
コブクロのベスト盤は今回が3作目。2006年に「ALL SINGLES BEST」、2012年にその続編をそれぞれリリースしていますが、今回は前2作を含めた20年間(メジャーデビューが2001年、それ以降の音源が対象なので厳密には17年間)から、シングル全曲に加え、カップリング、アルバム収録曲までをピックアップしたオールタイムベスト。収録順はリリース順ではなく楽曲の誕生順ということで、DISC 1ではデビュー曲「YELL 〜エール〜」が8曲目という遅いタイミングだったり、後年リリースされた「桜」や「赤い糸」が冒頭を飾るなど、リリース順で追ってきたリスナーにとっては結構新鮮な並びに。DISC 2以降は基本的には楽曲誕生=リリースの流れのようで、ほぼ発表通りの並びになっています。DISC 4の6曲目「心」からがアルバム初収録。同ディスクの終盤には佐藤竹善、絢香、布袋夫妻とそれぞれコラボした歴代のシングルを収録し、ラストにインディーズ時代のデモ音源「桜 -1st demo tape-」を配置して締めくくっています。
というわけでコブクロの楽曲変遷を一気に辿れる本作。大きく分けるとDISC 1は笹路正徳のプロデュースで曲を磨き、DISC 2の中盤からはセルフプロデュースに移行、「永遠にともに」「ここにしか咲かない花」「蕾」等、彼らの現在に至るまでの代表曲が誕生。個人的にも今でも印象に残る曲はこの辺りからDISC 3の中盤ぐらいまで、という感じ。その後のDISC 4に至るまで彼らの定番である「歌い上げ系バラード」がメインという印象のまま最新シングル「風をみつめて」まで到達。最新作のオリジナルアルバムではやや実験的に攻めたサウンドの曲も含まれていたのですが、今回はベストということでシングル曲の合間に挟まれる各アルバム収録曲も彼らの一般的なイメージから離れない楽曲が選ばれており、コブクロ側からのベスト選曲=王道のポップス路線を再確認。楽曲の完成度という点では文句はない一方、あまりに王道満載すぎて複数枚続けて聴くのはキツい…と思ったり(苦笑)。なお、ボーナストラック的な先述の「桜」のデモバージョンは1998年12月制作のデモテープからの音源だそうで、二人の声とギターだけのプロトタイプながら、楽曲の骨格は既にこの時点で完成していることが窺える貴重な音源。こういった路上出身ならではのシンプルな編成の曲もたまには…と思ってしまうのは筆者だけでしょうか。
各DISCぎっちりの収録時間で総演奏時間は約5時間。最初にこのベストの収録曲リストを見た時は「正直選びすぎだろ…」と思いましたが、常に王道のポップスを作り続けてきた彼らの20年間の歩みを全シングル+αで選曲するならばこれぐらいのボリュームになるのかな、とまあまあ納得しています(笑)。超重量級のベストではありますが、オリジナルアルバムまでは…というリスナーはこれを1作持っていればここまでのコブクロの代表曲をアルバム曲含めほぼ網羅できるというのはなかなかお得(?)なアイテムかも。
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