2020年07月26日 13:21

CD Review Extra:THE BOOM 全ベストアルバムレビュー

boom 宮沢和史(Vo)、小林孝至(G)、山川浩正(Ba)、栃木孝夫(Dr)の四人組ロックバンド・THE BOOM。1986年結成、原宿ホコ天での活動を経て、1989年5月にCBSソニーよりメジャーデビュー。1993年のリカットシングル「島唄」のヒットで全国に知名度を広げ、「berangkat -ブランカ-」「帰ろうかな」「風になりたい」等がヒット。以降、数回のレコード会社移籍と活動休止、各自のソロ活動を繰り返しながら、2014年12月17日の日本武道館公演をもってバンド解散という歴史を辿った彼ら。今回の「CD Review Extra」では、彼らが残した全ベストアルバムを公認・非公認含めて1枚ずつレビュー。「続きを読む」からご閲覧ください。

THE BOOM 全ベストアルバムレビュー


THE BOOM
BOOM1
 1992年9月21日発売、タイトルにバンド名を冠した初のベストアルバム。全14曲収録。
 1989年のデビューアルバム「A PEACETIME BOOM」から、当時最新作の「思春期」までの4枚のアルバムから選曲され、全曲リミックスで収録されている。各アルバムから2〜3曲とバランス良く選ばれているが、この時点でのシングルの半数は未収録。収録シングルも「星のラブレター」「気球に乗って」などのミディアムナンバーが中心で、ハイテンションなスカ調シングルは意図的に避けられたかのような印象を受ける。全体的に普遍的なナンバーの並びとなり、時代の色を感じさせない「初期ベスト」として聴ける1枚。
 本作の発売の翌年に「島唄」がリカットされてヒットを記録。その影響でこのアルバムもロングセラー的なチャートアクションを続けていたのが印象深い。現在は安価な中古CDとして入手可能だが、その内容からか90年代末ぐらいまではなかなか中古市場では値が崩れない作品であった。


THE BOOM 2
BOOM2
 1997年1月22日発売、「THE BOOM」の続編となるベストアルバム。全11曲収録。
 前ベスト以降にリリースされた1993年〜1996年のシングル、オリジナルアルバム「FACELESS MAN」「極東サンバ」「TROPICALISM-0°」からの選曲。最も古い曲である「月さえも眠る夜」は新規リミックスで収録、「手紙」のシングルバージョンはアルバム初収録。この時期特有のワールドミュージックに傾倒した作品群が選曲対象ということで、サンバ・ラテン等の賑やかで体温を感じる楽曲を数多くセレクト。コミカルな楽曲はこの時期になると一気に無くなってしまったが、「berangkat -ブランカ-」「風になりたい」などのヒット曲も収録され、よりアーティスト性を高めた時期の総集編としては良いガイド盤になっていると思う。


THE BOOM 2(BLUE)
BOOM3
 1997年3月21日発売、「THE BOOM 2」の兄弟盤的なベストアルバム。全12曲収録。
 選曲対象は「〜2」と同範囲で、シングル曲の収録は「帰ろうかな」「時がたてば」の2曲に留まり、アルバム曲からのセレクトが多くを占める構成に。結果かなりマニアックな裏ベスト的な内容となり、この後に出るベストの類には選ばれない曲が満載。かといって「隠れた名曲」と言うには…という曲も多く、オールタイムベストの次の1枚としてもあまりお薦めはしない。
 余談だが、発売当時のインタビューで「THE BOOM 2」にも(RED)とサブタイトルを付けたかったがタイトル決定の締め切りに間に合わなくて断念した、という冗談だか本気だか分からない話をメンバーがしていたのだが、真相はどうだったのだろうか(笑)。


Singles+
BOOM4
 1999年2月27日発売、これまでリリースされてきたソニー時代の全シングルを網羅したシングルコレクション。CD2枚組全21曲収録。
 DISC 1は「Single Tracks」として、デビューシングル「君はTVっ子」からこの時点での最新(と言っても1996年)シングル「時がたてば」まで、THE BOOM単独名義のシングルをほぼ時系列順に収録。1991年のシングル「恐怖の昼休み」はここでアルバム初収録となった。1stベスト「THE BOOM」の選曲から弾かれた初期のスカ調シングルが一気に聴けるが、「逆立ちすれば答えがわかる」「みちづれ」などのブッ飛んだ勢いの楽曲と、ブレイク以降のアーティスティックな楽曲との落差が激しく、後追いになるほど初期作品のノリには衝撃を受けるかもしれない。
 DISC 2はコラボレーションシングルを中心に収録した「Bonus Tracks」。元々はシングルのカップリング曲だったが後にシングル表題曲として再発された「中央線」もこちらに収録。「島唄〜ウチナーグチ・ヴァージョン〜」、矢野顕子とのコラボ「釣りに行こう」「それだけでうれしい」、矢野&宮沢名義の「二人のハーモニー」、MIYA&YAMI名義の「神様の宝石でできた島」と、彼らのサブワーク的な楽曲が一気に手に入るので嬉しい内容である。
 なお、2003年1月にはタイトルを「Singles+α」と改め、アルフレド・カセーロと共演した(詳細は後述)「島唄」のライブ映像が収録したDVDを追加して再発されている。


STAR BOX EXTRA
BOOM5
 2001年12月5日発売、元ソニー所属のアーティストを対象にしたレコード会社主導の企画ベストアルバム「STAR BOX EXTRA」シリーズの1作。全15曲収録。
 当時の彼らは活動休止を経て東芝EMIに移籍しており、今回の選曲対象は当然ソニー時代(〜1996年)まで。シングル曲中心のオールタイム選曲であり、この時点では(レコード会社主導とはいえ)THE BOOMのソニー時代の代表曲を1枚で揃えることのできる優秀なベストアルバムだった。2009年発売の公認オールタイムベストに全曲収録されているので現在の価値は微妙なところ。ソニー時代だけのオールタイムベストが欲しいなら本作が一番手っ取り早い。


SHIMA UTA -Grandes Exitos-
BOOM6
 2002年9月19日発売、南米向けインターナショナル盤(帯より)。全13曲収録。
 2001年にアルゼンチン人のアルフレド・カセーロが「島唄」をカバーしたアルバムがアルゼンチンでヒット、翌年のサッカーワールドカップの同国代表の応援歌に採用。これが話題になり、日本でも同曲の各バージョンを収録したマキシシングルがヒットを飛ばす中、アルゼンチン・ソニー・ミュージックの要請により、南米スペイン圏に向けてのインターナショナル盤ベストを発売。日本でも公式に逆輸入盤としてリリースされた…という異例の経緯を辿ったベストアルバム。上記については本作に封入されている日本語訳の1枚紙に詳しく解説されている。
 選曲は「島唄」+「THE BOOM 2」収録範囲の年代からに絞られており、ワールドミュージックを主体に「風になりたい」「帰ろうかな」等のヒット曲も交えた、南米圏に受けそうなノリの良い楽曲が並ぶ。沖縄系は「島唄」「いいあんべぇ」(のリミックス)しかないのでいわゆる「沖縄ベスト」とは異なる(同年夏に当時所属の東芝EMIから沖縄系楽曲のセレクションアルバムは出ている)が、ワールドミュージック傾倒期の美味しい所をアルバム曲も含めて1枚にまとめているので、この時期の楽曲の雰囲気をさらっと味わうには最適な作品。


89-09 THE BOOM COLLECTION 1989-2009
BOOM8
 2009年5月10日発売、メジャーデビュー20周年を記念して企画されたベストアルバム。CD2枚組全30曲収録。同一内容・同一価格のBlu-spec CD2仕様盤が2014年10月にリリースされている。
 デビュー日の1日前にニューシングル「夢から醒めて」と同時に発売。なおシングルは新たに移籍したavex内レーベルFIVE D plusからの発売だが、本作はソニーからの発売となった。1989〜1996年のソニー期、1999〜2004年の東芝EMI期からのオールタイム選曲に加え、2001年にインディーズでリリースしたTHE BOOMバージョンの「神様の宝石でできた島」がアルバム初収録。2005年以降はリリース活動が途絶えていたので、アルバムタイトルと内容には齟齬がある。
 初期の代表曲「星のラブレター」から始まり基本的には時系列順に収録。ソニー時代の20曲(DISC 2の5曲目まで)は取りこぼしなしで選ばれる曲は選ばれ…という王道的選曲で過去のベストと大差は無い。それ以降のEMI時代のセレクトは初なので新鮮。この時代は特にヒット曲は出なかったものの、「NO CONTROL」から「百景」までのアルバムからシングル・アルバムに拘らずに選曲されており、より懐の深くなった彼らの音楽をダイジェストで堪能できる。DISC 2のトリを務める「明日からはじまる」は既発曲ながら、20年間を振り返る本作全体のフィナーレに相応しい好配置。この後にもう一作ベストが発売されているが、後述の理由によりTHE BOOM入門に最も適しているのは本作だと思う。


THE BOOM HISTORY ALBUM 1989-2014 25 PEACETIME BOOM
BOOM10
 2014年9月17日発売、「ヒストリー・アルバム」と銘打たれたTHE BOOM最後のCDリリース作品。通常盤はCD2枚組全28曲、DVD付きのプレミアム盤はCD2枚組全30曲収録。発売元は当時所属のYOSHIMOTO R&Cから。
 デビュー25周年を迎えた2014年3月末に年内での解散を発表。5月に25周年記念シングルとして「星のラブレター」の再録音バージョンをリリース。それに次いだ本作は「ライブで人気の高かった曲」を中心に全活動期の楽曲の中から25曲を選曲、うち初期の7曲(「星の〜」を含めると8曲)を再録音、加えて「島唄」も2013年の再録音バージョンが収録。ボーナストラックは通常盤はライブテイク3曲、プレミアム盤はさらにライブテイク1曲+デビュー前の自主制作テイク曲1曲を追加して収録している。
 2009年以降のavex、R&C所属期の楽曲が初のベスト選曲対象となり6曲選曲。実質は解散を迎えるにあたってのオールタイムベストにあたるのだが、セールスポイントは年輪を重ねたバンドの演奏と包容力を増した宮沢のボーカルでの初期曲の再録であり、純粋なオリジナル音源でのベストアルバムとしては前ベスト「89-09〜」に軍配が上がるが、歌詞カードでの1曲ごとの楽曲紹介、メンバーの最新のアーティスト写真、全オリジナルアルバムのディスコグラフィーなど、最後ならではの歴史集大成感があり、これまで応援してくれたファンへの贈り物といった趣の強いメモリアル作品。


【番外編】BEST HIT / SUPER HIT
BOOM7BOOM9
 ソニー元在籍アーティストの宿命(?)か、明らかな非公認ベストも2作確認できたのでまとめて紹介。
 「BEST HIT」は2008年7月1日発売、全12曲+「島唄」「風になりたい」のカラオケ付き、「SUPER HIT」は2013年4月10日発売、全15曲+「星のラブレター」「島唄」のカラオケ付きという内容。どちらもソニー時代からのセレクションで、「89-09〜」には全曲収録されている。カラオケ付きなのがレアと言えばレアか。中古流通市場ではたまに廉価で見かけることがある。

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