
「DEEN The Best FOREVER 〜Complete Singles+〜」
全曲レビュー・disc 04編
1.coconuts feat.kokomo
作詞:池森秀一/作曲・編曲:山根公路
2010年7月14日発売、37thシングル。
ビーチボーイズのヒット曲「kokomo」のフレーズをイントロや間奏などに引用という形でフィーチャリングしたコラボレーションシングル。この年5月の武道館公演のダブルアンコールでサプライズ的に先行披露された。この時の演奏の模様はジロー・ラモがサビになると踊り出すネタに走ったMVの中でも挿入され観ることができる。
タイトル通りのトロピカルなサマーナンバー。夏全開の雰囲気にも関わらず、後年の秋の武道館公演、冬から春にかけてのツアーなどでも季節に関係なくフルで演奏される定番ナンバーの座を射止めている。また、サビでかなり複雑な振付が施されたのはこの曲が最初。この後定期的に増えていくDEEN振付ナンバーのプロトタイプと呼べるかも。2016年のサマーアルバム「バタフライ」では「kokomo」の要素を取り除いた「feat.butterfly」バージョンでリメイク。
2.Brand New Wing
作詞:池森秀一/作曲・編曲:田川伸治
2011年4月6日発売、38thシングル。
「LOVE FOREVER」以来16年ぶりとなる田川担当のA面作品。ここまでは山根がシングル表題曲を、田川がカップリング曲を手掛けるパターンが定石だったが、この曲以降は両者の作品がほぼイーブンで表題曲として採用されることになる。
2003年の「翼を風に乗せて」、2007年の「夢の蕾」と、4年周期で登場する春の旅立ちシングル第3弾(?)。今回はバラード系ではなく、軽快なバンドのリズムに乗せて高らかに旅立ちを歌うアップテンポ。MVやライブでは池森がダンサーを引き連れてダンスを繰り広げる。この際の振付を着ムービーにして公開し、同年の武道館公演で観客と一緒に踊る企画があったが、この曲は一緒に踊るには難しすぎる振付だったと思う(苦笑)。
3.心から君が好き 〜マリアージュ〜
作詞:樹林伸・池森秀一/作曲:田川伸治/編曲:DEEN
2012年6月27日発売、39thシングル。
元々は池森が単独で作詞を手掛けたラブソングであったが、発売に際し樹林伸(「金田一少年の事件簿」や「神の雫」の原作者の変名)との共作名義になり、サブタイトルが追加+ブライダルソングに書き直される、という異例の経緯を辿った作品。なお池森単独作詞の原曲は13thアルバム「マリアージュ」の初回盤のライブDVDの中で演奏されており、元の詞を知ることが可能。
この年のDEENのコンセプト、メンバー三人のみの音での作品「トライアングル・プロジェクト」の旗印的なバラード。といってもプログラミングやオーバーダビングを含めて「三人だけで作る」という意味なので、完全なアコースティック・アンプラグドな楽曲とは趣が異なる。この年の秋から冬にかけてスペシャルゲスト名義で参加した新旧ビーイング所属アーティストのライブツアー「BEING LEGEND」でこの曲を歌う姿には現役感があった。
4.二十歳
作詞:池森秀一/作曲・編曲:田川伸治
2013年8月7日発売、40thシングル。
同年3月にリリースされたオールタイム・ベスト「DEENAGE MEMORY」に続くデビュー20周年メモリアルシングルとして、両A面の「雨の六本木」と1、2曲目を逆にしたtype-A、type-Bの2種類で発売。各タイプの1曲目のカラオケとMV収録のDVDを同梱し、年内の期間限定生産として販売され、通常盤は存在しない。
20周年記念ということで歌詞の中に歴代のシングルタイトルが散りばめられているが、意外と曲本編にはそれほど登場せず、ラストのコーラスの部分で池森が10タイトルほどを連呼して締めくくる荒技(?)でフィニッシュを決めている。それ以外は普遍的なラブバラードという印象。
MVは中学生ぐらいの頃に知り合ったカップルが20年の時を経て結婚した現在の姿を描いており、DEENのシングルジャケットもリリース順にスクロールでカットインされる演出がある。この秋に開催された日本武道館2daysでは日本工学院専門学校ミュージックカレッジの二十歳・二十名のコーラス隊をバックに従えて披露された。
5.雨の六本木
作詞:湯川れい子/作曲:井上大輔/編曲:池田大介
40thシングル両A面曲。故人である井上大輔が遺した未発表曲に、日本の音楽界の大御所作詞家・湯川れい子が詞を書きおろして楽曲提供。特に両者に縁のないDEENがなぜこの曲を歌うことになったのは未だに不明なまま。編曲はビーイング所属の池田大介が久々に担当している。
ラテン系歌謡ナンバーはDEENの作品ではたまに登場するが、この曲の特徴は何と言っても歌詞。「君こそが俺のサンシャイン・オブ・マイ・ライフ」「金にまみれた日々に追われて夢が死んでゆく」など、池森なら絶対書かないようなフレーズの連発は衝撃的。楽曲自体はシリアスなのだが、マイケル富岡が登場してダンサーをただ眺めるだけのMV、ライブでは妙な振付でメンバー+αが踊るなど、ネタ楽曲的な雰囲気に。ビルボードライブ、武道館、全国ツアーで連続披露され定番曲になると思いきや、以降は全く演奏されなくなったのが意外であった。
6.もう泣かないで
作詞:池森秀一・川島だりあ/作曲:山根公路/編曲:古井弘人
2013年11月27日発売、41stシングル。
1999年から継続的にシリーズが制作されているドラマ「科捜研の女」主題歌として年内放送分までオンエアされていた。DEENの曲がドラマの主題歌に起用されるのは「哀しみの向こう側」以来。
「雨の六本木」に続くビーイング関係者(川島、古井)が楽曲制作に参加。刑事ドラマの主題歌を意識した歌詞も僅かながら感じられる。演奏時間は約3分半という短さだが、無駄のないシンプルなバラードの鑑のような曲だと思う。ライブでは発売一ヶ月半前の20周年記念の武道館公演2daysの2日目にて初披露。続く14thアルバム「CIRCLE」を引っ提げ、ホーン隊が帯同したツアーBreak18ではブラスパートは生で演奏された。
なお、本作より所属がアリオラジャパンからEpic Recordsに移動。SONY内部間でのレーベル移籍となった。
7.君が僕を忘れないように 僕が君をおぼえている
作詞:池森秀一/作曲・編曲:山根公路
2014年10月1日発売、42ndシングル。
かつて在籍していたビーイングの黄金期に多く見られた、やたらに長いサビのフレーズを冠したDEEN史上最長のタイトル。メンバーの実年齢とはあまりにかけ離れた若々しいラブソングだが、これが現在に至るまで続く最新の路線となる。
メジャー調のキャッチーなメロディーがバンドサウンドと共に炸裂する勢いのあるアップテンポナンバー。ライブにおいてはサビでタオルを振り回すだけ、というシンプルな振付ながらそれ故に一体感があり、あっという間にライブの定番ソングに定着。確かにこの曲のイントロが始まると気分が上がるものがある。
8.千回恋心!
作詞:池森秀一/作曲・編曲:田川伸治
2015年6月24日発売、43rdシングル。
翌月発売の15thアルバム「全開恋心!! 〜Missing You〜」からの先行シングルで、前作に引き続いての若々しい恋愛アップテンポ路線。どちらの曲も海に行く展開になる、という共通項がある(笑)。また、アルバムには前作共々ミックス違い(全開MIX)で収録された。
MVは妙にレトロなステージでDEENがスクールメイツを彷彿とさせる女子ダンサーと共に演奏を繰り広げる(振付を担当したのはスクールメイツの振付師らしい)カウントダウン音楽番組風。正装しながらバックで大人しめにドラムを叩くサポートメンバーのHIDEがツボである。また、タイトルに因んで1,000枚限定でアナログ盤もリリースされていた。まだ入手可能なようである。
9.ずっと伝えたかった I love you
作詞:池森秀一/作曲:田川伸治/編曲:くどうたけし
2015年10月7日発売、44thシングル。
「全開恋心!!」のリリースから間髪入れずの8月頭にリリースが告知されていた。「8cmのCD」「ポケベルで待ち合わせ」「出来たばかりのレインボーブリッジ」など90'sフレーズが登場するラブソングだが、サウンドは外部からアレンジャーを招いたEDM調で現代的。販売形態は90年代を意識してか、マキシシングル以外に8cmシングル盤も完全仕様限定盤でリリース。この戦略は少し話題になった。
カップリングも同じくEDM路線だったが、この後にこの系統の作品は登場せず、オリジナルアルバムへ収録されたのは2017年8月の17thアルバム「PARADE」の完全な新録リメイクバージョン。シングルバージョンの収録は本ベストが初。
10.記憶の影
作詞:池森秀一/作曲:山根公路/編曲:古井弘人
2016年11月2日発売、45thシングル。
初のバラードナイトと銘打たれた同月の武道館公演を前に、先行的にリリースされたバラードシングル。
ドラマチックなストリングスが情感を煽る、文字通りの泣きの定石ストリングスバラードで特に目新しさは感じられないが、池森の手による失恋をテーマにしたシングルは「Negai」以来とかなり久々だった。
オリジナルアルバム未収録で、本ベストでアルバム初収録となる。
11.遊びにいこう!
作詞:池森秀一・天野ひろゆき/作曲:山根公路/編曲:篠崎裕
45thシングル両A面、KYADEEN名義での楽曲。
キャイ〜ンの天野ひろゆきのラジオ番組に池森が出演した際に意気投合、天野がブラックビスケッツとして活動していた旧BMGの関係者との両者の縁もあり、DEEN×キャイ〜ン=KYADEENという五人組ユニットが誕生、という経緯をもって制作された楽曲。
池森と天野の共作詞&ツインボーカル、ウド鈴木はコーラスとエアサックスで参加(笑)。ジャケットはコミカルなノリだが、楽曲はネタに走ることなどなくタイトルをまさにテーマにした明るいアップテンポナンバーでなかなかの佳曲。「記憶の影」同様、アルバムには本ベストが初収録。
発売直後の武道館ライブでのアンコールや、インストアイベントなどでのお披露目があったが、その後のKYADEENとしての活動は特になし。DEENから田川が脱退した現在においての動向も不明である。
12.君へのパレード♪
作詞:池森秀一/作曲:山根公路/編曲:古井弘人
2017年5月24日発売、46thシングル。
デビュー25周年を前にして、5年ぶり通算3度目の全国47都道府県ツアーのテーマソング。表題曲+メンバーソロ曲を収録したtype-A/B/C盤の期間生産限定盤でリリースされ、「二十歳/雨の六本木」同様通常盤は存在しない。
「47都道府県ツアーに向けてマリアージュのようなアルバムをまた作りたい」とこの年の冬のライブツアーで池森が発言していたが、この曲はリズム隊が打ち込みなものの、ストリングスプレイヤーを招くなどあくまでメンバー三人が中心+αの疑似バンド形態。重さがないので爽やかな聴き心地のトラベラーズソング。同コンセプトのアルバム「PARADE」には冒頭にストリングスを追加したアルバムバージョンで収録された。
13.ANOTHER LIFE
作詞:SHU/作曲・編曲:Kim Hyung Suk
2001年5月9日発売、池森の変名・SHUとしての唯一のシングル曲。
バラードベスト以外にDEENとしての活動のなかった2001年にリリースされた池森の覆面ソロプロジェクトシングル。発売時は新人シンガーとして正体を伏せられていたが、BERGレーベルからの発売、カップリングのクレジットに田川の名前があるなど、完全に秘匿されていたわけではなさそうであった。
当時ブレイクした平井堅のような裏声を駆使した池森の趣味全開と思われる打ち込みR&Bバラード。この時期DEENでも「Blue eyes」などそっち方面に寄せた楽曲も制作されていたが、結果的にこの路線はこの年限りであった。
なお、韓国映画「猟奇的な彼女」の主題歌(?)として全英語詞のDEENバージョン(アレンジは全く異なる)が同年に制作。2008年の「PERFECT SINGLES+」に収録される。ライブではDEENバージョンが2010年の武道館公演にて生演奏で、SHUバージョンは2004年末のカウントダウンライブに「SHU緊急来日?」という触れ込み(笑)で池森がオケをバックにそれぞれ披露されている。
14.Journey
作詞:池森秀一/作曲・編曲:山根公路
書き下ろしの新曲。本作発売当時の春の季節に向けての旅立ちソング、というよりも明確に「別れ」を描いた歌詞で、どう聴いても発売直後、25周年記念の武道館公演をもってDEENを脱退する田川に向けてのメッセージソングとしか思えない、訣別のバラード曲。
「行き先は変わるけれど そっと見守って欲しい」「ありがとう ただありがとう 君を忘れはしない」というフレーズが胸を打つ。この曲と共にDEENの長らく続いた三人体制は終わりを告げることに。先の武道館では披露されたらしいが、今後も演奏される機会はあるのだろうか。
(以下、後日更新予定のPREMIUM DISC編へ続きます)
全曲レビュー・disc 04編
1.coconuts feat.kokomo
作詞:池森秀一/作曲・編曲:山根公路
2010年7月14日発売、37thシングル。
ビーチボーイズのヒット曲「kokomo」のフレーズをイントロや間奏などに引用という形でフィーチャリングしたコラボレーションシングル。この年5月の武道館公演のダブルアンコールでサプライズ的に先行披露された。この時の演奏の模様はジロー・ラモがサビになると踊り出す
タイトル通りのトロピカルなサマーナンバー。夏全開の雰囲気にも関わらず、後年の秋の武道館公演、冬から春にかけてのツアーなどでも季節に関係なくフルで演奏される定番ナンバーの座を射止めている。また、サビでかなり複雑な振付が施されたのはこの曲が最初。この後定期的に増えていくDEEN振付ナンバーのプロトタイプと呼べるかも。2016年のサマーアルバム「バタフライ」では「kokomo」の要素を取り除いた「feat.butterfly」バージョンでリメイク。
2.Brand New Wing
作詞:池森秀一/作曲・編曲:田川伸治
2011年4月6日発売、38thシングル。
「LOVE FOREVER」以来16年ぶりとなる田川担当のA面作品。ここまでは山根がシングル表題曲を、田川がカップリング曲を手掛けるパターンが定石だったが、この曲以降は両者の作品がほぼイーブンで表題曲として採用されることになる。
2003年の「翼を風に乗せて」、2007年の「夢の蕾」と、4年周期で登場する春の旅立ちシングル第3弾(?)。今回はバラード系ではなく、軽快なバンドのリズムに乗せて高らかに旅立ちを歌うアップテンポ。MVやライブでは池森がダンサーを引き連れてダンスを繰り広げる。この際の振付を着ムービーにして公開し、同年の武道館公演で観客と一緒に踊る企画があったが、この曲は一緒に踊るには難しすぎる振付だったと思う(苦笑)。
3.心から君が好き 〜マリアージュ〜
作詞:樹林伸・池森秀一/作曲:田川伸治/編曲:DEEN
2012年6月27日発売、39thシングル。
元々は池森が単独で作詞を手掛けたラブソングであったが、発売に際し樹林伸(「金田一少年の事件簿」や「神の雫」の原作者の変名)との共作名義になり、サブタイトルが追加+ブライダルソングに書き直される、という異例の経緯を辿った作品。なお池森単独作詞の原曲は13thアルバム「マリアージュ」の初回盤のライブDVDの中で演奏されており、元の詞を知ることが可能。
この年のDEENのコンセプト、メンバー三人のみの音での作品「トライアングル・プロジェクト」の旗印的なバラード。といってもプログラミングやオーバーダビングを含めて「三人だけで作る」という意味なので、完全なアコースティック・アンプラグドな楽曲とは趣が異なる。この年の秋から冬にかけてスペシャルゲスト名義で参加した新旧ビーイング所属アーティストのライブツアー「BEING LEGEND」でこの曲を歌う姿には現役感があった。
4.二十歳
作詞:池森秀一/作曲・編曲:田川伸治
2013年8月7日発売、40thシングル。
同年3月にリリースされたオールタイム・ベスト「DEENAGE MEMORY」に続くデビュー20周年メモリアルシングルとして、両A面の「雨の六本木」と1、2曲目を逆にしたtype-A、type-Bの2種類で発売。各タイプの1曲目のカラオケとMV収録のDVDを同梱し、年内の期間限定生産として販売され、通常盤は存在しない。
20周年記念ということで歌詞の中に歴代のシングルタイトルが散りばめられているが、意外と曲本編にはそれほど登場せず、ラストのコーラスの部分で池森が10タイトルほどを連呼して締めくくる荒技(?)でフィニッシュを決めている。それ以外は普遍的なラブバラードという印象。
MVは中学生ぐらいの頃に知り合ったカップルが20年の時を経て結婚した現在の姿を描いており、DEENのシングルジャケットもリリース順にスクロールでカットインされる演出がある。この秋に開催された日本武道館2daysでは日本工学院専門学校ミュージックカレッジの二十歳・二十名のコーラス隊をバックに従えて披露された。
5.雨の六本木
作詞:湯川れい子/作曲:井上大輔/編曲:池田大介
40thシングル両A面曲。故人である井上大輔が遺した未発表曲に、日本の音楽界の大御所作詞家・湯川れい子が詞を書きおろして楽曲提供。特に両者に縁のないDEENがなぜこの曲を歌うことになったのは未だに不明なまま。編曲はビーイング所属の池田大介が久々に担当している。
ラテン系歌謡ナンバーはDEENの作品ではたまに登場するが、この曲の特徴は何と言っても歌詞。「君こそが俺のサンシャイン・オブ・マイ・ライフ」「金にまみれた日々に追われて夢が死んでゆく」など、池森なら絶対書かないようなフレーズの連発は衝撃的。楽曲自体はシリアスなのだが、マイケル富岡が登場してダンサーをただ眺めるだけのMV、ライブでは妙な振付でメンバー+αが踊るなど、ネタ楽曲的な雰囲気に。ビルボードライブ、武道館、全国ツアーで連続披露され定番曲になると思いきや、以降は全く演奏されなくなったのが意外であった。
6.もう泣かないで
作詞:池森秀一・川島だりあ/作曲:山根公路/編曲:古井弘人
2013年11月27日発売、41stシングル。
1999年から継続的にシリーズが制作されているドラマ「科捜研の女」主題歌として年内放送分までオンエアされていた。DEENの曲がドラマの主題歌に起用されるのは「哀しみの向こう側」以来。
「雨の六本木」に続くビーイング関係者(川島、古井)が楽曲制作に参加。刑事ドラマの主題歌を意識した歌詞も僅かながら感じられる。演奏時間は約3分半という短さだが、無駄のないシンプルなバラードの鑑のような曲だと思う。ライブでは発売一ヶ月半前の20周年記念の武道館公演2daysの2日目にて初披露。続く14thアルバム「CIRCLE」を引っ提げ、ホーン隊が帯同したツアーBreak18ではブラスパートは生で演奏された。
なお、本作より所属がアリオラジャパンからEpic Recordsに移動。SONY内部間でのレーベル移籍となった。
7.君が僕を忘れないように 僕が君をおぼえている
作詞:池森秀一/作曲・編曲:山根公路
2014年10月1日発売、42ndシングル。
かつて在籍していたビーイングの黄金期に多く見られた、やたらに長いサビのフレーズを冠したDEEN史上最長のタイトル。メンバーの実年齢とはあまりにかけ離れた若々しいラブソングだが、これが現在に至るまで続く最新の路線となる。
メジャー調のキャッチーなメロディーがバンドサウンドと共に炸裂する勢いのあるアップテンポナンバー。ライブにおいてはサビでタオルを振り回すだけ、というシンプルな振付ながらそれ故に一体感があり、あっという間にライブの定番ソングに定着。確かにこの曲のイントロが始まると気分が上がるものがある。
8.千回恋心!
作詞:池森秀一/作曲・編曲:田川伸治
2015年6月24日発売、43rdシングル。
翌月発売の15thアルバム「全開恋心!! 〜Missing You〜」からの先行シングルで、前作に引き続いての若々しい恋愛アップテンポ路線。どちらの曲も海に行く展開になる、という共通項がある(笑)。また、アルバムには前作共々ミックス違い(全開MIX)で収録された。
MVは妙にレトロなステージでDEENがスクールメイツを彷彿とさせる女子ダンサーと共に演奏を繰り広げる(振付を担当したのはスクールメイツの振付師らしい)カウントダウン音楽番組風。正装しながらバックで大人しめにドラムを叩くサポートメンバーのHIDEがツボである。また、タイトルに因んで1,000枚限定でアナログ盤もリリースされていた。まだ入手可能なようである。
9.ずっと伝えたかった I love you
作詞:池森秀一/作曲:田川伸治/編曲:くどうたけし
2015年10月7日発売、44thシングル。
「全開恋心!!」のリリースから間髪入れずの8月頭にリリースが告知されていた。「8cmのCD」「ポケベルで待ち合わせ」「出来たばかりのレインボーブリッジ」など90'sフレーズが登場するラブソングだが、サウンドは外部からアレンジャーを招いたEDM調で現代的。販売形態は90年代を意識してか、マキシシングル以外に8cmシングル盤も完全仕様限定盤でリリース。この戦略は少し話題になった。
カップリングも同じくEDM路線だったが、この後にこの系統の作品は登場せず、オリジナルアルバムへ収録されたのは2017年8月の17thアルバム「PARADE」の完全な新録リメイクバージョン。シングルバージョンの収録は本ベストが初。
10.記憶の影
作詞:池森秀一/作曲:山根公路/編曲:古井弘人
2016年11月2日発売、45thシングル。
初のバラードナイトと銘打たれた同月の武道館公演を前に、先行的にリリースされたバラードシングル。
ドラマチックなストリングスが情感を煽る、文字通りの泣きの定石ストリングスバラードで特に目新しさは感じられないが、池森の手による失恋をテーマにしたシングルは「Negai」以来とかなり久々だった。
オリジナルアルバム未収録で、本ベストでアルバム初収録となる。
11.遊びにいこう!
作詞:池森秀一・天野ひろゆき/作曲:山根公路/編曲:篠崎裕
45thシングル両A面、KYADEEN名義での楽曲。
キャイ〜ンの天野ひろゆきのラジオ番組に池森が出演した際に意気投合、天野がブラックビスケッツとして活動していた旧BMGの関係者との両者の縁もあり、DEEN×キャイ〜ン=KYADEENという五人組ユニットが誕生、という経緯をもって制作された楽曲。
池森と天野の共作詞&ツインボーカル、ウド鈴木はコーラスとエアサックスで参加(笑)。ジャケットはコミカルなノリだが、楽曲はネタに走ることなどなくタイトルをまさにテーマにした明るいアップテンポナンバーでなかなかの佳曲。「記憶の影」同様、アルバムには本ベストが初収録。
発売直後の武道館ライブでのアンコールや、インストアイベントなどでのお披露目があったが、その後のKYADEENとしての活動は特になし。DEENから田川が脱退した現在においての動向も不明である。
12.君へのパレード♪
作詞:池森秀一/作曲:山根公路/編曲:古井弘人
2017年5月24日発売、46thシングル。
デビュー25周年を前にして、5年ぶり通算3度目の全国47都道府県ツアーのテーマソング。表題曲+メンバーソロ曲を収録したtype-A/B/C盤の期間生産限定盤でリリースされ、「二十歳/雨の六本木」同様通常盤は存在しない。
「47都道府県ツアーに向けてマリアージュのようなアルバムをまた作りたい」とこの年の冬のライブツアーで池森が発言していたが、この曲はリズム隊が打ち込みなものの、ストリングスプレイヤーを招くなどあくまでメンバー三人が中心+αの疑似バンド形態。重さがないので爽やかな聴き心地のトラベラーズソング。同コンセプトのアルバム「PARADE」には冒頭にストリングスを追加したアルバムバージョンで収録された。
13.ANOTHER LIFE
作詞:SHU/作曲・編曲:Kim Hyung Suk
2001年5月9日発売、池森の変名・SHUとしての唯一のシングル曲。
バラードベスト以外にDEENとしての活動のなかった2001年にリリースされた池森の覆面ソロプロジェクトシングル。発売時は新人シンガーとして正体を伏せられていたが、BERGレーベルからの発売、カップリングのクレジットに田川の名前があるなど、完全に秘匿されていたわけではなさそうであった。
当時ブレイクした平井堅のような裏声を駆使した池森の趣味全開と思われる打ち込みR&Bバラード。この時期DEENでも「Blue eyes」などそっち方面に寄せた楽曲も制作されていたが、結果的にこの路線はこの年限りであった。
なお、韓国映画「猟奇的な彼女」の主題歌(?)として全英語詞のDEENバージョン(アレンジは全く異なる)が同年に制作。2008年の「PERFECT SINGLES+」に収録される。ライブではDEENバージョンが2010年の武道館公演にて生演奏で、SHUバージョンは2004年末のカウントダウンライブに「SHU緊急来日?」という触れ込み(笑)で池森がオケをバックにそれぞれ披露されている。
14.Journey
作詞:池森秀一/作曲・編曲:山根公路
書き下ろしの新曲。本作発売当時の春の季節に向けての旅立ちソング、というよりも明確に「別れ」を描いた歌詞で、どう聴いても発売直後、25周年記念の武道館公演をもってDEENを脱退する田川に向けてのメッセージソングとしか思えない、訣別のバラード曲。
「行き先は変わるけれど そっと見守って欲しい」「ありがとう ただありがとう 君を忘れはしない」というフレーズが胸を打つ。この曲と共にDEENの長らく続いた三人体制は終わりを告げることに。先の武道館では披露されたらしいが、今後も演奏される機会はあるのだろうか。
(以下、後日更新予定のPREMIUM DISC編へ続きます)
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