cf-logo 1991年3月15日よりTVシリーズとして放送が始まった、近未来を舞台にしたレースアニメ「新世紀GPXサイバーフォーミュラ」。今年2021年は本放送開始よりちょうど30年目となり、周年記念のプロジェクトも既に前年から動いている真っ只中。TVシリーズの終了後も続編としてOVA、CD・ラジオドラマ、レースゲームなど派生作品も含めて潤沢なコンテンツのある本作ですが、今回の「CD Review Extra」では、全ての始まりであるTVシリーズの関連CDに絞ってレビューしてみました。


放送開始30周年記念・新世紀GPXサイバーフォーミュラ TVシリーズ関連CDレビュー


【新世紀GPX(フューチャーグランプリ)サイバーフォーミュラとは】
 1991年3月15日〜12月20日まで全37話放映されたサンライズ制作のアニメーション。
 舞台は2015年、バイクが趣味の14歳の少年・風見ハヤトは、幼馴染の少女・菅生あすかの父親がオーナーを務めるレーシングチーム「スゴウアスラーダ」の新型レースマシン「アスラーダGSX」の専属ドライバーにアクシデントで登録されてしまう。直後に開催される第10回サイバーフォーミュラワールドグランプリ(全10戦)に向けて、一年間ドライバーとしてチームに帯同する決意をしたハヤトは、チームメイトやスタッフ達と時に協力し、時に対立しながら絆を深めていく。さらにライバルチームのレーサー達との交流、アスラーダの優れた学習型サイバーシステムを狙う組織の暗躍をかわしながら、世界を転戦することになる…というのが大まかなストーリー。
 なお、放送当時は視聴率が伸び悩み、フォーミュラカーの玩具が売れずにスポンサーのタカラが降板、一年間のストーリーが3クール(9ヶ月)に短縮され打ち切りとなるが、ストーリーは評価され最終的には人気作品として終了する。その後は翌年以降のグランプリを描いたOVAシリーズが全4作、その合間を埋めるラジオドラマCDが多数リリースされる。1998〜2000年リリースのOVA「サイバーフォーミュラSIN」で映像作品としては完結しているが、さらに続編として非公式・公式含めてPS2やPSP、PCゲームとしてレースゲーム化も続いている。


Winners
CF1
 1991年3月25日発売、G・GRIP(女性四人組バンド)による主題歌収録シングル。
 表題曲「Winners」はエンディングテーマ。勝者を讃える曲…ではなく、勝利に向かって努力を重ねる姿を鼓舞する熱い応援ソングで、弱小チームであるスゴウチームにピッタリの一曲。多数の楽曲が作られたサイバーフォーミュラシリーズの中でも、この曲の存在感は圧倒的である。
 カップリングの「I'll Come」はオープニングテーマ。こちらは困難な状況に直面する「あなた」を救いに向かう励ましソングでもあり、ある意味ラブソングでもあるか。TVオンエアサイズは数秒のイントロがあり、最後は完奏するのだが、CDバージョンではいきなりサビから始まり、最後はフェードアウトで終わるので印象が結構異なる。TVオンエアサイズはサントラ等でも商品化されていない。
 余談であるが、スゴウチームのメカニック・城之内みきはG・GRIPの大ファンという設定で、彼女達がスタジアムライブを開催する話があるなど劇中でも出番があったのだが、バンド自体は番組オンエア中に解散したとのこと。この縁なのか、後のOVAシリーズでメンバーの一人(木下ゆみ)がソロでテーマソングを歌っていたりする。


BGM ROUND I
CF2
 1991年6月25日発売、放送開始約3ヶ月後にリリースされたオリジナルサウンドトラック第1弾。全15曲収録。
 主題歌「I'll Come」「Winners」のシングルバージョンも収録。さらに劇中で流れた「Winners」のインストバージョンも収録、「I'll Come」はサビのメロディーが曲の途中で挿入された「BURN UP」で出番がある。
 第1弾サントラということで、使用頻度の高い楽曲が数多く収められており、TVシリーズを観ていれば耳馴染のナンバーが次々と出てくるのが特徴で、明るく元気な「HAYATO」、緊迫したレース中に流れる「DANGER ZONE」「CYBER FORMULA」、ラテン調の「TEAM SUGO ASRADA」、フュージョンっぽい「SPLENDER」など、曲調のバリエーションは豊か。21世紀が舞台のアニメだが、サウンドは90年代当時サントラ界の主流だったポップ〜ロック調。無理に近未来な感じを出そうとして電子楽器主体の打ち込みサウンドにしていたら、年代が過ぎてから聴いた時の時代性がモロに出てしまったと思うので、生演奏主体でまとめたのは良い判断だったと思う。
 CDブックレット内には音楽担当の大谷幸のプロフィール、当時のサンライズプロデューサーのコメント、主題歌を演奏するG・GRIPの写真付き紹介文、メインキャラクター達の簡単な紹介文が掲載。


THE 雷舞
CF3
 1991年10月25日発売、TVシリーズ中に唯一発売されたキャラクターソング+ミニドラマCD。タイトルは「ザ・ライブ」と読む。
 スゴウチームがバンドを組んでライブ初出演(+スゴウチーム結成1周年記念)という一応のストーリーがあるのだが、そういった話は本編で全く語られていないし、この時点で結成1周年というのも無理が…という気がするので、あまり周辺設定を気にせずに楽しむのが吉だと思われる(笑)。
 ミニドラマはハヤトをはじめスゴウチーム全員出演、さらに新条直輝ブリード加賀など、ライバルチームのレーサーもステージに乱入という形で次々登場したりと声優的に豪華。ドラマの間にライブ演奏としてキャラクターが歌う曲が5曲収録されているのだが、オールキャストでワイワイやる曲などはなく、割と無難(?)なキャラソンが続く。総演奏時間も30分足らずで定価3,000円というのは強気すぎる価格設定なのだが、ベテラン悪役声優として有名な飯塚昭三(スゴウチームの監督・車田鉄一郎役)がソロでガチ歌を披露する「ブルースで泣かせてくれ」は超レア!!
 なお、近日発売されるリマスターCDボックス「VOCAL COLLECTION BOX SET」の中の表記によると本作は「バラエティ企画」シリーズと呼ばれているらしく、同シリーズとして1992年に「麗VIEW」(ラジオ特番にレーサーがゲスト出演)2作、「THE 宴会」(忘年会シチュエーション)が発売されている。


BGM ROUND II
CF4
 1991年11月25日発売、大谷幸によるオリジナルサウンドトラック第2弾。全23曲収録。
 番組後半でロールアウトしたスゴウチームのニューマシン「スーパーアスラーダ」、新たにワールドグランプリに参戦したハヤトと同い年の天才少年・カール・リヒター・フォン・ランドル(ジャケット写真の金髪キャラ)の登場でレースアニメとして盛り上がっていた最終盤時期に発売。劇伴インストの他に劇中挿入歌として流れた「あたりまえの奇跡」「WAIT FOR YOUR LOVE」(G・GRIP)、「I'VE GOT TO RIDE」ダイナマイト・シゲ ※茂村泰彦の変名)の3曲のボーカル曲も収録されている。
 各楽曲の雰囲気は「I」とほぼ同じだが、使用頻度の差もあってちょっと聴いただけでは「この曲流れたっけ?」と思ってしまう曲もチラホラあるのは後半登場曲ゆえか。また、スーパーアスラーダのテーマ的な「VIOLENT WIND」「RUN TOGETHER」「SUPER ASRADA」、ランドルのテーマ的な「RANDLE」「FULL OF CONFIDENCE」「MELANCHOLY」、ほのぼのシーンで流れる「INNOCENT GIRL」「GIRL'S FEELINGS」と、同じメロディーを用いた変奏曲が結構多く、アレンジの聴き比べがなかなか楽しい。個人的には後半の某レースのヤマ場にここぞ!という場面で流れた「MY HONOR」がイチ押しである。
 ブックレットには福田己津央監督のサウンドイメージ文を掲載した各曲の簡単な楽曲紹介が掲載。また巻末にはキャラクタープロフィール集として、スゴウチームメンバー、各チームのレーサー達計15名のプロフィールが記載。「年齢」「家族構成」「特技」「好きな異性のタイプ」など、アンケートっぽい内容がかなり充実していて、意外なところで(?)資料的価値が高い。