
本作はB'z史上初、オリジナルアルバムでシングルが1曲も収録されない作品。といっても収録曲中、昨年秋のドラマ主題歌だった「WOLF」、特にラグビーW杯中にテレビで大量にオンエアされた「兵、走る」を筆頭に「マジェスティック」「デウス」といったCMソングの計4曲がここで初音源化されたので、これらが一応シングル扱いになるのかもしれませんが。そんなタイアップ曲を序盤に配し、中盤以降は全て新曲という構成になっています。また、「Rain & Dream」ではゲストギタリストとしてAerosmithのJoe Perryが参加。彼らの楽曲で松本以外のギタリストが参加するのもB'z史上初…のはずです。
アレンジは前作でほとんどの楽曲を担当したYukihide "YT" Takiyamaが初の全曲担当。前任(?)の寺地秀行(今回はストリングスアレンジとして「Da La Da Da」にクレジット)と比べると、曲自体のハードロック色はそのままにデジタル音を廃し、パーカッションやブラス等のテイストを効果的に盛り込む印象でこれは前作同様。本作では長年のレコーディング&ライブメンバーだったリズム隊を刷新するなどの試みがされていますが、それでもざっと聴いた感じでは受けるイメージはあまり変わらず。
むしろ気になったのはメロディーの方で、今回は意図的にか?というぐらい、B'zの特徴だったキャッチーなメロディーは全編に渡って出てこない、出てきても「あれ?これってB'zの昔の曲であったような…」というフレーズだったり(まあ作曲者が同じだからでしょうが)と、前半に「兵〜」のようなアレンジで耳を惹く曲がある分、その後の曲は画一感が…。聴き終わって一番印象に残ったのが前述の「Rain〜」での後半のギタリスト同士の長尺の掛け合いだったりしたわけで、激しい曲もバラードもあるし地味というわけでは決してなく、良くも悪くも安定の一作、という感じでしたが、筆者が求めるB'z的なものとはちょっと違ったかな、というのが正直なところでした。
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