tagawa 2018年3月10日の日本武道館公演をもってギタリストとして24年間在籍したDEENを脱退し、ソロアーティストとして独立した田川伸治。今月19日には独立後初のソロアルバムもリリースされます。今回の「Artist Archive」は、田川がDEEN在籍時にリリースしたソロアルバム(THE SONIC TRICK含む)全3枚を1枚ずつレビュー。「続きを読む」からご閲覧ください。
田川伸治・DEEN在籍時全アルバムレビュー


THE SURVIVED SCARECROW
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 2001年6月6日発売、初のソロ名義によるフルアルバム。全11曲収録。初回限定盤には特製ピックが封入。
 一ヶ月前に池森秀一がSHU名義(この時点では池森=SHUは未公表)でシングルデビューを果たしたのに続いてのソロデビュー作。なお同日にはDEENのバラードベスト、前年のライブDVDが同時発売されるなど、告知も関連商品としてDEENと連動して行われていた。
 前半はエレキ色の強い打ち込みナンバー、後半はリズム隊(当時同事務所在籍のPICK2HANDのメンバーが中心)を起用したライブ感の強いナンバーで構成されているが、一番耳を惹くのはアルバムのほぼ中央に配置された、彼のルーツミュージックである(らしい)HR色を象徴するようなスローなタイトル曲「THE SURVIVED SCARECROW」。また、「WARNING」「FACE TO FACE 〜rain or shine〜」という歌モノ(といっても英詞ラップやスキャットだが)も序盤と終盤に配置されているので良いアクセントになっている。DEENとは全く異なるギタリスト田川の魅力に溢れた作品。


GLOBAL GROOVE
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 2004年4月28日発売、DEENのシングル、メンバー出演映画DVDと同時発売のソロ2ndアルバム。全11曲収録。
 2002年から始まった、DEENのライブツアーの中でのソロコーナーの中で披露された「IT'S AMAGING !!」「PLANET EARTH」が満を持して(?)収録。本作でまず目を引くのがゲストミュージシャン。AOR期のDEENのレコーディングメンバーとしても名を連ねた沼澤尚(Dr)、青木智仁(Ba)を筆頭に、(当時)元聖飢魔IIの雷電湯澤(Dr)、石川俊介(Ba)、ギタリストである元SIAM SHADEのDAITA、元WANDSの柴崎浩などを招くなど、どこでそんな繋がりが?!という豪華メンバーが集結している。
 前作のような全編ロック色という雰囲気ではなく、和のテイストを取り入れた「BYAKU-YA」やスパニッシュ風の「DESTINO」、打ち込み+英詞(松本英子が参加)の「COLD RAIN」など、楽曲の音楽性の広さは全3作中かなり飛び抜けている。ハードなサウンドが苦手、というリスナーでも十分に楽しめる1枚。


SPARK
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 2006年7月26日発売、2004年春に「GLOBAL GROOVE」を引っ提げてのライブツアーのメンバーだった小林秀樹(Dr、DEENのライブサポートメンバーのHIDEと同一人物)、森口翔太(Ba)と田川の三人で結成されたスリーピースインストロックバンド、THE SONIC TRICK名義での現時点での唯一のアルバム。全11曲収録。
 2004年末のDEENのカウントダウンライブで先行披露した「SEA OF LOVE」、交流のあったオーボエ奏者・宮本文昭のアルバムにDEENで参加した「MEMORIES OF PAST」のセルフカバーを収録。今回はバンド名義の作品ということで、演奏に参加しているのはメンバーのみ。田川はフロントマンとして楽曲制作、プロデュースの他にプログラミングも担当している。
 本作はミディアム〜バラード調の曲は少なく、ロックバンドとしての攻めたナンバーが多くを占める。スポーツ番組のダイジェストで流れていそうなノリの良い曲が満載だが、インストバンドによくあるようなトリッキーな楽曲構成の曲はほとんどなく、エレキギターのメロディーをあくまで聴かせるという直球タイプの曲が多い。突出したリード曲は特にないのが弱点か。
 なお、THE SONIC TRICKでの活動はこの後数回のライブ開催はあるものの、リリース活動はなく停滞状態。また田川ソロ自体はDEENのアルバム内でソロ曲が収録されたり、ライブのソロコーナーで未発表の新曲インストが演奏される機会が多くなっていった。