
1998年にシングル「それじゃあバイバイ」でデビュー、「なにしてんの」「なあなあ」「ゴーイング my 上へ」等々のスマッシュヒットを放ち、90年代末の音楽シーンで存在感を見せていた二人組ユニット・SURFACE。2010年の解散ライブ後は、ボーカルの椎名慶治はソロ活動、ギターの永谷喬夫は楽曲提供やプロデュースなどでそれぞれの道を歩んでいましたが、デビュー20年目の当日を迎えた2018年5月27日のライブで復活。それから約1年を経て、実に11年ぶりとなるオリジナルアルバムのリリースとなりました。なお解散ベストの時はデビューから活動中期までに所属していたユニバーサルからのリリースでしたが、本作は00年代中盤以降に在籍したSONYでのリリースとなっています。
SURFACEと言えば、キャッチーなメロディーの上に乗っかる椎名の手による本音ぶっちゃけ系な歌詞が個性を放っているのが最大の特徴であると思われ、特に上記の代表曲などからコミカルなイメージを抱くリスナーも多いのではないでしょうか。本作でもその路線は継続。数年前に街で出会った大人の態度に今の自分を重ねてみたり(「Is life beautiful?」)、主人公とその彼女の二人なりの愛の形を示してみたり(「死が二人を分かつまでは」)、自分を仲の良い男友達だと思い込んでいる女性への隠れた想いを綴った「また僕はうなずく」など、日常レベルでの出来事で抱いた心理を分かりやすい言葉で掘り下げていく作風は健在。
対してサウンドの方は解散前までは割とファンキーな要素も持ち込んだ生演奏主体というイメージだったのですが、本作ではそのエッセンスも残しつつ、「やってみようよ」などではエレクトロっぽいシンセの音なども入れてみたりと若干変化が。解散前と変わらないのはサウンド全体のアプローチが(メンバーの永谷がギタリストにも関わらず)必ずしもギター主体ではない曲も多く、ギター以外の楽器や打ち込みとのバランスの平等性が保たれている点。もちろん「切り拓けマイセルフ」などメロディアスなエレキソロを披露する曲もありますが、1枚を通してのアレンジの幅に関するバランス感覚が優れており、アッパーな曲が多めということもあって最後まで聴きやすい曲が並んでいる印象です。
一度解散し、ソロを経て再結成したバンドやユニットと同様に、彼らもソロ活動を継続しながらSURFACEとしても活動を続けていく模様。なので活動最盛期の時のような定期的なリリースは望めないとは思いますが、これからも各自ソロと並行して自分達のペースで活動していって欲しいな、と思える「復活の1枚」でした。
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