tmvideos 前回からだいぶ間が空きましたが(苦笑)、TM NETWORKデビュー35周年を記念したBlu-rayボックスセット「TM NETWORK THE VIDEOS 1984-1994」のレビュー第3回目は、DISC 5からDISC 8までの【90年代編】。「続きを読む」からご閲覧ください。
TM NETWORK THE VIDEOS 1984-1994【90年代編】


DISC 5:WORLD'S END I・II Rhythm Red Live
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 1991年3月29日(I)、5月22日(II)にそれぞれ発売された、TMNリニューアル後初のライブ映像作品。収録時間28分(I)、73分(II)。2005年3月の初DVD化の際に1枚にまとめられ、本ディスクはそのリマスター盤となる。
 1990年8月にTM NETWORKからTMNへリニューアル宣言、ニューアルバム「RHYTHM RED」を引っ提げて全国を回った同年12月から翌年3月までのライブツアー「RHYTHM RED TMN TOUR」全40公演の中から、1991年2月の仙台、郡山公演(I)、3月の代々木第一体育館公演(II)を収録。サポートメンバーは葛城哲哉(G)、阿部薫(Dr)、浅倉大介(Syn Ba)。
 音楽性をエレキギターを全面に出したロックサウンドに方向転換したこともあってか、80年代のSFチックな衣装や同期演奏に比重を置いていたライブから一転、基本生演奏主体に加え、宇都宮以外の二人も髪を伸ばし、アナクロさを感じさせる衣装を身にまとうなど、野性的な演出が目立つ、TM史の中では異色なステージになっている。これまで積み上げてきたフィクション設定を封印した一般的なライブショーという印象を受けるが、細かい縛りがなくなったせいか各プレイヤーが伸び伸びと演奏を楽しんでいるようにも見えて開放的にも映る。
 IとIIでは映像のコンセプトが異なり、前者は小室のキーボードソロや宇都宮の前衛的なダンス(ホントに前衛的すぎて…笑)をフィーチャー、後者は「69/99」「TIME TO COUNT DOWN」等、純粋に盛り上がれるロックナンバーを中心に構成されている。後者ではアンコールに当時レーベルメイトの大江千里も登場。ステージ上で演奏メンバーで大縄跳びを飛んだり、客席にサッカーボールを蹴り入れたりするなど、お遊び要素も観られる。


DISC 6:EXPO ARENA FINAL
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 1994年5月26日発売、TMN終了時直後の企画ボックス「GROOVE GEAR 1984-1994」にVHSで同梱されたライブビデオが初出。2005年3月に単品タイトルとして初DVD化された。収録時間115分。
 1991年〜1992年の全国ツアー「TOUR TMN EXPO」のアリーナ公演として企画された「EXPO FINAL CRAZY 4 YOU」(全9公演)の中から、1992年4月11、12日の横浜アリーナ公演を収録。サポートメンバーは葛城哲哉(G)、阿部薫(Dr)、浅倉大介(Key)。
 アルバム「EXPO」の世界観に沿い、ダンス、ロック、フォーク、メタルなど、多様な音楽のジャンルを一ステージで見せる「音の博覧会」のアリーナ仕様ということで、全国ツアー時よりもアルバム曲を減らし、「HUMAN SYSTEM」「GET WILD」などTM NETWORK期の代表曲も盛り込んだスペシャル公演。カラフルな衣装でダンサーと踊りまくる宇都宮、特注のグランドピアノ(通称:EXPOピアノ)をプレイする小室、MCも交えながら宇都宮と共にアコギ二本でTMのレア曲を歌う木根…など、バラエティ豊かなステージ構成なのが特徴。実際のステージより何曲かはカットされてしまったが、TMN終了までの10年間で曲順通りに最初から最後までほぼ通しでステージを観られる映像作品はこの時点では唯一だった。最もファン以外に薦められる映像作品はこれかも。
 なお、本作は元々WOWOWで生中継された時の素材をベースにし、再編集したものとのこと。やたら宇都宮の歌詞間違いが多いのはご愛嬌(苦笑)。


DISC 7:final live LAST GROOVE 5.18
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 1994年8月1日発売、TMN終了宣言と同時に「最後のライブ」として開催告知された、同年5月18、19日の東京ドーム2days公演「4001 DAYS GROOVE」の初日の模様を全曲収録。収録時間153分。サポートメンバーは葛城哲哉(G)、北島健二(G)、山田亘(Dr)、阿部薫(Dr)、久保こーじ(Key,Manipulation)。
 初日は開催告知時点から「'84〜'87」と冠されており、デビュー曲「金曜日のライオン」からスタートし、ブレイク直前の楽曲までを中心に構成(「LOVE TRAIN」やアンコールの「SEVEN DAYS WAR」など例外あり)。この時期の盛り上げ曲だった「COME ON LET'S DANCE」「DRAGON THE FESTIVAL」、初期キネバラの「1/2の助走」など、セットリストから遠ざかって久しい曲が多く演奏され、初期からのファンにとっては懐かしく嬉しいセットリストだったのでは。なお、両日通じてTM名物の特殊アレンジはほぼ皆無で、オリジナルに忠実なアレンジで演奏された珍しい(?)ライブでもある。
 本ボックスに収録されるにあたり、「5.18」「5.19」はライブ音源リミックス、映像リマスターが大々的に宣伝されており、確かに画面の鮮明度は旧盤よりも上がり、音声も通常のリニアPCMと5.1chサラウンドが選択できるようになっている。他には特に告知されなかったが本編ラストの「ELECTRIC PROPHET」でシーケンスと生演奏が徐々にズレていってしまっていた部分が自然な形に修正されている。


DISC 8:final live LAST GROOVE 5.19
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 1994年8月1日発売、「4001 DAYS GROOVE」2日目の模様を全曲収録。収録時間145分。サポートメンバーは前日と同じ。
 2日目は「'87〜'94」(実質は'87〜'91+ラストシングル「NIGHTS OF THE KNIFE」)ということで、序盤から「WILD HEAVEN」「KISS YOU」「COME ON EVERYBODY」などのヒット曲が連打される構成。個人的にはリアルタイムで聴いていた曲が多いので初日よりこちらのほうが思い入れがある。中盤には歴代サポートメンバーだった浅倉大介(Key)が「CAROL」組曲、終盤には松本孝弘(G)が「GET WILD'89」「YOU CAN DANCE」にそれぞれスペシャルゲストとして参加、アンコールでは未CD化の初期曲「TIMEMACHINE」がメンバー三人で演奏されるなど、最後の最後ということでの大ファンサービスで有終の美を飾っている。
 なお、旧盤では松本参加の「GET〜」がカット、「YOU CAN〜」はほぼ姿が映らないという不完全な形でのリリースになっていたが、本ボックスでは両曲とも自然な形で編集され収録された。また、旧盤のDVDも通常販売されているが、ボックスと同日発売で「5.18/5.19」をセットにしたリマスター2枚組DVDもリリースされた。終了ライブだけが欲しい、という方はこちらをお薦め。