
2019年はTMデビュー35周年…というのは本ブログに来訪されている方は重々ご承知だと思いますが(笑)、現状ではメンバー三人のうち、リーダーである小室哲哉が芸能界を引退しているということもあり、メモリアルイヤーの展開は過去の映像作品集やファン投票のベストアルバムぐらいに留まり、ユニットとしての稼働は無しのまま終わってしまいました。そのフォロー…という言い方も変ですが、宇都宮が「僕なりの35周年」として、ソロ名義でTMの楽曲を取り揃えたライブツアーを敢行。サポートミュージシャンはかなり珍しい編成(前回のツアーからのようです)で、キーボードが土橋安騎夫、浅倉大介、nishi-kenの3名、ギターが北島健二という、それぞれTMや宇都宮ソロに関わった経験のあるメンバーが集結し、全国7都市12公演(+翌年2月の追加公演)を回ったそうです。
選曲は各サポート陣のソロコーナーを除くと、全曲がTM楽曲。ツアータイトルの原型でもある「Dragon The Festival」を筆頭に、SONY、Rojam、R&C、そしてavexという全活動年代からの楽曲を万遍なくチョイス。TMのライブでの定番の「Be Together」や「Love Train」「Seven Days War」「I am」といったヒット曲・代表曲を要所に配置しながらも、「クロコダイル・ラップ」「Fantastic Vision」などの初期曲、宇都宮も鍵盤演奏に参加したマイナーキネバラ「We Are Starting Over」、更にさわりの部分だけとは言え「WELCOME BACK 2」等々、コアなTMファンが喜びそうなマニアックな曲も披露され、全時代のファンが楽しめるような内容になっているのが好ポイント。
バンドとしての形態は前述の通り特殊であり、必要に応じて舞台中央後方にある簡易的なドラムセットで主に北島が演奏する曲もあるのですが、基本的にはリズム隊は打ち込み+三人のキーボーディストのプログラミングを含めた音+生ギターという編成で、生バンドでの演奏を体感するのに慣れた身からすると最初のうちは違和感は否めなかったのですが、鑑賞しているうちに「こういうのもアリかもな」と思えるほどの各鍵盤奏者の熱演が見所。ライブ全体としてはカーニバル小屋(?)に見立てたテントや、神出鬼没のパントマイマーのパフォーマンスなど、ストイックだったTM30周年の演出とは異なる賑やかな雰囲気で進行していく「宇都宮隆 feat. TM NETWORKというお祭り」といった印象を受けました。
映像の最後には「Message from Tetsuya Komuro & Naoto Kine」というチャプターが。この公演に訪れた小室と木根尚登のそれぞれのライブ感想のコメントが短いですが収録されています。特に表舞台から姿を消した小室の最近の様子が見られるのは嬉しい(髪型の変貌が凄かったですけど・笑)一方、本来であればこの三人で集まって何かやってくれたんだろうなぁ…と思うと複雑な心境。ただ、コメントを聞く限りではまだ次の一手を考えてるんじゃないかな?と思える発言もあったりで、ファンとしては気長に待つしかないですね。TMの代替…というと失礼な発言になるかもしれませんが、ウツには本当に感謝の35周年でした。
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