを軸に、キーボードも含めたプログラミングが主張し過ぎずしなさ過ぎず、永谷のギターもここぞ!というところで響きまくるトラックのバランス感覚は健在。アルバム1枚通しての熱量も相変わらずで、これまで応援してきたコアなファン以外、例えばベストアルバムを聴いて最近のSURFACEってどうなの?と興味を持っているリスナーにも「ベストの次に聴く1枚」としてお薦めしたい作品に仕上がっていました。
初回盤BのDISC 2は2018年のカウントダウンライブで披露したという「行けんだろう」のスタジオ録音、そしてアルバム発売前に初のデジタルシングルとして配信された「指切りしよう」のシングルバージョン(DISC 1にはアルバムバージョンで収録)の全2曲。敢えてディスクを分けたのは前者は楽曲制作時期が離れているから、後者は先行配信バージョンをCDで改めて、という理由でしょうか。どちらもキャッチーで両A面シングルといった印象。本編のDISC 1に入っていても良かったかなぁ、と(笑)。
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