
TM NETWORK「Gift from Fanks M」全曲レビュー・前編
※編曲は全曲:小室哲哉。
DISC 1
1.金曜日のライオン(Take it to the lucky)
作詞・作曲:小室哲哉
1984年4月21日発売、デビューシングル。投票順位14位。
職業作詞家に依頼したが曲が難しくて付けられないという理由で断られ、代わって小室自身が書いた、という逸話が語られる作詞家としての小室のデビュー作でもある(作曲家としてはTMデビュー前に既にアイドル等に提供していた)。アフリカを舞台に出会いと別れを描いたラブソングで、その後のTMの作風に繋がるような要素はそれほど見受けられないが、2004年のデビュー20周年時のシングル「NETWORK TM」ではトランスアレンジで(「TAKE IT TO THE LUCKY」)、2014年のデビュー30周年時のセルフリプロダクトアルバム「DRESS2」ではEDMアレンジで(「〜2014」)それぞれリメイクと、節目ごとにアップデートが行われている。
2.アクシデント
作詞:松井五郎/作曲:小室哲哉
1985年5月22日発売、3rdシングル。投票順位51位。
一ヶ月後に発売の2ndアルバム「CHILDHOOD'S END」のカラーである「現実を舞台にしたラブソング」に即したプロモーションの鑑のような楽曲。2014年の「DRESS2」でリメイク(「ACCIDENT 2014」)された。なお、松井五郎は同年の12thアルバム「QUIT30」に「If you can」という曲で実に29年振りにTMに作詞を提供している。
3.永遠のパスポート
作詞:SEYMOUR/作曲:小室哲哉・木根尚登
1985年6月21日発売、2ndアルバム「CHILDHOOD'S END」収録曲。投票順位32位。
SEYMOURはデビューアルバム「RAINBOW RAINBOW」で3曲作詞を提供(お蔵入りになった「OPEN YOUR HEART」「グリニッジの光を離れて」を含めると計5曲)した麻生香太郎の変名。前作ではかなりインパクトのある歌詞を書いていたが、今回は海岸近くでの車の中でのカップルの痴話喧嘩というほのぼのした(?)テーマの作品。実は元々は小室が書いたSF的な歌詞(麻生の詞とは全く異なる)が付いており、レコーディング前のライブではその歌詞で披露されていた。2008年の「THE SINGLES 1」の初回限定盤特典ディスクのライブ音源にて元の歌詞の確認が可能。
特にライブの定番曲というわけでもなく時代と共に埋もれていったアルバム曲だと思うのだが、1994年の東京ドームでの終了ライブ1日目で披露され、映像作品としても残ったということで知名度を上げたのか、2004年のファン投票ベスト「Welcome to the FANKS!」では投票順位14位となり収録。さらに2014年の「DRESS2」ではまさかのリメイク(「〜2014」)に始まり、30周年のグッズとしても登場するなど、年を経るごとに出世していった珍しい曲。
4.FANTASTIC VISION
作詞・作曲:小室哲哉
3rdシングル「アクシデント」カップリング曲。投票順位45位。
「アクシデント」と共に2ndアルバム「CHILDHOOD'S END」にも収録された。TMの中でも明るい曲調、歌詞の内容も珍しくハッピーなブライダルソングで、福岡県の天気予報番組で使用し続けられているそうである。全国的にはマニアックな曲であるが、2003年のEPICの企画盤ベスト「THE LEGEND」、2012年の「ORIGINAL SINGLES 1984-1999」等、ベスト盤への収録経験は既にある。
5.YOUR SONG(TWINKLE MIX)
作詞:小室哲哉/作曲:小室哲哉・木根尚登
1985年11月28日発売、ミニアルバム「TWINKLE NIGHT」収録曲。投票順位62位。
先行して発売された5thシングル「YOUR SONG("D"Mix)」から、コーラスやサンプリング、オーケストラヒットなどの実験的な要素をオミットし、コンパクトに4分弱でまとめたバージョン。特に何のギミックもなく歌が始まって終わる、という普通の仕様になったが、元々この曲は上記の実験的部分がアピールポイントだったということもあり、このバージョンではかなり物足りなさを感じる。なお「T」盤に収録された「("D"Mix)」は34位にランクインと両バージョンにかなりの差が開いた。このバージョンでのベストアルバム収録は初。
6.Confession 〜告白〜
作詞:西門加里/作曲:木根尚登
1986年6月4日発売、3rdアルバム「GORILLA」収録曲。投票順位54位。
2ndアルバムまではアップテンポの曲も手掛けていた木根がバラードメインの作曲家としての地位を確立し始めた時期に誕生した、異国の地で遠距離恋愛中の彼女を想う主人公の日常風景を綴った初期のキネバラ代表曲。1987年の初ベスト「Gift for Fanks」にも収録され、1989年の「DRESS」には「Jimmy Bralower and Peter Wood」名義でのリアレンジバージョンが収録。こちらは投票順位71位。惜しくも収録範囲70位までには届かずの次点であった。1993年8月の「CLASSIX 1」には「promotion mix」としてリミックスされている。
7.You can Dance
作詞:西門加里/作曲:小室哲哉
1986年4月21日発売、6thシングル「Come on Let's Dance(This is the FANKS DYNA-MIX)」カップリング曲。投票順位68位。
生音のリズム隊とホーンセクション、そして英語のコーラスが全編をリードするライブ向けの楽曲。リリース以降、80年代のライブツアーではほぼ終盤の盛り上げゾーンで演奏されていた。1994年の終了ライブでは2日目に歴代サポートギタリストであったB'zの松本孝弘をゲストに迎えて演奏。映像作品では肖像権の都合か松本が全く映らないカメラアングルのものがリリースされていたが、2019年5月のBlu-rayボックス「TM NETWORK THE VIDEOS 1984-1994」では松本の姿がちゃんと映るように編集し直して商品化された。「Come on〜」と共に3rdアルバム「GORILLA」にも収録。
8.雨に誓って 〜SAINT RAIN〜
作詞:西門加里/作曲:小室哲哉・木根尚登
3rdアルバム「GORILLA」収録曲。投票順位42位。
アルバム発売の後に7thシングルとしてカットされた「GIRL」のカップリングにもなった。生音基調のファンキーでアップテンポなメッセージソング…という点では「GORILLA」のコンセプト(=「FANKS」)には一致しているのだが、メロディーがどこか歌謡曲的であり、同アルバム内の「NERVOUS」や「You can Dance」とはちょっと毛色の違う印象を受ける。ファン人気は意外にも(?)高いようで、2004年の「Welcome to the FANKS!」では18位にランクインするなど大健闘。
9.All-Right All-Night(No Tears No Blood)
作詞:小室みつ子/作曲:小室哲哉
1986年11月21日発売、8thシングル。投票順位36位。
「GORILLA」の延長線上にあるFANKSサウンド直系の反戦を歌ったアップテンポナンバー。Aメロ、Bメロ、サビとそれぞれに早口部分があるのでTM楽曲の中でもボーカリスト泣かせの曲であると思う。なお、本作より西門加里が本名の小室みつ子名義での作詞提供を開始した記念すべき(?)シングルでもある。
10.Self Control(方舟に曳かれて)
作詞:小室みつ子/作曲:小室哲哉
1987年2月1日発売、9thシングル。投票順位2位。
「Get Wild」に次ぐ知名度を誇ると思われる彼らの名刺代わりの楽曲のひとつ。ライブではシンセのイントロで一気にテンションが高まる爆発力を持ち、サビではオーディエンスが人差し指を突き上げる振付(?)で会場が一体になる効果をもたらす、まさに代表曲。同年初の日本武道館公演「FANKS CRY-MAX」でのライブバージョンが11thシングル「KISS YOU」のカップリングとして収録された。著名な曲なのだが意外にもTM名義でリメイクされたのは2014年の「DRESS2」の時の一回きり(「〜2014」)。「Welcome to the FANKS!」では17位にランクイン。
11.Don't Let Me Cry(一千一秒物語)
作詞:神沢礼江/作曲:小室哲哉
1987年2月26日発売、4thアルバム「Self Control」収録曲。投票順位66位。
元々はシングル候補として制作されていた曲とのことで、確かにアルバム曲の中でもインパクトのあるメロディーであったり、昨年までのFANKS路線の残り香を感じさせるアレンジになっていたりと気合の入った印象を受ける楽曲。1989年の「DRESS」ではJellybeanによるイントロとアウトロにやたら尺を使ったアレンジとしてリメイク。小室自身のリアレンジとしては1991〜92年の「TOUR TMN EXPO」にてテンポを落としハウスアレンジを試みたバージョンが披露され、こちらは1992年のライブ編集盤「COLLOSSEUM II」に収録。
12.Time Passed Me By(夜の芝生)
作詞:小室みつ子/作曲:木根尚登
4thアルバム「Self Control」収録曲。投票順位22位。
幼馴染の少女が時を重ねて大人になっていく姿を見つめる主人公の「それ以上綺麗にならないで」「それ以上離れていかないで」という、複雑な心境を描いたキネバラ。切ない歌詞にアコギとパーカッションメインのシンプルなアレンジがマッチした名曲である。「Welcome to the FANKS!」にも6位という高順位で収録されていた。
1993年の「CLASSIX 2」では「zurich mix」(投票順位74位)「moonlight mix」の2バージョンが収録。前者はほとんど原曲と変化のないリミックスだが、後者はサビや間奏での英語コーラスを抽出し、それだけで短い曲を作ってしまったという異色のリプロダクト作品。
13.Here,There & Everywhere(冬の神話)
作詞・作曲:小室哲哉
4thアルバム「Self Control」収録曲。投票順位16位。
小室が中学3年生の時に作った曲と明かしている。アレンジはポップで明るいのだがギリシャ神話のオリオンとアルテミスの逸話を引用しながら別離した相手を想う、悲劇的なテーマのいわゆるバラッド。「Welcome to the FANKS!」では8位。ライブでは宇都宮が珍しくギターを弾きながら歌っていた。
14.Fool On The Planet(青く揺れる惑星に立って)
作詞:小室みつ子/作曲:木根尚登
4thアルバム「Self Control」収録曲。投票順位10位。
掴みたい夢を追いかける主人公、「ただのdreamer」と言われながらも、かつて夢を叶えた先人達も最初はそうやって笑われながら夢を実現してきた…という「挑む人間」を描いた秀逸な歌詞が光る名キネバラ。全編を通して幾重にも重なった小室の「ウ〜」「ア〜」という多重コーラスが非常に耳に残るが、それも含めたファンタジックなアレンジが曲想にマッチしている。「Welcome to the FANKS!」では7位。「T」盤には53位にランクインしたリアレンジバージョン「(WHERE ARE YOU NOW)」が収録。現時点での最新ライブとなる2015年3月の横浜アリーナ「30th FINAL」で最後に演奏された曲でもある。
(以下、後日更新予定の「DISC 2」に続きます)
※編曲は全曲:小室哲哉。
DISC 1
1.金曜日のライオン(Take it to the lucky)
作詞・作曲:小室哲哉
1984年4月21日発売、デビューシングル。投票順位14位。
職業作詞家に依頼したが曲が難しくて付けられないという理由で断られ、代わって小室自身が書いた、という逸話が語られる作詞家としての小室のデビュー作でもある(作曲家としてはTMデビュー前に既にアイドル等に提供していた)。アフリカを舞台に出会いと別れを描いたラブソングで、その後のTMの作風に繋がるような要素はそれほど見受けられないが、2004年のデビュー20周年時のシングル「NETWORK TM」ではトランスアレンジで(「TAKE IT TO THE LUCKY」)、2014年のデビュー30周年時のセルフリプロダクトアルバム「DRESS2」ではEDMアレンジで(「〜2014」)それぞれリメイクと、節目ごとにアップデートが行われている。
2.アクシデント
作詞:松井五郎/作曲:小室哲哉
1985年5月22日発売、3rdシングル。投票順位51位。
一ヶ月後に発売の2ndアルバム「CHILDHOOD'S END」のカラーである「現実を舞台にしたラブソング」に即したプロモーションの鑑のような楽曲。2014年の「DRESS2」でリメイク(「ACCIDENT 2014」)された。なお、松井五郎は同年の12thアルバム「QUIT30」に「If you can」という曲で実に29年振りにTMに作詞を提供している。
3.永遠のパスポート
作詞:SEYMOUR/作曲:小室哲哉・木根尚登
1985年6月21日発売、2ndアルバム「CHILDHOOD'S END」収録曲。投票順位32位。
SEYMOURはデビューアルバム「RAINBOW RAINBOW」で3曲作詞を提供(お蔵入りになった「OPEN YOUR HEART」「グリニッジの光を離れて」を含めると計5曲)した麻生香太郎の変名。前作ではかなりインパクトのある歌詞を書いていたが、今回は海岸近くでの車の中でのカップルの痴話喧嘩というほのぼのした(?)テーマの作品。実は元々は小室が書いたSF的な歌詞(麻生の詞とは全く異なる)が付いており、レコーディング前のライブではその歌詞で披露されていた。2008年の「THE SINGLES 1」の初回限定盤特典ディスクのライブ音源にて元の歌詞の確認が可能。
特にライブの定番曲というわけでもなく時代と共に埋もれていったアルバム曲だと思うのだが、1994年の東京ドームでの終了ライブ1日目で披露され、映像作品としても残ったということで知名度を上げたのか、2004年のファン投票ベスト「Welcome to the FANKS!」では投票順位14位となり収録。さらに2014年の「DRESS2」ではまさかのリメイク(「〜2014」)に始まり、30周年のグッズとしても登場するなど、年を経るごとに出世していった珍しい曲。
4.FANTASTIC VISION
作詞・作曲:小室哲哉
3rdシングル「アクシデント」カップリング曲。投票順位45位。
「アクシデント」と共に2ndアルバム「CHILDHOOD'S END」にも収録された。TMの中でも明るい曲調、歌詞の内容も珍しくハッピーなブライダルソングで、福岡県の天気予報番組で使用し続けられているそうである。全国的にはマニアックな曲であるが、2003年のEPICの企画盤ベスト「THE LEGEND」、2012年の「ORIGINAL SINGLES 1984-1999」等、ベスト盤への収録経験は既にある。
5.YOUR SONG(TWINKLE MIX)
作詞:小室哲哉/作曲:小室哲哉・木根尚登
1985年11月28日発売、ミニアルバム「TWINKLE NIGHT」収録曲。投票順位62位。
先行して発売された5thシングル「YOUR SONG("D"Mix)」から、コーラスやサンプリング、オーケストラヒットなどの実験的な要素をオミットし、コンパクトに4分弱でまとめたバージョン。特に何のギミックもなく歌が始まって終わる、という普通の仕様になったが、元々この曲は上記の実験的部分がアピールポイントだったということもあり、このバージョンではかなり物足りなさを感じる。なお「T」盤に収録された「("D"Mix)」は34位にランクインと両バージョンにかなりの差が開いた。このバージョンでのベストアルバム収録は初。
6.Confession 〜告白〜
作詞:西門加里/作曲:木根尚登
1986年6月4日発売、3rdアルバム「GORILLA」収録曲。投票順位54位。
2ndアルバムまではアップテンポの曲も手掛けていた木根がバラードメインの作曲家としての地位を確立し始めた時期に誕生した、異国の地で遠距離恋愛中の彼女を想う主人公の日常風景を綴った初期のキネバラ代表曲。1987年の初ベスト「Gift for Fanks」にも収録され、1989年の「DRESS」には「Jimmy Bralower and Peter Wood」名義でのリアレンジバージョンが収録。こちらは投票順位71位。惜しくも収録範囲70位までには届かずの次点であった。1993年8月の「CLASSIX 1」には「promotion mix」としてリミックスされている。
7.You can Dance
作詞:西門加里/作曲:小室哲哉
1986年4月21日発売、6thシングル「Come on Let's Dance(This is the FANKS DYNA-MIX)」カップリング曲。投票順位68位。
生音のリズム隊とホーンセクション、そして英語のコーラスが全編をリードするライブ向けの楽曲。リリース以降、80年代のライブツアーではほぼ終盤の盛り上げゾーンで演奏されていた。1994年の終了ライブでは2日目に歴代サポートギタリストであったB'zの松本孝弘をゲストに迎えて演奏。映像作品では肖像権の都合か松本が全く映らないカメラアングルのものがリリースされていたが、2019年5月のBlu-rayボックス「TM NETWORK THE VIDEOS 1984-1994」では松本の姿がちゃんと映るように編集し直して商品化された。「Come on〜」と共に3rdアルバム「GORILLA」にも収録。
8.雨に誓って 〜SAINT RAIN〜
作詞:西門加里/作曲:小室哲哉・木根尚登
3rdアルバム「GORILLA」収録曲。投票順位42位。
アルバム発売の後に7thシングルとしてカットされた「GIRL」のカップリングにもなった。生音基調のファンキーでアップテンポなメッセージソング…という点では「GORILLA」のコンセプト(=「FANKS」)には一致しているのだが、メロディーがどこか歌謡曲的であり、同アルバム内の「NERVOUS」や「You can Dance」とはちょっと毛色の違う印象を受ける。ファン人気は意外にも(?)高いようで、2004年の「Welcome to the FANKS!」では18位にランクインするなど大健闘。
9.All-Right All-Night(No Tears No Blood)
作詞:小室みつ子/作曲:小室哲哉
1986年11月21日発売、8thシングル。投票順位36位。
「GORILLA」の延長線上にあるFANKSサウンド直系の反戦を歌ったアップテンポナンバー。Aメロ、Bメロ、サビとそれぞれに早口部分があるのでTM楽曲の中でもボーカリスト泣かせの曲であると思う。なお、本作より西門加里が本名の小室みつ子名義での作詞提供を開始した記念すべき(?)シングルでもある。
10.Self Control(方舟に曳かれて)
作詞:小室みつ子/作曲:小室哲哉
1987年2月1日発売、9thシングル。投票順位2位。
「Get Wild」に次ぐ知名度を誇ると思われる彼らの名刺代わりの楽曲のひとつ。ライブではシンセのイントロで一気にテンションが高まる爆発力を持ち、サビではオーディエンスが人差し指を突き上げる振付(?)で会場が一体になる効果をもたらす、まさに代表曲。同年初の日本武道館公演「FANKS CRY-MAX」でのライブバージョンが11thシングル「KISS YOU」のカップリングとして収録された。著名な曲なのだが意外にもTM名義でリメイクされたのは2014年の「DRESS2」の時の一回きり(「〜2014」)。「Welcome to the FANKS!」では17位にランクイン。
11.Don't Let Me Cry(一千一秒物語)
作詞:神沢礼江/作曲:小室哲哉
1987年2月26日発売、4thアルバム「Self Control」収録曲。投票順位66位。
元々はシングル候補として制作されていた曲とのことで、確かにアルバム曲の中でもインパクトのあるメロディーであったり、昨年までのFANKS路線の残り香を感じさせるアレンジになっていたりと気合の入った印象を受ける楽曲。1989年の「DRESS」ではJellybeanによるイントロとアウトロにやたら尺を使ったアレンジとしてリメイク。小室自身のリアレンジとしては1991〜92年の「TOUR TMN EXPO」にてテンポを落としハウスアレンジを試みたバージョンが披露され、こちらは1992年のライブ編集盤「COLLOSSEUM II」に収録。
12.Time Passed Me By(夜の芝生)
作詞:小室みつ子/作曲:木根尚登
4thアルバム「Self Control」収録曲。投票順位22位。
幼馴染の少女が時を重ねて大人になっていく姿を見つめる主人公の「それ以上綺麗にならないで」「それ以上離れていかないで」という、複雑な心境を描いたキネバラ。切ない歌詞にアコギとパーカッションメインのシンプルなアレンジがマッチした名曲である。「Welcome to the FANKS!」にも6位という高順位で収録されていた。
1993年の「CLASSIX 2」では「zurich mix」(投票順位74位)「moonlight mix」の2バージョンが収録。前者はほとんど原曲と変化のないリミックスだが、後者はサビや間奏での英語コーラスを抽出し、それだけで短い曲を作ってしまったという異色のリプロダクト作品。
13.Here,There & Everywhere(冬の神話)
作詞・作曲:小室哲哉
4thアルバム「Self Control」収録曲。投票順位16位。
小室が中学3年生の時に作った曲と明かしている。アレンジはポップで明るいのだがギリシャ神話のオリオンとアルテミスの逸話を引用しながら別離した相手を想う、悲劇的なテーマのいわゆるバラッド。「Welcome to the FANKS!」では8位。ライブでは宇都宮が珍しくギターを弾きながら歌っていた。
14.Fool On The Planet(青く揺れる惑星に立って)
作詞:小室みつ子/作曲:木根尚登
4thアルバム「Self Control」収録曲。投票順位10位。
掴みたい夢を追いかける主人公、「ただのdreamer」と言われながらも、かつて夢を叶えた先人達も最初はそうやって笑われながら夢を実現してきた…という「挑む人間」を描いた秀逸な歌詞が光る名キネバラ。全編を通して幾重にも重なった小室の「ウ〜」「ア〜」という多重コーラスが非常に耳に残るが、それも含めたファンタジックなアレンジが曲想にマッチしている。「Welcome to the FANKS!」では7位。「T」盤には53位にランクインしたリアレンジバージョン「(WHERE ARE YOU NOW)」が収録。現時点での最新ライブとなる2015年3月の横浜アリーナ「30th FINAL」で最後に演奏された曲でもある。
(以下、後日更新予定の「DISC 2」に続きます)
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