begingajyu 2019年10月16日発売、1枚モノとしては久々となるBEGINのベストアルバム。全16曲収録。

 これまでも「シングル大全集」シリーズをはじめとして数多くのベストアルバムが定期的に発売されている彼らですが、今回はデビュー30周年を翌年に控えたタイミングで放たれる、公式いわく「厳選された1枚作品、究極のベストアルバム」とのこと。「ライブの人気定番曲」「ライブで求められる曲」を選曲したとのことで、実質は代表曲を1枚に凝縮したオールタイムベスト。本作制作にあたっての新曲は特になく既存曲のみの収録となっていますが、2019年最新リマスター、そして歌詞ブックレットには各曲ごとにライナーノーツが記載され、ベストならではの仕様となっています。

 収録曲は時系列順。1990年のデビュー曲「恋しくて」から始まり、彼らが注目されるきっかけとなった「涙そうそう」(2000年)、彼らの人気を不動のものにした「島人ぬ宝」「オジー自慢のオリオンビール」(2002年)、「三線の花」(2006年)、「笑顔のまんま」(2009年)、そして「海の声」(2015年)と、歴代の代表曲がズラリ。その間を縫って「かりゆしの夜」「ボトル二本とチョコレート」「バルーン」といったライブで威力を発揮する楽曲を取り揃え、最後は最新アルバムから「君の名はワルツ」でしっとり締め、という、BEGINの歴史を一気にさらえるラインナップ。
 前述の選曲コンセプト上、ライブで映える曲はやはりオリジナル島唄が中心で、彼らのもう一つの魅力であるブルーズ路線はあまり顧みられてはいませんが、複数枚に渡る重厚なベストアルバムから入るのはちょっと…というライトリスナーにはこの上なく分かりやすく、手に取りやすい選曲で、BEGIN入門には相応しい1枚でしょう。

 …とは言うものの、入門編としては「声のおまもりください」をどうして選曲しなかったのか、という疑問はどうしても書きたいところ(苦笑)。BEGINはだいたい4〜5年に1曲ポピュラーな代表曲が出てくるローテーション(?)があるのですが、「声の〜」は1996年のスマッシュヒット。時期としては「恋しくて」と「涙そうそう」の間に位置する作品であり、この曲が入れば完璧だったのに…(旧ファンハウス時代の版権音源だから見送ったんですかね?)と、長年のファンの身としては主張しておきたいところ(笑)。あと個人的には「誓い」とか「網にも掛からん別れ話」とかも入れて欲しかった…というのは独り言ということで

 と、まあ色々書きましたが(笑)、様々なベストがリリースされる中、選曲にほぼ無駄がない本作はまさにBEGINのオールタイムベストの決定盤。ありそうでなかった、これまでの活動をライトに振り返れるアイテムとして秀逸です。