tkrth 2021年4月28日配信開始、小室哲哉のソロ楽曲「RUNNING TO HORIZON」を、小室自身の手で新たにリミックスしたデジタルシングル。

 原曲は1989年10月にリリースされた、小室のソロデビューシングル表題曲。当時テレビアニメ「シティーハンター3」のオープニングテーマに起用され、オリコン初登場1位を記録した曲ということもあり、彼のソロ作品では最も有名なナンバーと呼んでいいでしょう。その楽曲のリミックスを今年2月のニコ生特番「TETSUYA KOMURO MUSIC FESTIVAL」で披露(その時は「Ad lib Piano Mix」表記)。その後約2ヶ月半後の4月末にフルコーラスとして各配信サイトにてダウンロードまたはサブスクリプションという形で商品化。ちなみに本曲のリミックスバージョンは過去の2回の制作歴があり、また、TM NETWORKのボーカル宇都宮隆のソロ名義で2001年にシングルとしてカバーされたという経歴もあります。

 さて、通算3度目となる今回のリミックス、冒頭こそ「Ad lib Piano Mix」の名に相応しい(?)手弾きらしき若干揺れたピアノソロで始まるのですが、原曲のボーカルはコーラスも含めて完全に残し、リズム周りを新たに構築、原曲で印象的なフレーズを過去のリミックスバージョンの中からも拝借してはめ込む…といった、原曲引用半分、新規作成半分といった感じの割合でのハイブリッドなリミックスとして構成。原曲と比べるとピアノが楽曲を引っ張る役割を果たし、その他のオケは必要最小限で要所要所で目立つもののあまりゴテゴテしておらず結構シンプル。個人的には原曲の1コーラス後の間奏がオミットされてしまったのが残念ですが、代わりに2コーラス終了後には完全新規の間奏が待っているなど、新たな聴きどころもあり。リミックスと聴いてイメージしがちな長尺のオケが延々と…ということもなく(むしろ原曲より数秒短い)歌モノとしての体裁を崩さない、好印象のリミックスでした。

 なお、今回の配信元は近年小室が所属していたavexからではなく、TMとしてのデビューから20世紀末まで在籍していたソニー(Sony Music Direct)からの模様。原曲のボーカルが使用できたのはこういった事情からでしょうか。avexの小室公式サイトは今回の音源にはノータッチのようで、今後彼がどこでどういった活動をしていくか期待3割不安7割といった感じなのですが(苦笑)、色々な雑音もあるでしょうが、活動再開したからにはまた日本の音楽シーンに良い意味で存在感を示してほしいものです。