cune2 小林亮三(Vo&G)、生熊耕治(G)、中村泰造(Ba)、大北公登(Dr)の4人で1999年に結成されたロックバンド・CUNE。2001年にインディーズよりデビュー、翌年にメジャーデビューを果たし、2003年には正式名称を小文字(cune)に改称。一定の活動を行うものの、2006年秋に活動停止。2011年に活動を再開するも翌年ボーカルの小林が脱退を表明して現在は3人組。そんな彼らがこれまでにリリースしてきた全アルバムを、今回の「Artist Archive」では一気にご紹介。「続きを読む」からご閲覧ください。
cune 全アルバムレビュー


GREAT SPLASH
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 2002年12月4日発売、hitomiがカバーした「SAMURAI DRIVE」(インディーズで発売済)の作者所属のバンドとして注目され、同年5月に「リフレイン」でユニバーサルよりメジャーデビュー。続く「イナズマ」「クローバー」(表記はないがミックスがシングルと異なる)の計3枚のシングル+「SAMURAI〜」のリミックスバージョンを収めたデビューアルバム。全12曲収録。
 プロデュースは佐久間正英が担当。編曲もバンドと共同名義でほぼ全曲に渡って参加している。彼らの基本的な持ち味である、キャッチーなメロディーにエレキギターが楽曲を引っ張るロックバンド的なアプローチを活かした内容。カップリングで既出の「流れ星」、インディーズシングルを新録した「Butterfly」などの佳曲も粒揃いな一方で、1分ちょっとの「エアロビクス☆ガール」、何を言っているのか意味がよく分からない(笑)「赤いマフラーの女」など、お遊び曲が箸休めの役割しか果たしていない印象も。ともあれ全体的にはとても聴きやすい1枚。


ナナイロスマイル
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 2004年1月21日発売、2ndアルバム。全10曲収録。
 シングル「青空」「LION SEVENTEEN」「カノン」のプロデュースを亀田誠治が、その他は前作同様基本的には佐久間正英がプロデュース。「LION〜」は新録のアルバムバージョンで収録されており、間奏などが大幅に異なる。
 根本は前作路線の延長だが、ライブ盛り上げ用の「Dramtic Exotic Automatic」、 ラップ有りの「Party Boy,Party Girl」 など、印象の強いアルバム曲が前作に比べて増加。シリアスな「東京」から始まり6曲目までは畳みかける構成、以降はミディアム〜バラードで聴かせるA面/B面的な構成になっているのは意図的なものか。飛び抜けた名曲はないが、平均的に楽曲のアベレージの高い良作。


明日の風
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 2004年9月22日発売、3rdアルバム。全7曲収録。
 先行シングル無しの全曲新曲で構成された初のミニアルバム。プロデュースもバンド単独名義となるなど従来から体制が変化。レコーディングはほぼ一発録りだったらしく、メンバーのみで出した音をそのままパッケージしている模様。その荒々しさが前面に出た「Hello,Mr.Pain」が突出した出来。盤石バラード「ほほえみ」、スケールの大きな「ホライズン」、アコギのみの演奏で歌う「旅人」などの多彩な楽曲アプローチ、ライブバンドらしい演奏と、彼らの個性が花開いた作品。オリジナル4作の中では本作が最もお薦め。


BEST 1999-2004
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 2005年6月8日発売、初にして現時点で唯一のベストアルバム。全13曲収録。MV集DVD「CLIPS 1999-2004」との同時発売。
 メジャーデビュー後のシングル全6曲、「Butterfly」「東京」「Hello,Mr.Pain」などのアルバム楽曲に加え、「SAMURAI DRIVE」の新録バージョン、ラストに新曲の「夕顔」(渡辺善太郎プロデュース)を収録。メジャーデビューからまだ3年、正直早過ぎる時期でのベストだと思うが、まさにここまでの良いところ取りといったところで選曲は文句なし。なお「クローバー」はシングルバージョン初収録だが、「LION SEVENTEEN」はアルバムバージョンで収録。シングルバージョンを収録する良いタイミングだったと思うのだが…。
 なお、タイトルの「1999-2004」は結成から前年までの表記と思われるが、歌詞カードに各楽曲の誕生年が記載されており、新曲「夕顔」は2005年と表記され、タイトルと齟齬がある。


EUPHORIA
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 2006年12月6日発売、4thアルバム。全6曲収録。CDのみの通常盤、4曲入りライブDVD(後述)付属の初回盤の2形態での発売。
 同年夏に活動休止を宣言後に発表された、現時点で最後のオリジナルアルバム。「結成当時の隠れた名曲から噂の最新楽曲まで〜」とCD帯に記載されており、未発表曲+新曲の組み合わせコンピ的な内容のようだが、新規でレコーディングされているので各楽曲の統一感はある。タイアップを獲得した軽快なアップテンポ「風-the wind talk to you-」、別れを想起させるタイトル曲のバラード「ユーフォリア」の2曲が強いが、他の楽曲も彼らの作風から逸脱しないキャッチーな出来。
 ジャケットの各メンバーは過去の写真からのコラージュ、歌詞カード内の写真も既出のセッションのものばかり…と、いかにも休止前的な構成なのがやるせない。なお、本作並びに同時発売の「HORIZON」はレインボーエンタテインメントが発売、ユニバーサルが販売という形態をとっている。


HORIZON
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 2006年12月6日発売、「EUPHORIA」と同時発売、枚数限定でリリースのライブアルバム。全13曲収録。
 同年秋の活動休止前最後のツアー「HORIZON」から、10月10日開催の恵比寿リキッドルームでの公演を抜粋収録。「EUPHORIA」の初回盤DVDとは「イナズマ」「ホライズン」の2曲が重複している。
 活動後期はボーカル小林の喉の調子が芳しくなく、本作も絶好調とは言い難いのが残念だが、唯一のライブアルバムということで、基本的な演奏はCD音源に忠実ながら、ライブバンドとして鳴らした彼らの生演奏を純粋に楽しむためのアルバム。なお、「EUPHORIA」に付属の応募券を、本作に付属の応募ハガキに貼り付けて応募すると、抽選で200名に「プレミアムヒストリーブック」がプレゼントされるキャンペーンが行われていた(筆者は当選して現在も所持している)。


B-side collection
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 2007年1月31日発売、活動休止後にリリースされたカップリングコレクション。全13曲収録。再びユニバーサルからの発売となった。
 メジャーデビュー後のシングルの全カップリング曲を完全収録でアルバム初収録曲は5曲。代表曲「SAMURAI DRIVE」は1stアルバムバージョンとライブバージョン(「リフレイン」台湾版のカップリングだったとか)の2種類、3rdアルバムから「旅人」、ベストから「夕顔」まで引っ張り出してくるなど、カップリング集以上の「裏ベスト」的な内容で、発売の経緯(たぶんレコード会社主導)はともかく、結構充実した内容で、シングルを未所持であれば重宝されそうな1枚。
 なぜかシングル「LION SEVENTEEN」も収録されているがまたしてもアルバムバージョン。この辺りの収録意図は全くもって謎である。