hataevergreen2 2021年3月17日発売、秦基博の弾き語りベストアルバム第2弾。CD2枚組全21曲収録。初回限定盤には前年秋に配信オンリーで開催された無観客ライブの模様をフルサイズで収録したBlu-rayが付属。本レビューはCDのみの通常盤となります。

 前作「evergreen」から約7年ぶりの弾き語りベストとなった本作は、発売時までの全シングル+代表曲を各会場でのライブ音源からの選りすぐりだった前作と異なり、全曲がスタジオでの新規録音。また、リリース発表の2020年5月4日から同年8月末までの期間にユニバーサルの特設サイト「DISC 2に弾き語りで収録して欲しい楽曲」をアルバム曲、カップリング曲、提供曲の中からファン投票で募るという試みが行われ、投票結果の10曲を事前告知通りDISC 2に収録という形で反映されるなど、制作にあたっては前作と異なるアプローチで行われた模様。

 DISC 1は「evergreen」以降のシングル「水彩の月」から、最新シングルの「泣き笑いのエピソード」までの全シングル+代表曲、さらに新曲として「Tell me,Tell me」を収録した全11曲。「泣き笑い〜」をトップに、時系列を遡る形での曲順。基本的にはアコースティックギターのみ(曲によってはルーパーを使ったり、アコギを重ねている曲も有り)のシンプルな演奏で、派手なアレンジが施されたオリジナルの演奏と比較するとインパクトに欠ける…というか、BGM的に流して聴けちゃうなぁ、というのが正直な感想なのですが、サビのメロディーが強い「水彩の月」やルーパー使用の「Raspberry Lover」など、楽曲の良さを再発見的な面も見受けられました。

 DISC 2は「みんなと作る evergreen2」と称して、提供楽曲の「さよならくちびる」「告白」の2曲が秦基博名義では初の音源化、シングルやEPのみ収録だったカップリング曲「五月の天の河」「恋の奴隷」、各オリジナルアルバムのラストに収録されていた「風景」「新しい歌」「綴る」「Sally」等、先述の投票上位10曲を収録。ミディアム〜バラード系の楽曲が選ばれたのは「弾き語りで収録して欲しい楽曲」という投票縛りが忠実に反映された形で、聴かせる楽曲が揃っている印象。個人的には「風景」を冨田ラボとのAcoustic Sessionバージョンを基調にしたアコギのみでの再録が嬉しいポイントでした。

 制作発表からリリースまでにはかなり時間がかかり、最新の代表曲「泣き笑い〜」のリリース後まで待って発売されたことには、ベスト代わりにこのアルバムを…という状況的な意図を感じますが、前作同様ほぼアコギオンリーの弾き語りが20曲超というのはライトリスナーには不向きな感もあります。DISC 2の内容も含めて、ベスト形態ながらファン向けの作品かな、と。