gundamsongcovers 2019年8月7日発売、「機動戦士ガンダム」シリーズ生誕40周年を記念して企画された森口博子のカバーアルバム。全11曲収録。初回プレス盤はスリーブケース付き。またLPダブルジャケット仕様の数量限定生産盤も同時発売。キングレコードによる本作の特設サイトはこちら。

 2018年にNHK-BSで放送された「全ガンダム大投票」の「ガンダムソングス」投票で、彼女のデビュー曲「水の星へ愛をこめて」(「機動戦士Zガンダム」後期OP)が第1位を獲得。本作はこの投票結果第1位から第10位までの楽曲をカバーし、順番に並べた10曲+ボーナストラックとして「宇宙の彼方で」(「機動戦士ガンダム THE ORIGIN IV」ED)をオリジナル音源で収録した構成。なお、特に発売前に公表などはされていませんでしたが、本作のサウンドプロデュースはDEENの元プロデューサー・時乗浩一郎が担当。氏自身がアレンジを務めていたり、恐らく彼の人脈と思われるストリングスチームやリズム隊の起用がチラホラ見受けられるのを歌詞ブックレットの各曲のクレジットで確認。ここで彼の名前を目にするとはちょっと驚き。

 各楽曲の演奏には押尾コータロー、塩谷哲、TSUKEMENなど、音楽ファンには名の知れた面々が参加。押尾のギター一本で歌う「哀 戦士」、原曲のテクノポップを別の解釈で蘇らせた「JUST COMMUNICATION」、森口の多重コーラスによるアカペラ録音「めぐりあい」などが特に出色。森口の持ち歌である「水の星へ〜」、「ETERNAL WIND 〜ほほ笑みは光る風の中〜」はセルフカバーになりますが原曲を尊重し、現代風に生音中心に進化させた感じ。総じて比較的アコースティック色があり、バンドスタイルの曲でもそんなにガンガン鳴らさないアレンジになっているので落ち着いて聴ける1枚。森口のボーカルも安心安定で、特に前述のセルフカバー2曲に関しては原曲と比較しても歌の表現力に磨きがかかっているような印象を受けました。

 歌詞ブックレットには森口のガンダム作品との関わり、各楽曲ごとの詳細なセルフライナーノーツなどがびっしりと掲載。いちガンダムファンにとりましては単なるカバーアルバムで終わらすのではなく、制作の秘話(?)まで語ってくれるサービスぶりには感服。人気投票の結果ということもあり各楽曲の良さも折り紙付きということもあり、新旧ガンダムファンに一度手に取ってもらいたい佳作でした。