
前作と同様、真心の二人+岡部晴彦+伊藤大地の4人編成によるLow Down Roulettesでスタジオ一発録りのモノラル録音制作を本作でも踏襲。前作は完全に4人の音のみで構成されていましたが、今回は録音後に奥野真哉のキーボードを重ねた曲や、「バンドワゴン」ではトランぺッターを招くなど変化があり、これらの音色により適度にバンドサウンドに色が加わり楽曲に彩りが備わったという効果を上げています(特に序盤の曲でのピアノの音がかなり効果的)。インタビューによると、今回は一発録音の部分はほぼ打ち合わせなしのぶっつけ本番録音だったらしく、演奏者のスキルがかなり問われるライブ感溢れる現場だったようで、多少演奏は粗いと感じられる部分はあるものの、良い意味で「真心らしい整ってなさ」を感じさせるのはプラスポイント。
本編の11曲中、飛び抜けてインパクトのある曲は冒頭に配置され、彼らにしては珍しい6分を超える曲で、トーキングロックの体裁で語るように歌う「メロディー」。MVも制作されリード曲扱いのこの曲にいきなり感動を覚えた後は、適度に力を抜いたナンバーが続いて、「ああ、いつも通りの真心」と思うわけですが(笑)、長年行動を共にしている愛車への想いを綴った桜井歌唱の「Z」、「木がそこにある」と繰り返すのがメインのYO-KING歌唱の、その名も「木」、桜井のエレキギターソロが炸裂する4人編成でのインストロックナンバー「ギター小僧」など、バリエーションも結構豊か。アルバムタイトルを訳すと「内なる声」ということですが、特に重たい風刺や世の中への不安を叫ぶ手段としての歌詞ではなく、「心に思ったことを思うままにちょっと書き出してみた」というカジュアルさが好印象でした。
通常盤のボーナストラックには桜井・YO-KINGがそれぞれ詞曲を書いてリードボーカルを取った「みみ」「ズル」が収録。とはいえ通常のバンド演奏ナンバーで演奏時間も3分半前後という体裁なのですが、どちらもちょっと何を考えて書いたのか分からない謎の歌詞が乗る不可解なナンバー(笑)。言葉の反復がクセになりそうな一品で面白いといえば面白いのですが、本編でスッキリ終わっていたほうが収まりが良かったと思うのでファンサービス…にしても初回盤に入れておけばよかったのでは、と思ってしまいました(苦笑)。
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