deensolo 2018年12月26日発売、2017年大晦日から2018年元旦にかけてZEPP TOKYOにて行われたDEENのカウントダウンライブの模様を全曲収録した映像作品。通常盤DVDと完全生産限定盤Blu-rayの2種で発売され、Blu-ray盤には各ソロステージで演奏された楽曲のスタジオレコーディング版を収録したプレミアムCDが付属。本エントリーはBlu-ray盤のレビューとなります。

 前年まで三年連続でマイナーな曲に光を当てるマニアックナイトが続いていたDEENのカウントダウンライブ。この年は趣向を変え、池森・山根・田川の三人のソロステージ(形態は常時のサポートメンバーを固定し、池森と山根のステージには+αのゲストを加えて各5曲ずつ)+DEENのライブを一公演で行うというこれまでにない試み(DEENのライブの前座に山根や田川のソロステージがあったカウントダウンライブは過去にありましたが、ここまで本格的な各ソロステージは初めて)。更に2018年の年明け早々に田川が脱退を表明したため、本商品のキャッチコピーの通り「二度と再現できない一夜限りのプレミアムナイト」に。先に田川ラストステージの武道館公演が映像化されたので、本公演の商品化は幻か…と思われましたが、ここへ来てようやくリリースの運びとなりました(なぜこのタイミングで?という気持ちはありますが・苦笑)。

 まず池森ソロ。AOR期に深く関わっていた大平勉(Key)や、Gary Scott(Sax)らを演奏陣に迎え、ライブ冒頭出演ということもあって小洒落たインストで幕を開けるなど、健全一直線だった近年とは一線を画した大人っぽいステージ。池森もこの時だけはなぜか髪を金髪にし、SHU名義だった「SHA LA LA LOVE YOU」「ANOTHER LIFE」を生バンドで演奏するなどライブハウスというよりもビルボードっぽい雰囲気でなかなかに新鮮。この路線、今後のDEENにも少し持ち込んだらいいのに…と思うのは筆者だけでしょうか。

 続く山根ソロは、かつて山根と同じバンドに在籍し、近年ではDEENの編曲にも携わっている古井弘人(元GARNET CROW)が鍵盤を担当し、全体的には山根 feat.古井といった感じのステージを展開。何度か映像化されている「空色ソーダ」以外はファンクラブ限定のミニアルバムからの曲や、この時点では未CD化の曲を披露するなど、マニアックナイト以上にマニアックな内容(笑)。長尺のソロステージには慣れていないのか最初は歌唱に若干のバタつきはありましたが、山根独自のカラーが良く出ていたライブでした。

 田川ソロは特にゲストを迎えず、宮野和也(Ba)、HIDE(Dr)+同期というDEENの通常ライブでのソロコーナーと同じ編成。THE SONIC TRICK名義でのナンバーも披露されましたが、選曲がバラードの「MEMORIES OF THE PAST」だったり、DEENのアルバム収録のソロ楽曲の中でも「Emerald Ocean」などの比較的ロック色の薄い曲を今回はセレクトしており、全編ハードな曲が来ると思っていたので意表を突かれました。田川のギター演奏は普段のライブよりもワイルド…というか、心のままに弾きまくっている感じで、この直後に脱退宣言することを思うと何やら複雑な気持ちになってしまうのはファンの性ゆえかも。

 大トリのDEENは日付を挟んでの実質の二部構成。年内は最新アルバム「PARADE」からの楽曲を5曲、バンドスタイルでの演奏。このアルバムを引っ提げた47都道府県ツアーではアルバム曲のほとんどは演奏されなかったらしいので、ここでの映像は今後のことも考えるとかなり貴重。年が明けると旧作からのロックメドレー。シングルは「千回恋心!」ぐらいで歴代のアルバム盛り上げ曲からの選曲がメイン。アンコールでは出演者がほぼ集合しての「Dance with my Music」で締めと、皆で盛り上がってワイワイ騒ぐLIVE-JOYの陽の部分が前面に出されたセットリストでまあ満足といったところ。

 特典のプレミアムCDは前述の通り、各ソロでの演奏曲のスタジオ版全15曲を収録。NEW MIXを含む全曲リマスタリングとのことですが、山根の3曲が新たに手を加えられた表記がある以外は詳細なクレジットがなく、どの曲がMIX変更されたのかは不明。基本的には既存音源になりますが、後日リリースの25周年ベストのファンクラブ限定盤のみの特典アルバム「DEEN The LAST」からの抜粋もあるので買い逃したリスナーには嬉しい配慮かも。

 構成・選曲共にマニアックナイトとはまた違った、完全コアファン向けの映像作品。今回は特典も同内容のライブCDではないので、CD付きのBlu-ray盤をお薦めいたします。