
彼女らにとってのデビュー作でもあったZARDトリビュート第1弾から約1年、その間に坂井泉水の手による未公開の作詞にメロディーを乗せた楽曲(いわばSARD UNDERGROUND用のオリジナル曲)をシングルで2作続けて発表していたものの、本アルバムには未収録。前作アルバムに引き続き、全曲ZARDの過去の楽曲で編まれたトリビュート第2弾発売の運びとなりました。なお、ジャケットのオマージュ全開も引き継がれ、初回限定盤は「マイ フレンド」のシングルジャケット、通常盤は同セッションで撮影されたと思われる「ZARD BEST 〜Request Memorial〜」のアルバムジャケットをそれぞれ完璧に模倣している仕上がりに。
今回の選曲の傾向としては、世間一般的なZARDの著名ソングは第1弾でほとんど出してしまったということもあるのか、ヒットしたものの一般的知名度としては前作収録曲と比べると現時点ではそれほどでもない「君に逢いたくなったら…」「こんなにそばに居るのに」等のシングル曲8曲、歌詞提供作品からは1994年にDEENに提供した「瞳そらさないで」、そして引き続きプロデュースを務める長戸大幸のZARDプロデュース時代からのアルバム曲3曲という、奇しくもジャケットを模した「〜Request Memorial」を彷彿とさせるバランスの構成。なお、選曲にはメンバーの意見も一部反映されているそうです。
アレンジは第1弾同様に大半が長戸と鶴澤夢人の連名編曲名義。バンド形態にも関わらず、明らかに打ち込み全開でレトロ感…を越してチープ感まで漂っていた前作と比較すると、メンバー不在のポジションであるドラムの音が生っぽくなったことである程度のバンドらしさは感じられる演奏に。ギターもソロ以外でも多少目立つ箇所が出てきたかな?という印象の中、一番耳を惹いたのはボーカル神野友亜の表現力。前作では基本ダブルボーカルで感情控えめに淡々と歌っていて、無機質ささえ感じられたのですが、今回はダブル仕様やエフェクト効果もほとんどなく、単独での歌唱がメインになったこともあり、時折歌詞にリンクして感情のこもった歌声を聴かせてくれており、全編を通して第1弾と印象が変わった(良くなった)最大の部分はこの点ではないでしょうか。
個人的には「瞳そらさないで」のDEENバージョンを基調にしたアレンジをZARD関連で初めて聴けた、というのと、これまで一度もベストに収録されたことのない「好きなように踊りたいの」(3rdアルバム収録曲)がまさかトリビュートラインナップに加わるとは…という2点がトピック。あとは余計な電子音を足さず、原曲より躍動感の増した「星のかがやきよ」、打ち込み主体の原曲をブラッシュアップしたようなアレンジに仕立てた「Get U're Dream」が良かったです。前作については以前色々書きましたが、本作でようやく歌唱・演奏含めてZARDトリビュートと充分名乗れる形のアルバムになったのでは、と思いました。
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