
1989年夏から秋にかけてリリースされた「FANKS the LIVE」全3作のうちの第1作でもある本公演。当時はVHS/LDで発売され、DVD化されたのはTMデビュー20周年時の2004年。この時は映像フォーマットが変更になっただけで内容は全く同一のものでした。そして今回のリニューアル版ですが、ジャケットは一部を加工したのみでオリジナル版とほぼ同じ。対して内容は映像・音声をリマスター、さらに「Dragon the Festival」「Nervous」を新たに追加して全9曲収録に。インナーは厚紙一枚のみの封入ですが、リニューアルに際してのスタッフクレジットも結構細かく記載されています。
この時期のTMは冒頭の「Get Wild」がヒットを飛ばし、まさにブレイク真っ只中での初武道館。抜粋収録された収録曲は当時の最新4thアルバムからの曲が中心ですが、デビュー期の「Ipanema'87」や、追加収録された盛り上げナンバー「Nervous」など、ライブ映えのする過去楽曲のチョイスも嬉しいところ。「Get〜」以外でのこの時点の代表曲は「Self Control」ぐらいしか収録されていないのですが、開催から30年以上経った今観返してもこのTM二大看板曲はやはりライブでも「華」があるな、という印象。
バンド編成にも触れておきますと、TMメンバー三人+松本孝弘(EG)、日詰昭一郎(Ba)、山田亘(Dr)いうオーソドックスなバンド編成。TMのライブでは翌年夏ぐらいから生ベースが抜けて打ち込みになってしまい、若干バンド感が後退するのですが、この時期は日詰昭一郎がかなり存在感のあるベースを弾いており、「TMのロックバンド感」という意味ではこの辺り(か、翌年春のアリーナツアー)が絶頂のような気がしました。
リマスターに関しては現在のスタンダードであるレターボックスサイズに画面比も変わるのだろうか、と思いましたが、4:3のままで特に映像引き延ばしなどはなし。さすがにフィルムに焼き付いた文字は消せなかったようで、初っ端で旧版の「FANKS the LIVE 1」のテロップが出てしまうところはアチャーと思いましたが(苦笑)、映像はそれなりに、音声はかなり迫力を増して良くなっています。どうせなら完全版でリリースして欲しかったのが正直な気持ちですが、特設サイトの記述を信じるならば、それはもう叶わぬ夢のよう。これで数年後に「奇跡的に発掘!」みたいな後出し商法をやられたらさすがにキレますが(ありそうなんだよな・笑)、これからこのライブの映像作品を購入するなら2004年版よりもこちらが遥かにお薦めです。
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