
憂歌団・ワーナーミュージック時代(1993〜1998)全アルバムレビュー+α
GON-TA
1993年9月25日発売、同年7月のワーナー移籍第1弾シングル「純愛だけど朝帰り」に続く通算12作目のオリジナルアルバム。全13曲収録。翌10月に「WOO CHILD」がシングルカットされた。
憂歌団と言えばブルース、という固定観念を覆すボサノヴァ調の「純愛〜」を筆頭に、レゲエサウンドの「ミナミの楽園」、シンセやストリングスを起用した癒しのバラード的な「SWEET & MELLOW」など、特に前半部分は異色な曲が多い。演奏も4人+ピアノ、オルガン、曲によってはウクレレなども起用して華やかに楽曲を彩っている印象が強く、かなりキャッチーで聴き心地は良い。後半になるとだいぶ従来のカラーに寄せてはきているが、それでもブルースを求めて憂歌団を聴くリスナーにとっては違和感を持つであろう問題作(?)。
彼らのキャリア中ポピュラーミュージックに最も接近したアルバムかも。憂歌団入門としては明らかに不向きであるが、個人的は彼らの別の側面を見られて結構好きな一作である。
知ってるかい!?
1994年9月25日、シングル「ファンキー・モンキー・ベイビー」(CAROLのカバー)と同時発売となる和洋の楽曲からセレクトされたカバーアルバム。全14曲収録。
かねてからライブでは積極的にカバー曲を披露し、スタジオ録音でも過去にいくつか発表してきた憂歌団の真骨頂的な企画アルバム。1930年代から1990年代までの楽曲を洋邦問わずに12曲を選曲し新録音。残り2曲はオリジナルの新作だが、「僕は燃えている」では花岡がリードボーカルを取るという珍しい楽曲がある。
楽曲アレンジは「GON-TA」ほどポップ寄りではなく、4人の演奏+ピアノという基本フォーマットにオルガンやパーカッションが曲によって参加するというスタイルで安心して(?)聴ける。歌詞カードの各楽曲にはライナーノーツ(おそらく共同プロデューサーの萩原健太の手によるもの)にてアレンジの方向性など詳しい解説がある。北原ミレイの「石狩挽歌」、ORIGINAL LOVEの「LOVE SONG」、The Cloversの「LOVE POTION No.9」などが特に印象的。総じてなかなかクオリティの高い一作。
ブルース・バウンド
1995年10月25日発売、CD帯に「20年ぶりのデビュー・アルバム」というキャッチコピーが冠された、セルフプロデュースによる通算13枚目のオリジナルアルバム。全12曲収録。
デビュー20周年(1975年10月デビュー)を迎え、結果的には最後のオリジナルアルバムとなった本作は、「GON-TA」のカラフルさから一転、基本的にメンバー4人の演奏で成立するブルース色の濃い楽曲を取り揃えた原点回帰的な作風。前年末にリリースしていた2作のシングルはカラーが異なるからか未収録となり、シングル曲は本作と同時発売の「Fuwa Fuwa〜もう一杯おネエチャン〜」のみの収録となった。
かつてのトリオ期のような泥臭いブルースとはまた少し違う、軽快な「みんな急げ」、年を重ねた渋みが出ている「風のうわさに」「September Moon」、メロウな「バイバイ・ベイビー」など、20年間の熟成を感じさせるナンバーが味わい深い。後期の憂歌団はポップ過ぎてちょっと…と思っている最初期のファンにも聴いてもらいたい作品である。
なお、初回特典として24ページのブックレットが封入。著名人からのお祝いメッセージの他、レコード・CDの写真付き全ディスコグラフィー、活動のバイオグラフィーが詳細に載っており資料が充実。公式サイトが存在しない現在、読本としての価値も高い。
お中元 [ベストセレクション・1993-1996]
1996年7月25日発売、ワーナー期では初のベストアルバム。全12曲収録。
「純愛だけど朝帰り」から、当時最新シングルの「ゲゲゲの鬼太郎」(アニメ4期の主題歌に起用)までのワーナー移籍後の全8タイトルのシングル曲、アルバム未収録のカップリング曲を中心に収録。「大地のうた」が未発表の新曲として収録されている。
昨年のオリジナルアルバムでスルーされた「風を追いかけて〜CHASIN' THE WIND〜」「HAPPY GO LUCKY」がここでアルバム初収録。「風を〜」はNEW VERSION名義となっており、オリジナルにピアノの音が追加されるなど大きな変更がありポピュラリティーが追加された。また、カバーアルバム未収録の「TEARS IN HEAVEN」(Eric Clapton)「君といつまでも」(加山雄三)の収録も嬉しいところ。曲順も時系列ではなく練られており、特にラスト1曲前に「WOO CHILD」を配置したのは適材適所(?)。ワーナー時代の作品を一気に俯瞰したいリスナーにはまずはこの1枚からどうぞ。
お歳暮 [ベストセレクションII・1993-1997]
1997年11月25日発売、「お中元」に続くベストアルバム第2弾。全12曲収録。なお、憂歌団は翌年1998年末で活動休眠(実質的な解散)となり、本作はワーナー在籍中の最後のリリース作品となった。
今回はシングル曲は最新シングルの「イヤンなっちゃう節」(シングルとは異なる未発表バージョン)のみ。「GON-TA」「知ってるかい!?」「ブルース・バウンド」の中のアルバム曲からのベストセレクションが中心。加えて「HAPPY GO LUCKY」のカップリング曲だった「パチンコ〜ランラン・ブルース」、未発表作品の「Gee Baby,Ain't I Good To You」(Don Redmanのカバー)がアルバム初収録となった。
アルバム選曲メインということもあり、「お中元」に比べると全体的にインパクトの弱さが否めないのは短い期間での2作目のベストということで仕方がないか。ワーナー期の各アルバムからのダイジェスト盤と思えばこの選曲かな、という気もする。「お中元」を聴いてもっとワーナー時代の彼らの作品に触れたいリスナー向けといったところ。
究極のベスト!
2005年6月22日発売、ワーナーが原盤権を持つアーティストのベストアルバムを定価1,500円で全30タイトル発売した「究極のベスト!」シリーズの一作。全9曲収録。デジタル・リマスター表記有。
1曲目から3曲目まではART UNION(トリオ在籍時の初期音源っぽい)から版権を拝借、4曲目以降からがワーナー所有音源となる。デビュー曲の「おそうじオバちゃん」(正しくはオバチャンだと思うがこの表記)、「嫌んなった」といった初期の歌唱・演奏の楽曲と、「純愛だけど朝帰り」「風を追いかけて〜CHASIN' THE WIND〜」(表記はないが「お中元」と同じNEW VERSIONでの収録)「HAPPY GO LUCKY」といったポップ色の濃い楽曲が同時に収録されているのはベストならではだが、構成的には若干座りが悪い気が。
憂歌団のベストは定期的に色々なレーベルから発売されており、特にレアテイクも収録されていない本作を率先して手に取る必要はないと思う(手に取るとしたら2枚組のオールタイムベストを推奨、個人的にはフォーライフ期+初期曲の再録も収録の1枚モノのこちらもお薦め)。
なお、憂歌団休眠後は木村・内田を筆頭にソロやセッション活動を開始。4人で集まるということは無いまま2012年秋に島田が突如他界。翌2013年に再結成を発表し、その年の冬に元RCサクセションの新井田耕造が二代目ドラマーとして加入。新規音源の制作は現在のところはないようだが、2014年3月に木村・内田が結成した二人組ユニット「憂歌兄弟」のアルバムに花岡・新井田共に数曲参加した音源が発表されている。
GON-TA

憂歌団と言えばブルース、という固定観念を覆すボサノヴァ調の「純愛〜」を筆頭に、レゲエサウンドの「ミナミの楽園」、シンセやストリングスを起用した癒しのバラード的な「SWEET & MELLOW」など、特に前半部分は異色な曲が多い。演奏も4人+ピアノ、オルガン、曲によってはウクレレなども起用して華やかに楽曲を彩っている印象が強く、かなりキャッチーで聴き心地は良い。後半になるとだいぶ従来のカラーに寄せてはきているが、それでもブルースを求めて憂歌団を聴くリスナーにとっては違和感を持つであろう問題作(?)。
彼らのキャリア中ポピュラーミュージックに最も接近したアルバムかも。憂歌団入門としては明らかに不向きであるが、個人的は彼らの別の側面を見られて結構好きな一作である。
知ってるかい!?

かねてからライブでは積極的にカバー曲を披露し、スタジオ録音でも過去にいくつか発表してきた憂歌団の真骨頂的な企画アルバム。1930年代から1990年代までの楽曲を洋邦問わずに12曲を選曲し新録音。残り2曲はオリジナルの新作だが、「僕は燃えている」では花岡がリードボーカルを取るという珍しい楽曲がある。
楽曲アレンジは「GON-TA」ほどポップ寄りではなく、4人の演奏+ピアノという基本フォーマットにオルガンやパーカッションが曲によって参加するというスタイルで安心して(?)聴ける。歌詞カードの各楽曲にはライナーノーツ(おそらく共同プロデューサーの萩原健太の手によるもの)にてアレンジの方向性など詳しい解説がある。北原ミレイの「石狩挽歌」、ORIGINAL LOVEの「LOVE SONG」、The Cloversの「LOVE POTION No.9」などが特に印象的。総じてなかなかクオリティの高い一作。
ブルース・バウンド

デビュー20周年(1975年10月デビュー)を迎え、結果的には最後のオリジナルアルバムとなった本作は、「GON-TA」のカラフルさから一転、基本的にメンバー4人の演奏で成立するブルース色の濃い楽曲を取り揃えた原点回帰的な作風。前年末にリリースしていた2作のシングルはカラーが異なるからか未収録となり、シングル曲は本作と同時発売の「Fuwa Fuwa〜もう一杯おネエチャン〜」のみの収録となった。
かつてのトリオ期のような泥臭いブルースとはまた少し違う、軽快な「みんな急げ」、年を重ねた渋みが出ている「風のうわさに」「September Moon」、メロウな「バイバイ・ベイビー」など、20年間の熟成を感じさせるナンバーが味わい深い。後期の憂歌団はポップ過ぎてちょっと…と思っている最初期のファンにも聴いてもらいたい作品である。
なお、初回特典として24ページのブックレットが封入。著名人からのお祝いメッセージの他、レコード・CDの写真付き全ディスコグラフィー、活動のバイオグラフィーが詳細に載っており資料が充実。公式サイトが存在しない現在、読本としての価値も高い。
お中元 [ベストセレクション・1993-1996]

「純愛だけど朝帰り」から、当時最新シングルの「ゲゲゲの鬼太郎」(アニメ4期の主題歌に起用)までのワーナー移籍後の全8タイトルのシングル曲、アルバム未収録のカップリング曲を中心に収録。「大地のうた」が未発表の新曲として収録されている。
昨年のオリジナルアルバムでスルーされた「風を追いかけて〜CHASIN' THE WIND〜」「HAPPY GO LUCKY」がここでアルバム初収録。「風を〜」はNEW VERSION名義となっており、オリジナルにピアノの音が追加されるなど大きな変更がありポピュラリティーが追加された。また、カバーアルバム未収録の「TEARS IN HEAVEN」(Eric Clapton)「君といつまでも」(加山雄三)の収録も嬉しいところ。曲順も時系列ではなく練られており、特にラスト1曲前に「WOO CHILD」を配置したのは適材適所(?)。ワーナー時代の作品を一気に俯瞰したいリスナーにはまずはこの1枚からどうぞ。
お歳暮 [ベストセレクションII・1993-1997]

今回はシングル曲は最新シングルの「イヤンなっちゃう節」(シングルとは異なる未発表バージョン)のみ。「GON-TA」「知ってるかい!?」「ブルース・バウンド」の中のアルバム曲からのベストセレクションが中心。加えて「HAPPY GO LUCKY」のカップリング曲だった「パチンコ〜ランラン・ブルース」、未発表作品の「Gee Baby,Ain't I Good To You」(Don Redmanのカバー)がアルバム初収録となった。
アルバム選曲メインということもあり、「お中元」に比べると全体的にインパクトの弱さが否めないのは短い期間での2作目のベストということで仕方がないか。ワーナー期の各アルバムからのダイジェスト盤と思えばこの選曲かな、という気もする。「お中元」を聴いてもっとワーナー時代の彼らの作品に触れたいリスナー向けといったところ。
究極のベスト!

1曲目から3曲目まではART UNION(トリオ在籍時の初期音源っぽい)から版権を拝借、4曲目以降からがワーナー所有音源となる。デビュー曲の「おそうじオバちゃん」(正しくはオバチャンだと思うがこの表記)、「嫌んなった」といった初期の歌唱・演奏の楽曲と、「純愛だけど朝帰り」「風を追いかけて〜CHASIN' THE WIND〜」(表記はないが「お中元」と同じNEW VERSIONでの収録)「HAPPY GO LUCKY」といったポップ色の濃い楽曲が同時に収録されているのはベストならではだが、構成的には若干座りが悪い気が。
憂歌団のベストは定期的に色々なレーベルから発売されており、特にレアテイクも収録されていない本作を率先して手に取る必要はないと思う(手に取るとしたら2枚組のオールタイムベストを推奨、個人的にはフォーライフ期+初期曲の再録も収録の1枚モノのこちらもお薦め)。
なお、憂歌団休眠後は木村・内田を筆頭にソロやセッション活動を開始。4人で集まるということは無いまま2012年秋に島田が突如他界。翌2013年に再結成を発表し、その年の冬に元RCサクセションの新井田耕造が二代目ドラマーとして加入。新規音源の制作は現在のところはないようだが、2014年3月に木村・内田が結成した二人組ユニット「憂歌兄弟」のアルバムに花岡・新井田共に数曲参加した音源が発表されている。
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