tmclips 2020年8月26日発売、TM NETWORKデビュー35周年のフィナーレ企画として「DECADE 2020 HD REMASTER」と同時にリリースされたBlu-ray映像作品。

 元々はデビュー20周年時の2004年末「All the Clips」としてソニー在籍時代(1984〜1994年、1999年)の公式MVを網羅(1曲に複数あるMVは1バージョン)したDVDとして発売。今回はリニューアル盤としてそのDVDの全編をリマスターしたのに加え、特典映像として、1987年にリリースされた映像作品「Self Control and the Scenes from "the Shooting"」をリマスターし収録。「Self〜」も2005年にDVD化されており(現在は廃盤)、本編共々すべてが既発映像。ブックレットは「All the Clips」を踏襲したデザインに加え、3頁に渡る藤井徹貫のライナーノーツ(といっても本作品には全く触れていないからエッセイ?)、そして今回のリマスタースタッフ一覧が詳細に記載されていて僅かながらバージョンアップを感じさせる内容になっています。

 本編の内容に関しては以前に全曲レビューを行っているのでこちらも参照(今回の発売にあたって一部加筆しました)。リニューアル盤の画質ですが、デビュー当時の作品より1985〜1986年の作品のほうが画像がかなり粗かったり、90年代のTMN期以降は画質が向上していたりと、昨年発売のライブBlu-rayボックス同様の感想で、元の映像の保存状態によって大きく左右されている印象。まあ最新のものでも20年以上前の作品だし、現在の家庭用の平均的なテレビの大きさで「ギリギリ観られる」画質になった、というのが正しい表現でしょうか。個人的には「Rhythm Red Beat Black」で宇都宮隆が顔にうっすら白塗りメイク(?)しているように見えたのは新鮮な驚きでしたが。なお、旧DVDと比較すると、画面に出る白い文字(「Kiss You」「Nights Of The Knife」)の明度が少し落ちた=画面に馴染んだかな?という違いを感じました。

 特典映像は、本編でも収録されている「Self Control」のMV制作時に同時進行で撮影されたと思われるショートムービーが約10分、そしてアルバム「Self Control」の収録曲をBGMに、撮影時のメイキングやオフショットを収めた映像が約15分という内容。ショートムービーはストーリー性は一応ありますが、セリフなどは一切なく、メンバー三人の出番よりも出演している子供達のシーンの方が多いという「Self〜」のMVを素材にしたイメージビデオといったところ。むしろエンドロールの木根尚登の妙な動きのほうが気になりました(笑)。メイキング映像も特にメンバーの意外な素顔が!というサプライズもなく普通だな…という感じでしたが、宇都宮が片足を上げて映る映像(後に「Nights Of The Knife」MVで使用)はここからの引用だったのか、という発見が嬉しかったりしました。

 前述の通り、全既発映像のアップコンバーター版なので、旧盤を持っていないリスナー、あるいは筆者のような重度(?)のファン向けで、DVD盤で満足できる層にはわざわざ買う必要はないかな、というのが正直な感想。なおSONY公式では9月末まで、今回の2作品の発売を記念したWebラジオを公開中。旧知の仲であるアナウンサー・上柳昌彦の進行で宇都宮・木根がそれぞれ当時の裏話を語るなかなか面白い内容です。こういうのを副音声にでも入れてくれれば良かったのに(笑)。ファンの方は公開終了前までに是非ご視聴のほどを。