deenbd25 2018年6月20日発売、DEENのデビュー25周年記念日の3月10日に日本武道館で開催された「25th Anniversary DEEN LIVE-JOY Special 日本武道館2018」の模様を全曲ノーカットで収録した2枚組ライブDVD。同内容に本公演のライブCD同梱+フォトブック付属仕様の完全限定生産盤Blu-rayも同時発売。本エントリーはDVD盤となります。

 本来であれば前年の47都道府県ツアーからの流れで25年目のDEENの誕生日を祝うライブ…だったはずが、今年1月にギターの田川伸治が本公演をもって脱退を発表。この公演が「三人での最後のDEENのライブ」という色々な意味で特殊な状況に。筆者はこの日に武道館に足を運べなかった一人なので、公演後約4ヶ月という早い期間で映像商品化してもらえたのはかなり有難いところ。SONY公式でも発売一週間前からライブ映像を小出しに10日連続でCM仕立てで配信するなど、DEENにしては異例の(?)気合の入ったプロモーションが行われました。

 そんな本公演は田川がラストだからか、25周年のメモリアルだからか、通常のツアーや武道館でもテンプレート化していたライブ構成を一切排除。具体的には花道でのアコースティックコーナー、田川・山根(上海ロックスター)ソロ、長尺のMCコーナー、ゲストミュージシャンやダンサーを加えてのコラボレーション…等々をばっさりカットし、サポートメンバーも通常ライブのリズム隊の2人のみ、全5人(+同期)で最初から最後までほぼ連続でギターソロなども含め原曲に忠実に演奏(メドレー含めて全40曲)。MCも序盤と終盤に一言二言、アンコールで少し長めに話すだけ、というストイックさが徹底されており、従来のDEENのLIVE-JOYなどで見せるエンターテイメント路線とは全く異なる(=DEENのライブはこれがすべてではない)ものの、あくまで演奏で魅せる、という点においては「ロックバンドらしい」ライブであったと思います。

 そして何といっても今回の最大のトピックは、2002年以降一部の例外を除いてキーを下げていた曲がすべてオリジナルキーで披露された、という点。公演の二週間前のテレビ出演や、一週間前のインストアライブではいつも通りのキー下げでも何とか出していた…という池森秀一のボーカルでしたがここにきて伸びやかに復活。声質自体が元に戻ったというわけでなく、現行の声色を駆使して「翼を広げて」から始まり「瞳そらさないで」「ひとりじゃない」、そして「このまま君だけを奪い去りたい」を高らかに原キーフル尺で歌い切る姿は、これまでずっとDEENのライブを観続けていればいるほど感動すること間違いなし。このキーでの披露が今回限りなのかは分かりませんが、今後もオリジナルアレンジで演奏される際には是非今回のようにお願いしたいものです。

 特典映像「DEENが歩んだ25年」は、DEENと20年来の付き合いであるライター・伊藤博伸と一人ずつ向かい合っての対談を繋げて約30分に編集。武道館公演後の収録なので田川は既にDEENを脱退している時点での対談であり、これがDEEN関連での最後の仕事かも。対談の内容はデビュー当時の話から徐々に武道館公演の話へとシフトしていく構成になっており、過去のインタビューでも話してきたようなことも語られてはいましたが、池森・山根の新生DEEN、そして田川のソロプロジェクト共々、今後についての前向きな発言も見受けられる内容。本編と合わせて「三人のDEEN」はここで一区切り、というのが寂しくはありますが、ある種の記念碑として、新旧ファンには是非手にとってもらいたい映像作品。基本的に筆者はライブDVDは入手後1、2回観てとりあえず終了みたいな鑑賞方法なのですが、本作に関しては何度も繰り返して観たい、と思える充実の一作でした。