tmgffm 今週は特に大きな話題もありませんが、SONYのTM35周年記念サイトにて、当初は4月24日までの限定公開だったウェブラジオが公開期間を5月24日の23時59分までに延長している模様。あと二週間ぐらいですが未聴の方はどうぞ。さて今回の「Gift from Fanks M」全曲レビューは、DISC 2の全11曲です。




TM NETWORK「Gift from Fanks M」全曲レビュー・中
 ※編曲は特記のない場合は全曲:小室哲哉。

DISC 2

1.KISS YOU
 作詞:小室みつ子/作曲:小室哲哉
 1987年10月1日発売、11thシングル。投票順位40位。
 重ためのビートに乗せて、宇宙から地球の歴史や文化を俯瞰しているような歌詞が特徴のロックナンバー。一般的な知名度はさほどでもないと思うが、発売からTMNリニューアル直後までのライブでは定番曲だった。なお曲の冒頭や間奏などに「出会う為に生まれた〜」等、ラジオボイスでポエム(?)を読むような声が薄く聴こえるが、この部分のテキストは発売当時のシングル盤に掲載されている。多分喋っているのは小室哲哉の声。
 直後の5thアルバム「humansystem」にはバンド色を強めた「More Rock」バージョンで収録。1989年4月には18thシングルとしてBernard Edwardsがリプロダクションした「〜(KISS JAPAN)」バージョンがリリース。今回の投票では前者は85位、後者は94位にそれぞれランクインするなど、バージョン毎にそれぞれ支持を集めている曲のようだ。

2.CHILDREN OF THE NEW CENTURY
 作詞:小室みつ子/作曲:小室哲哉
 1987年11月11日発売、5thアルバム「humansystem」収録曲。投票順位18位。
 発売一年後の「1988年」の視点からそれほど遠くない未来、新世紀を直前に控えた「1999年」に思いを馳せるアルバムのオープニング曲。アルバム全体を貫くシリアスでロックテイストな高揚感のある曲で、20周年時のファン投票ベスト「Welcome to the FANKS!」でも11位という人気の高さに反して、ライブでは発売直後以外全くといっていいほど披露されないレア曲…だったのだが、2015年3月の横浜アリーナライブ「30th FINAL」では久々にフル演奏。その時の会場にて販売されたシングル「Get Wild 2015 -HUGE DATA-」のカップリング曲として、2013年7月のさいたまスーパーアリーナライブ「FINAL MISSION -START investigation-」の序盤で流れたインストバージョンのスタジオ録音版が商品化された。なお、あまり知られていないが1999年のTM再始動の際に、小室プロデュースでtohkoがこの曲をアルバムでカバーしている。

3.BE TOGETHER
 作詞:小室みつ子/作曲:小室哲哉
 5thアルバム「humansystem」収録曲。投票順位24位。
 16ビートのドラムが終始主導し、主にライブ序盤や後半の盛り上げポジションの役割を担っていたスピード感のある楽曲。長らく「アルバムの中のライブ用盛り上げ曲」的なポジションだったのだが、1999年7月、TM再始動のタイミングで鈴木あみがシングルタイトル曲としてカバーし80万枚超の大ヒットに。これによりファン以外にもこの曲の認知度が高まり、同年8月に企画マキシシングルとしてカットされた「Get Wild」のカップリング曲に抜擢されるなどTM側でも扱いに変化が見られた。ライブではほぼ鉄壁のレギュラーとして存在感を示し続けている。
 バージョン違いとして、1989年5月の「DRESS」にはJonathan Eliasによるリプロダクションが、2014年4月の「DRESS2」には「〜2014」として完全新録バージョンがそれぞれ制作された。

4.RESISTANCE
 作詞:小室みつ子/作曲:小室哲哉
 5thアルバム「humansystem」収録曲。投票順位8位。
 発売翌年の1月1日に12thシングルとしてカット。1〜3月期のドラマ「痛快!ロックンロール通り」の主題歌に起用された。元々はバラードだったらしいがアレンジ・歌詞を変更して現在の形になったとのこと。街を出ていく「君」を見送る主人公の目線での歌詞は「Get Wild」とは逆のシチュエーションだが、曲の構成やアレンジ的には「Get〜」の延長線上にある楽曲だと思う。
 「Welcome to the FANKS!」では12位。1989年の「DRESS」ではJonathan Eliasにより、原曲からは想像もつかないようなおどろおどろしい(?)アレンジでリプロダクションされた。

5.THIS NIGHT
 作詞・作曲:小室哲哉
 5thアルバム「humansystem」収録曲。投票順位46位。
 出逢い、すれ違い、片想い、別離等、対人関係を描いた曲の多いアルバムの中において、最も距離の近い二人の一夜を描いたラブソング。この時期としては珍しい小室の単独作詞作品だが、デモテープ段階では歌詞が異なっており、1994年5月の「GROOVE GEAR」にて小室自らが元々の歌詞で歌うデモテイク(Ver.0)が収録されている。

6.BEYOND THE TIME(メビウスの宇宙を越えて)
 作詞:小室みつ子/作曲:小室哲哉
 1988年3月5日発売、13thシングル。投票順位4位。
 アニメ映画「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア」主題歌。楽曲全体の重厚なエフェクトや、宇宙から眺めた地球の描写、「いくつもの罪を繰り返す」「あやまちの船に揺られてく」等の表現はガンダム的だが、直接映画の内容に言及している訳ではなく、この時点までのガンダム史全体のイメージソングといったところ。同年12月の6thアルバム「CAROL -A DAY IN A GIRL'S LIFE 1991-」に収録されたリミックスバージョン(EXPANDED VERSION)も、「T」盤に収録された。
 現在ではガンダムファンを中心に一般的知名度の高い曲だと思われるが、1994年の「終了」まではほとんどライブでの披露の機会が設けられなかった。1999年の活動再開以降は要所要所で演奏され代表曲としての印象が増している。

7.SEVEN DAYS WAR
 作詞:小室みつ子/作曲:小室哲哉
 1988年7月21日発売、14thシングル。投票順位12位。
 映画「ぼくらの七日間戦争」主題歌。イントロ無しで歌が始まり、特に奇を衒った進行もなく曲が進み、最後はシンガロングタイプのコーラスまで登場して盛り上がるという、TMにしてはかなり世間一般的なフォーマットに則った王道バラード曲。歌詞も理不尽な締め付けから自由を求めるために戦う意志を示しており、映画のテーマと見事にシンクロ。当時の主要なTMのファン層(中高生ぐらい)のニーズにマッチしていただろう内容になっている。6thアルバム「CAROL」ではバンドサウンドを強調したリミックス(FOUR PIECES BAND MIX)で収録(投票順位80位)。またこのバージョンにシンセストリングスを被せた新規リミックス(album overdub mix)が1993年8月の「CLASSIX 2」に収録された。
 2019年12月に公開されたアニメ版映画「ぼくらの七日間戦争」の発売に合わせて、同月4日に前作「BEYOND THE TIME」と共に7インチのEP盤として限定再発された。果たして需要はあるのだろうか。

8.GIRLFRIEND
 作詞:小室みつ子/作曲:木根尚登
 14thシングル「SEVEN DAYS WAR」カップリング曲。投票順位38位。
 映画「ぼくらの七日間戦争」挿入歌でこちらもバラード曲。束縛を嫌う女友達(君)の凛とした姿を「僕」目線で描いている。表題曲が「動」ならばこちらは「静」といった佇まいで、表裏一体のシングルだったと思う。オリジナルアルバムには未収録だが、1994年6月の終了時バラードベスト「TMN BLUE」、1999年1月の企画ベスト「STAR BOX」等、公式・非公式含めてベストアルバムへの収録機会は多い。

9.COME ON EVERYBODY
 作詞・作曲:小室哲哉
 1988年11月17日発売、15thシングル。投票順位29位。
 「YOUR SONG」以来、シングルでは3年ぶりとなる小室の単独作詞楽曲。翌月の6thアルバム「CAROL」からの先行シングルだが、「君」を鼓舞する抽象的な内容の歌詞が乗ったシンプルに盛り上がれるナンバーであり、ストーリー性の高いアルバムの「CAROL組曲」とは印象が異なる。一般的なTMのイメージでシングルを切った、という戦略だったのだろうか。
 翌年4月には17thシングルとしてNile Rodgersがハウス風にリプロダクションした「〜(with Nile Rodgers)」バージョンがリリース。1993年8月の「CLASSIX 1」では原曲にリズム周りとシンセ系の音をオーバーダビングした「garage mix」が発表されている。

10.JUST ONE VICTORY(Remix Version)
 作詞・作曲:小室哲哉
 1989年3月21日発売、16thシングル。投票順位58位。
 「CAROL」に収録されていた原曲(「T」盤にも収録)をJason Corsaroがリミックス。生音基調だった原曲と比較してかなり煌びやかになり、特にリズム隊が強調されてシングル的な要素を全面に出してきている。なお、原曲では最後まで完奏した後でピアノによるインスト演奏が入るのだが、こちらはピアノ演奏はカットされ、演奏も途中でフェードアウトする。このテイクで完奏するバージョンが1993年の「CLASSIX 2」に収められた(single 7' version)。
 2014年の「DRESS2」ではリメイク版が制作された(〜2014)。また変わり種として2009年の「THE SINGLES 2」の初回限定盤特典ディスクにて、間奏の「Chase In Labyrinth」が引用される部分のボーカル部分を取り除いた「LONG No Breakdown」バージョンが商品化されている。

11.Get Wild '89
 作詞:小室みつ子/作曲:小室哲哉
 1989年4月15日発売、19thシングル。投票順位20位。
 同日に「COME ON EVERYBODY(with Nile Rodgers)」「KISS YOU(KISS JAPAN)」と三作同時発売されたリプロダクションシングルの1枚。派生に派生を重ねまくる「Get Wild」リミックスの雛型であり、Pete Hammondの手により長尺のユーロビート仕様に生まれ変わった。ライブでもこのバージョンをベーシックに演奏される機会が多く、一連のリプロダクション作品の中では群を抜いての知名度を誇る。このバージョンにオーバーダビングを施したリミックス(techno overdub mix)が1993年の「CLASSIX 2」に収録。


(以下、後日更新予定の「DISC 3」に続きます)