
WANDS 全ベストアルバムレビュー
SINGLES COLLECTION+6
1996年3月16日発売、上杉・柴崎在籍時に唯一リリースされた初のベストアルバム。全14曲収録。
デビュー曲「寂しさは秋の色」から、1994年の「世界が終るまでは…」までの8枚のシングル曲に加え、アルバム曲、カップリング曲、そして未発表曲1曲を収録。1995年以降ロックに傾いた彼らの作品は一切収録されておらず、セールス全盛期のキャッチーなポップ路線の活動を総括した構成になっている。ヒットシングル以外にもアルバムのリード曲的な「天使になんてなれなかった」「星のない空の下で」や、アルバム未収録の「ありふれた言葉で」「Just a Lonely Boy」といったカップリングの佳曲がピックアップされ、この時代のWANDSの音楽性を押さえておくには一番手っ取り早い、ベスト盤の鑑のような内容。
本作でしか聴けない曲は「恋せよ乙女」のリミックスバージョンと、未発表曲の「白く染まれ」。前者はループや長尺ギターソロを盛り込んだリミックスで、筆者としては原曲よりこちらの方がお薦め。後者は1994年制作の未発表曲でオケは打ち込み中心だが、心情吐露的な上杉の歌詞が1995年以降の作品を彷彿とさせる、過渡的な楽曲である。
WANDS BEST 〜HISTORICAL BEST ALBUM〜
1997年11月6日発売、上杉・柴崎が脱退し、残された木村真也(2代目Key)を中心に和久二郎(Vo)、杉元一生(G)が加入した新生WANDSとしてリリースされた2枚目のベストアルバム。全14曲収録。
同年9月の通算12作目の「錆びついたマシンガンで今を撃ち抜こう」までのうち「Jumpin' Jack Boy」以外のシングル11曲を時系列順に収録+αという内容。1995〜1996年のシングル「Same Side」「WORST CRIME」はアルバムに初収録されたが、本作では大半の曲がリミックスを施され、ギターソロが削除されたり、音のバランスが大幅に変わるなど大胆な変更が多く、原曲を聴き慣れているほど本作を聴いた時の衝撃は大きい。リミックスベストだと思えば納得できるが、発売当時はそのような告知は全くなかった。代表曲が揃ってはいるが、最初に聴く彼らのベストとしてはあまりお薦めしない。
本作でしか聴けない曲は「MILLION MILES AWAY」。1995年のアルバム「PIECE OF MY SOUL」収録曲(木村作曲)での生演奏を打ち込みに差し替え、和久が歌い、杉元がギターソロを取るセルフカバーという形を取っている。ただこの曲は上杉が当時の自らの心境を綴ったと思われる曲なので、なぜ新生WANDSでカバーしようとしたのかについては疑問。また、この時点で上杉・柴崎・大島(I期)、上杉・柴崎・木村(II期)、木村・和久・杉元(III期)と、メンバー在籍時による明確な期分けが公表された。
BEST OF WANDS HISTORY
2000年6月9日発売、「WANDS解体」を宣言し、公式作品では最後のリリースとなったオールタイムベスト。全18曲収録。
I・II期からは3rdシングル「もっと強く抱きしめたなら」以降「WORST CRIME」までの全シングル、III期からは「錆びついたマシンガンで今を撃ち抜こう」「明日もし君が壊れても」の2枚のシングルを収録。前年の最新アルバム「AWAKE」からは2曲選ばれるなど、III期主導ならではの選曲はこのベストのみ。加えて「世界中の誰よりきっと」の未発表ライブテイク、アルバム未収録のカップリング曲、さらにはII期の未発表曲を収録したまさに約10年の活動の集大成的なベストアルバムで、全ベストの中では最も優れた内容だと思う。
本作でしか聴けない曲は先述の「世界中の〜」のライブテイク(ライブ映像としては2012年リリースのDVDに同じものが収められた)と、未発表曲の「太陽のため息」。制作時期は1995年頃ということで、生バンドの明るい雰囲気の曲なのだが、暗にビーイングを批判しているような歌詞が衝撃的。この歌詞が原因でお蔵入りだったのかもしれないが、このタイミングで良く出してきたな…と思った(笑)。
complete of WANDS at the BEING studio
2002年8月25日発売、前月にT-BOLANを皮切りに始まった、ビーイング(元)所属アーティストのコンピ盤「at the BEING studio」シリーズの第2弾としてリリースされたベストアルバム。全17曲収録。
シングル曲は2年前の「BEST OF WANDS HISTORY」と全く同じ顔触れ。異なるのは「声にならないほど愛しい」(MANISH)、「このまま君だけを奪い去りたい」(DEEN)、そしてPremium Tracksの1曲として収録され本作でしか聴けない「君が欲しくてたまらない」(ZYYG)という、上杉が外部に作詞提供した楽曲のWANDSバージョンが収められている点。また、本作のプロデューサー・長戸大幸(ビーイング総帥)の意向により異色のバラード「DON'T TRY SO HARD」(「PIECE OF MY SOUL」収録曲)が収録。この曲は以降の非公認ベストでも皆勤賞となっている。
「at the〜」シリーズ通例の活動詳細を綴ったなかなか読み応えのあるブックレットも付属しており、周辺情報の歴史(真偽はともかく・苦笑)を知りたいリスナーには「BEST OF WANDS HISTORY」よりも良いかも。なお、2012年秋に開催されたライブツアー「BEING LEGEND」に合わせて、他のシリーズの一部と共に同年9月に廉価版で再発売もされている。
BEST OF BEST 1000 WANDS
2007年12月12日発売、ビーイング創立30周年を記念して他の旧ビーイング系アーティストと共に同時発売された定価1,000円(+税)のベスト盤シリーズ。全11曲収録。
5年前の「at the BEING studio」シリーズの簡易版といった趣で、全収録曲が「at the〜」と完全に被っている。恐らく意図的な意向でIII期の曲は1曲も収録されておらず、上杉・柴崎在籍時のみを扱ったベストとしては「SINGLES COLLECTION+6」以来。1995年以降の楽曲も収録されているので、「上杉と柴崎のいたII期の最後までの作品が聴ければいい」というリスナーには価格も含めて一番お得な内容。逆にWANDSの通史的なベストを求めるリスナーには不向きである。
WANDS BEST HITS
2008年5月発売、高速道路のサービスエリアなどで販売されることを目的に企画されたビーイングの「BEST HITS」シリーズの一作。全16曲収録。
「at the〜」からIII期の2曲+「君が欲しくてたまらない」を削除し、「ふりむいて抱きしめて」「ありふれた言葉で」を追加。どちらも「SINGLES COLLECTION+6」等で既にベスト収録済だが音質は良くなっている。「寂しさは秋の色」は「at the〜」にPremium Tracksとして収録されたライブバージョンで収録。この曲がオリジナルで収録されていればII期までの全シングル音源がコンプリートの唯一のアルバム、という存在意義を持たせられたのだが、そこが若干惜しいところ。
さしづめ「BEST OF BEST 1000」の拡大バージョン(ジャケット写真も同じものを使用)。中古CD屋などでたまに500円程度で出回っていたりする。
SINGLES COLLECTION+6

デビュー曲「寂しさは秋の色」から、1994年の「世界が終るまでは…」までの8枚のシングル曲に加え、アルバム曲、カップリング曲、そして未発表曲1曲を収録。1995年以降ロックに傾いた彼らの作品は一切収録されておらず、セールス全盛期のキャッチーなポップ路線の活動を総括した構成になっている。ヒットシングル以外にもアルバムのリード曲的な「天使になんてなれなかった」「星のない空の下で」や、アルバム未収録の「ありふれた言葉で」「Just a Lonely Boy」といったカップリングの佳曲がピックアップされ、この時代のWANDSの音楽性を押さえておくには一番手っ取り早い、ベスト盤の鑑のような内容。
本作でしか聴けない曲は「恋せよ乙女」のリミックスバージョンと、未発表曲の「白く染まれ」。前者はループや長尺ギターソロを盛り込んだリミックスで、筆者としては原曲よりこちらの方がお薦め。後者は1994年制作の未発表曲でオケは打ち込み中心だが、心情吐露的な上杉の歌詞が1995年以降の作品を彷彿とさせる、過渡的な楽曲である。
WANDS BEST 〜HISTORICAL BEST ALBUM〜

同年9月の通算12作目の「錆びついたマシンガンで今を撃ち抜こう」までのうち「Jumpin' Jack Boy」以外のシングル11曲を時系列順に収録+αという内容。1995〜1996年のシングル「Same Side」「WORST CRIME」はアルバムに初収録されたが、本作では大半の曲がリミックスを施され、ギターソロが削除されたり、音のバランスが大幅に変わるなど大胆な変更が多く、原曲を聴き慣れているほど本作を聴いた時の衝撃は大きい。リミックスベストだと思えば納得できるが、発売当時はそのような告知は全くなかった。代表曲が揃ってはいるが、最初に聴く彼らのベストとしてはあまりお薦めしない。
本作でしか聴けない曲は「MILLION MILES AWAY」。1995年のアルバム「PIECE OF MY SOUL」収録曲(木村作曲)での生演奏を打ち込みに差し替え、和久が歌い、杉元がギターソロを取るセルフカバーという形を取っている。ただこの曲は上杉が当時の自らの心境を綴ったと思われる曲なので、なぜ新生WANDSでカバーしようとしたのかについては疑問。また、この時点で上杉・柴崎・大島(I期)、上杉・柴崎・木村(II期)、木村・和久・杉元(III期)と、メンバー在籍時による明確な期分けが公表された。
BEST OF WANDS HISTORY

I・II期からは3rdシングル「もっと強く抱きしめたなら」以降「WORST CRIME」までの全シングル、III期からは「錆びついたマシンガンで今を撃ち抜こう」「明日もし君が壊れても」の2枚のシングルを収録。前年の最新アルバム「AWAKE」からは2曲選ばれるなど、III期主導ならではの選曲はこのベストのみ。加えて「世界中の誰よりきっと」の未発表ライブテイク、アルバム未収録のカップリング曲、さらにはII期の未発表曲を収録したまさに約10年の活動の集大成的なベストアルバムで、全ベストの中では最も優れた内容だと思う。
本作でしか聴けない曲は先述の「世界中の〜」のライブテイク(ライブ映像としては2012年リリースのDVDに同じものが収められた)と、未発表曲の「太陽のため息」。制作時期は1995年頃ということで、生バンドの明るい雰囲気の曲なのだが、暗にビーイングを批判しているような歌詞が衝撃的。この歌詞が原因でお蔵入りだったのかもしれないが、このタイミングで良く出してきたな…と思った(笑)。
complete of WANDS at the BEING studio

シングル曲は2年前の「BEST OF WANDS HISTORY」と全く同じ顔触れ。異なるのは「声にならないほど愛しい」(MANISH)、「このまま君だけを奪い去りたい」(DEEN)、そしてPremium Tracksの1曲として収録され本作でしか聴けない「君が欲しくてたまらない」(ZYYG)という、上杉が外部に作詞提供した楽曲のWANDSバージョンが収められている点。また、本作のプロデューサー・長戸大幸(ビーイング総帥)の意向により異色のバラード「DON'T TRY SO HARD」(「PIECE OF MY SOUL」収録曲)が収録。この曲は以降の非公認ベストでも皆勤賞となっている。
「at the〜」シリーズ通例の活動詳細を綴ったなかなか読み応えのあるブックレットも付属しており、周辺情報の歴史(真偽はともかく・苦笑)を知りたいリスナーには「BEST OF WANDS HISTORY」よりも良いかも。なお、2012年秋に開催されたライブツアー「BEING LEGEND」に合わせて、他のシリーズの一部と共に同年9月に廉価版で再発売もされている。
BEST OF BEST 1000 WANDS

5年前の「at the BEING studio」シリーズの簡易版といった趣で、全収録曲が「at the〜」と完全に被っている。恐らく意図的な意向でIII期の曲は1曲も収録されておらず、上杉・柴崎在籍時のみを扱ったベストとしては「SINGLES COLLECTION+6」以来。1995年以降の楽曲も収録されているので、「上杉と柴崎のいたII期の最後までの作品が聴ければいい」というリスナーには価格も含めて一番お得な内容。逆にWANDSの通史的なベストを求めるリスナーには不向きである。
WANDS BEST HITS

「at the〜」からIII期の2曲+「君が欲しくてたまらない」を削除し、「ふりむいて抱きしめて」「ありふれた言葉で」を追加。どちらも「SINGLES COLLECTION+6」等で既にベスト収録済だが音質は良くなっている。「寂しさは秋の色」は「at the〜」にPremium Tracksとして収録されたライブバージョンで収録。この曲がオリジナルで収録されていればII期までの全シングル音源がコンプリートの唯一のアルバム、という存在意義を持たせられたのだが、そこが若干惜しいところ。
さしづめ「BEST OF BEST 1000」の拡大バージョン(ジャケット写真も同じものを使用)。中古CD屋などでたまに500円程度で出回っていたりする。
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