goingfilms 2018年9月19日発売、GOING UNDER GROUNDのメジャー通算13作目となるオリジナルアルバム。シングル「スウィートテンプテーション」含む全10曲収録。

 二度目のデビューアルバムと銘打たれた一昨年の前々作、従来のバンドサウンドに加えて新たな音楽性への挑戦姿勢も示した昨年の前作と、三人編成となり再出発してからはシングルを挟んで結構順調にリリース活動を続けているように見える彼ら。新体制三作目の本作は、インタビューを要約すると詞曲がほぼ固まってからアレンジを練るという、今までになかった方針で制作を行ったとのこと。その一方で、リードギターの中澤寛規も久々に単独自作曲を持ち寄り、例のハイトーンボイスで歌う曲が中盤に配置されるなど、ひと昔前のゴーイングっぽさを感じさせるアルバム構成にもなっています。

 さて、全10曲、40分にも満たない演奏時間で各楽曲は相当にコンパクト。エレクトロの要素も曲によっては持ち込んでいた前作のような挑戦的な主張がなく、演奏は基本的にはメンバー三人+ドラムス、キーボードのライブサポートも兼ねたメンバを含めた計五人でのスタンダードなスタイル。曲調はフォークロックの「HOBO」、アップテンポの「LOVE WARS」、歌謡曲風の「ペパーミントムーン」など、ある程度の幅はありますが、一聴した感想はというと、やけに地味だな…という感じ。
 ただ、これは本作にとってはかなりプラスになっている…と思うのが、先述の制作方針通り、詞曲の内容に寄せたアレンジになっていて、演奏に突飛なところがなく、また今回は詞の内容が全体的に従来よりも穏やかで、「年相応の人生経験も積んだ大人」になった主人公達のモノローグ「プラットホーム・ノイズ」などはまさにその典型かと)、そんな思いを奏でる音楽、という点。かつての彼らの作品が示していた、青い時代を駆け抜けた、駆け抜けた直後、というイメージからついに完全に離れたような気がしました。

 彼らとほぼ同年代の筆者にとっては、年齢を重ねた分の渋さが出てきた本作品はなかなかに感じ入るところがありました。反面、持ち味でもあったセンチメンタルさは本作では相当薄め。そういったゴーイングを求めるリスナーにはちょっと物足りないかも。その変化を楽しめるかどうかで本作の善し悪しが分かれるのではないか、と思います。