perfumebest 2019年9月18日発売、同年メジャーデビュー15周年を迎えたPerfumeのオールタイム・ベストアルバム。CD3枚組全52曲収録。販売形態はCDのみの通常盤、特典映像入りのDVD/Blu-ray付きの初回限定盤、加えてスペシャルパッケージ、フォトブックレットも付属の完全生産限定盤、さらにアクリルフォトキューブ付きのアスマート/UNIVERSAL MUSIC STORE限定販売盤と多種多様ですがCD盤の内容はすべて同一。本レビューは通常盤となります。

 メジャーデビュー初期の2006年にインディーズ期を含めたベスト、現在所属のユニバーサルに移籍した直後の2012年に古巣の徳間ジャパンから海外向けとして企画されたベストがそれぞれ発売されていますが、本作は初のオールタイムベストという触れ込みで、2005年のメジャーデビューから2019年までにリリースした楽曲を、レコード会社の垣根を越えてコンパイルした作品。DISC_01は未発表の新曲「Challenger」からスタートし、これまでリリースしてきたシングル全A面曲、各アルバムからの楽曲を時系列順に収録し、DISC_03の最後には先行配信されていた「ナナナナナイロ」を配置して締め、というメジャーデビュー以降のPerfumeの足跡を余すところなく羅列するという構成になっています。なお、シングル曲は「edge」「Magic of Love」のみアルバムバージョンでの収録。選曲にはメンバーも参加しており、かなりのボリュームですがこれでも収録し足りない曲もあったとのこと。

 さて、DISC_01から順に聴いてPerfumeの音楽的変遷を…と書きたいところですが、彼女達の場合はコンポーザーである中田ヤスタカによるプロデュースが変わらず続いていることもあり、時期によってはクールに徹したり、キャッチーな方向に行ったりを繰り返しながらも、15年間最初から最後までエレクトロサウンドが軸。よって曲調も極端には変わらず、どこから聴いても普遍的なPerfumeナンバー…という感想にどうしてもなってしまうのですが、各楽曲の安定性は抜群。この路線を長年続けて人気を保ち続けている稀有な女性グループとして、日本の音楽シーンの中では際立った存在である理由はこの安定感にこそあるのかも。

 個人的にはDISC_02の中盤あたり、「レーザービーム」「MY COLOR」、移籍直後の「Spring of Life」などポップ色が前に出ていた時期が一番好きかな、という感想ですが、かと思えば同ディスクの「FAKE IT」やDISC_03に収録の最新アルバムからの「FUSION」も好きだしと、こうやってまとめてPerfumeの曲を聴くのも久々だったのですが、懐かしさもあり楽しめました。それにしても代表曲「ポリリズム」はDISC_01の7曲目という早い時点で登場というのが驚き。前述の通り収録曲は時系列なわけですが、この曲は2007年作品。もうそんなに経ったのか…と時間の流れに遠い目をしそうになってしまいました(笑)。

 本作の発売当時のキャッチフレーズのひとつ「Perfumeの入門編」というキーワードを見た時は、「52曲もあるのに入門編?!」と思ってしまったわけですが、メジャー以降の全シングルを収録、アルバムからのピックアップも有り、しかも通常盤3,500円程度で彼女達の15年間の楽曲の美味しいとこどりどころかほぼ網羅的に手に入れられる、という意味では他のCDを集めなくてもこれ1作でも充分オッケーの入門編なのかも。オリジナルアルバムを聴くぐらいのリスナーには各シングル曲のシングルバージョンが一気に手に入れられるのもお得だし、熱心なコレクターには(値は張りますが)特製アイテムやブックレット付属の限定盤ありと、色々な層からのニーズにも応えられるベストだと思います。まあどのディスクも75分超えでギッチリ収録されているので、全部聴くのは正直大変でしたが(苦笑)、Perfumeの音楽史を一気に体感できる内容でした。