utenastamani 今年初の「今週の1枚」、今回はブログ史上最も濃く、そしてマニアックな1枚を紹介したいと思います(笑)。2005年11月23日発売、キングレコード内のアニメレーベル「スターチャイルド」よりリリースされたアニメ関連作品のコンピレーションシリーズ「スタまに」の一作、「少女革命ウテナ」のボーカルベストアルバム。全15曲収録。

 「少女革命ウテナ」は、1997年4月よりオンエアされていた全39話のTVアニメ。主人公の快活な少女・天上ウテナが通う鳳学園にて巻き込まれる、「薔薇の花嫁」こと姫宮アンシーを巡る、学園理事長代行や生徒会メンバーといった個性的なキャラクターとの決闘対決がメインの作品…と書いてもこの作品の10%も紹介できていないので詳しいストーリーは省略しますが(おい)、基本はシリアスに、時にシュールにコミカルに、様々な形の「愛」を描いたアニメとして、漫画版も含めて未だに根強いコアな人気を持っています。1999年夏にはリメイクという形でより過激なスケールで描かれる長篇劇場版「アドゥレセンス黙示録」も公開。OVAテイストのセガサターンゲームもTVと劇場版の合間にリリースされたり、近年では約20年振りにミュージカル化を果たしたりと、様々な媒体で展開された作品でもありました。

 さて、本アルバムはそんな「ウテナ」シリーズのボーカル曲のコンピ。といっても、主題歌関連はオープニング「輪舞 -revolution」(奥井雅美)、前期エンディング「truth」(裕未瑠華)、後期エンディング「バーチャルスター発生学」(上谷麻紀)の全3曲と、通常のアニメと変わらない使われ方でしたが、とにかくこのアニメは劇中歌として流れた曲(決闘の際に流れる合唱曲が毎回異なる)が恐ろしい数ほどあるのが特徴で、TV版のサントラ3枚にも各7〜8曲程度の決闘用合唱曲が収められているという、当時としては野心的な内容でした。これらの曲は前衛劇団・万有引力主宰のJ.A.シーザー(日本人)が手掛けた詞曲で、はっきり言って歌詞の意味は抽象的すぎて全くといっていいほど理解不能。これをメタリックなオケに乗せて杉並児童合唱団や東京混声合唱団、万有引力のメンバー、果ては「ウテナ」の監督・幾原邦彦も一緒に唱和するという演出はまさにカオス。本アルバムでもウテナが決闘広場に向かう際に流れる「絶対運命黙示録」、前述の後期エンディング「バーチャルスター〜」の合唱バージョン、「体内時計都市オルロイ」「スピラ・ミラビリス劇場」「天使創造すなわち光」…と、タイトル見るだけで何コレ?みたいな(笑)濃い楽曲が選り抜かれています。

 基本的にはリリース順に楽曲が並んでおり、終盤にかけては劇場版関係の楽曲も5曲収録。そのうちの3曲は「絶対運命黙示録」の劇場バージョンも含めてまたもや合唱曲で、ここに辿り着くまでは聴き手もお腹いっぱいを通り越して変なテンションになっていると思われます(笑)。そんな中で劇中歌として起用された「時に愛は」(奥井雅美)はちょっとひと安心な歌い上げ系ミディアム。そして本作ラストに収められた「輪舞 -revolution〜アドゥレセンス・ラッシュ」(奥井雅美)はTVアニメオープニングのリメイク…と思いきや、オケがどんどん違う方向に展開していき「ウテナ」のテーマメロディに行きつくなどの趣向を凝らした、ここまで聴いてきたファンへのボーナス(?)のような8分近いエクステンデット系ミックスで締め。

 TV、劇場版、舞台版のサントラ、企画アルバムを含めれば10枚に近くにも及ぶ「ウテナ」関連のCD。セレクションアルバムも1作ありますが、純粋のボーカルだけを収めたベストはこの1枚のみ。「スタまに」シリーズの一作というレコード会社主導の企画ということもあり、過去の作品をレイアウトしただけのCDジャケットや、シンプルな歌詞カードなど、あまり装丁にウテナらしさは感じられないのですが、主題歌が1枚のCDにフルサイズ全部入っているCDは本作のみ。定価も1,500円(当時)と、ライト層を狙った…にしては濃厚な曲も満載ですが(笑)、歌入りの曲だけを聴きたい、というウテナファンにはうってつけなお薦めの1枚です。