ishikawadenims 1990年9月25日にパイオニアLDCよりシングル「Spirits」でデビューした石川よしひろは今年でデビュー30周年。「二十歳の夜」「明日への卒業」「ENDLESS DREAM」等の代表曲を持つシンガーソングライターとしての音楽活動を軸に、オールナイトニッポンなどのラジオDJ、舞台音楽担当、そして役者としても幅広く活動を続ける彼ですが、ベストアルバムの類は意外と少なく、オリジナル音源を基調にしたベストは全3枚。今回の「CD Review Extra」では、その3枚のベストアルバムを1枚ずつレビュー。

デビュー30周年記念・石川よしひろ全ベストアルバムレビュー


DENIMS
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 1994年9月22日発売、初のベストアルバム。全15曲収録。初回限定盤はデニム柄の布張り風外箱+本人の楽曲解説ライナーノーツ記載のブックレットが封入。
 同年7月にアリナミンVのCMソングに起用された最新シングル「ENDLESS DREAM」がスマッシュヒットを記録という好タイミングでのリリース。ここまで発表してきた10枚のシングルから7曲、5枚のアルバムの中から初期3枚までの曲からのセレクション5曲(最新2枚は発売1年後ちょっとの最近作だから外した?)に加え、冒頭に「どしゃぶりの夏」のアンプラグドバージョン、ラストに「Dream Road」のオーケストラバージョンを配置、さらに新曲「Fallin' In Love」が完全新規音源となる。
 本ベストで特筆すべきは、前述3曲+「ENDLESS〜」以外の既存音源11曲をリミックス、さらにボーカルをリテイクしている点。リミックスは各楽器のバランス変更だけにとどまらず、新たなフレーズを追加した楽曲も見受けられ、またボーカルリテイクも歌い直した上に「いつかまた会える」などではハモリを新規で追加するなどかなり手の込んだ内容になっており、過去音源を持っているファンにも十分楽しめる1枚。
 オリジナル音源に絶対的な拘りがなければ、代表曲がほぼ揃う石川よしひろ入門として最適。


SINGLE COLLECTION 1990〜1995
ishikawasingle
 1999年6月23日発売、シングルベストアルバム。全13曲収録。
 石川は1996年よりファンハウスに移籍、さらに1998年末からはポニーキャニオンへ移籍しているのだが、ポニーキャニオンからのシングル第3弾(「道なき道の向こうへ」)の発売二週間前という謎のタイミングでリリースされたシングルコレクション。「同じ気持ちで」「胸いっぱいの片想い」のシングルバージョンはアルバム初収録となる。
 「DENIMS」でスルーされたデビューシングル「Spirits」や、ベスト後のシングル「青春のキャンドル」「Liberty」「I Love You」まで、パイオニアLDC在籍時の全シングルA面曲を時系列順に収録。全てがオリジナル音源なので「DENIMS」と完全に同一バージョンなのは「ENDLESS DREAM」のみというのが最大のアピールポイントか。シングル曲ばかりなので石川節(?)の直球全開であり、アルバムで見せるような聴かせるミディアムやバラードナンバーはほとんど無いのが欠点といえば欠点。パイオニア期のシングルサイドの石川の曲だけが聴きたいというリスナーには完璧な内容ではある。
 恐らく非公認的なベストであるとは思うが、音楽ライター(伊藤博伸)のライナーノーツや歴代のライブデータも記載されており、文献的な価値はあると思う。


SUPER BEST
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 2012年9月5日発売、TSUTAYA限定販売の999円(当時の税込)の廉価盤ベスト「The Best Value」シリーズの1枚としてリリースされたベストアルバム。全15曲収録。
 発売元はジェネオン・ユニバーサル・エンターテイメント・ジャパン(旧パイオニアLDC)…ということで、またしてもパイオニア期限定のベストアルバム。今回は10曲目までが歴代のシングル曲選抜(「胸いっぱいの片想い」のみアルバムバージョン)、11曲目以降はシングルカップリングやアルバム曲からのセレクト。「Still On The Beach」のシングルバージョンがアルバム初収録となった。帯には「セルフセレクション」の表記があり、選曲にあたっては石川本人の意向も反映されている模様。
 シングル曲に関しては前ベストがあるので取り立てて目立ったトピックもないのだが、アルバム曲は「Dream Road」のオリジナルバージョンを含めれば全曲ベスト初収録。メロウな「雨あがりの街」、大団円的な「Just Only Love」など、アルバムの佳曲が並んでいるのは自主選抜ならではの強みか。
 歌詞の羅列のみの歌詞カードや既存作品からの流用のジャケット写真、機械的に並べられた曲順など、廉価盤ゆえのマイナスポイントもあるのだが、選曲・音質については特に文句無しで、パイオニア期の石川のオールタイムベストとして捉えても良い内容である。