augustahandhand 2020年12月16日発売、音楽事務所・オフィスオーガスタの企画コンピレーションアルバム。発売前の11月下旬より順次先行配信された「愛を歌う」「2人のコンプライアンス」「Unbreakable」「KAMA KULA」を含む全9曲収録。CDのみの通常盤、加えてオーガスタアーティストによるセレクションCD、ドキュメントBlu-rayにフォトブック、更にはミトン型手袋が付属した完全受注生産限定盤「Winter Gift Box」の2形態での販売。本レビューは通常盤となります。

 本作はこちらの特設サイトにも記されている経緯の通り、2020年のコロナ禍をきっかけに制作されたコラボレーション企画。各ミュージシャンの音楽活動はもとより、毎年夏に大会場で開催されていた事務所主催のスペシャルライブ「Augusta Camp」も2020年は配信という形になるなど、ウイルスの煽りを受けて様々な変更が余儀なくされた1年だったわけですが、そんな中で「ともに未来を、つながる手と手」というテーマでオーガスタ所属のアーティストが集結。杏子、山崎まさよしといった重鎮、スキマスイッチ、元ちとせ、秦基博、さかいゆうといった福耳でもお馴染みの顔触れ、そしてFAITHやDedachikentaなど、オーガスタコンピ系ではほぼ初顔と思われる面子も加わってのプロジェクトとして1枚のCDに結実。なお、スペシャルゲスト的なネームバリューの大野雄二も2曲に参加していますが、彼もオーガスタと業務提携をしているそうで、表に名前が出ている参加者が全てオーガスタ関連のアーティストという徹底した事務所企画となっています。

 その大野雄二が作曲・プロデュースを務めた「愛を歌う」(大野雄二×常田真太郎×福耳)が冒頭に配置。福耳のボーカリスト達がリードを繋いでいく壮大な楽曲で、演奏時間は約7分半。しかもフェードアウトで終わるので完奏バージョンはこの曲一体何分だったんだ、という勢いでいきなりリスナーをクライマックス感に導いて始まるのですが、2曲目以降は基本的には1組×1組のシンプルなコラボレーションが展開。このコラボレーションこそが今回のコンセプトであり、アルバムを通しての楽曲的な統一は詞曲、アレンジも含めてあまり感じられない、各曲が独立した単品、といった趣。
 まあ仮にコロナ禍をテーマにした歌詞を続けられても聴いてるこっちがキツいと思うし、山崎まさよしの歌詞を歌う松室政哉(「2人のコンプライアンス」)、さかいゆうの書き下ろし楽曲を歌う元ちとせ(「KAMA KULA」)、大野雄二ならではのルパンカバー「炎のたからもの」(杏子×大野雄二)等、純粋に各アーティストの組み合わせの妙を楽しむアルバム、といったところでしょうか。個人的には福耳の「夏はこれからだ!」の冬バージョン、その名も「冬はこれからだ!」(秦基博×スキマスイッチ)に最初から注目していたのですが、若干ネタ歌詞的な楽曲になりながらも(苦笑)パロディーとしては面白い感じに仕上がっていました。ちなみにこの曲は一番最後に収録されているのですが、大団円的な「愛を歌う」と配置を交換しても良かったんじゃないでしょうか。若干座りの悪さを感じました(笑)。

 筆者はオーガスタの何組かのアーティストのファンではありますが、その他の参加者の活躍も目立つ構成になっていたので、1枚通じて隅から隅まで知ってる顔触れ、というわけではありませんでしたが、ディープなオーガスタファンであればあるほど聴きどころがあって面白いアルバムなのではないかと。