
池森・山根の二人体制による初のオリジナルアルバムは、「DEENと旅する世界の音楽集」がコンセプト。冒頭とラストのトラックで航空機風のアナウンスが収録されているなど雰囲気を出しています。実質10曲の中、ウェストコースト風の「1985」、スパニッシュ+エレクトロの「君が欲しい〜Solo te quiero a tl.〜」、エスニックな「コリカンチャの祈り」、三線やお囃子を導入した「古里」、カリプソの「VIVA LA CARNIVAL」等々、確かに世界各地の音楽テイストを盛り込んだ曲が多数。思い切りワールドミュージックにどっぷり傾倒、というわけではなく、DEENのパブリックイメージに注入した、という感じなので、マニアック感はなく各曲どれも聴きやすいのが特徴でしょうか。先行シングルの「ミライからの光」ほどインパクトのあるドラマチックな曲は見当たらないものの、「DEENがワールドミュージックやるならこうだよね」という予想通りのアルバムではありました。
なお本作の制作は基本的に池森作詞、山根作曲、アレンジは外注。田川伸治が抜けた分、作曲面でフル回転になった山根はこれまで相当数の楽曲を手掛けてきているので、さすがにメロディーに既視感がある曲もチラホラ見受けられるのですが、その点をアレンジが補っている印象。一方の池森の歌詞は近年の若者恋愛路線(?)からは離れたようで、ラブソングもそれ以外もストレートで普遍的な作風に。発売時のインタビューでは池森本人は自作曲での実績があるにも関わらず、過去に自分が作曲していたことに全く触れないのは現在は作曲から完全に撤退したという意味なのかもしれませんが、山根の作業量を考えると、たまには自作曲を…とも思ってしまいました。
Blu-rayは昨年末から年頭にかけて行われたライブツアー「DEEN LIVE JOY-Break21 〜Best Songs 25 years〜」の初日、2018年12月31日(カウントダウンライブ)Zepp Tokyoでの公演を全曲収録。25周年記念のライブツアーであり、昨年のリゾートライブからサポートメンバーを一新した初のLIVE JOYとなった本公演は、「夢であるように」で幕を開けた後は、続く「このまま君だけを奪い去りたい」以降、リリース順に歴代シングル曲をフルサイズ・原キーで「遠い空で」まで演奏するという異色な時系列セットリストに。後半はアルバムの新曲4曲の先行披露や盛り上がり系のロックナンバーで構成されるなど、LIVE JOYの定番編成(アコースティックコーナー、長尺MC、1コーラスメドレーなど)を一旦リセットした新たな試みのライブだったようです。
曲目を眺めるといつもの曲の数々…という感じですが、「果てない世界へ」以外はすべて原キー・原曲アレンジでの演奏というのはここにきてかなり新鮮。一新されたバンドメンバー(ギター:侑音、ベース:石田純、ドラムス:矢野顕太郎)の演奏も原曲を忠実に再現するという点では特に気になる箇所もなく…という感想。まあこれまで15年以上同じバンドメンバー5人で続けてきたのが一気に3人変わった、というのはDEEN史の中でも大きな出来事ですし、特に田川の後任を務める侑音のギタープレイにはファンからの厳しい目も向けられるとは思いますが、新生ライブバンドとしてのDEENもこのメンバーで長らく続けていって欲しいですね。
コメント