
オールタイムベストや企画ベストを挟み、オリジナルアルバムは実に13年振り。その間、玉城千春・金城綾乃の両人とも結婚、妊娠、出産、子育てなどの合間にシングルリリースやソロ活動などを行っていたものの、Kiroroとしての目立ったリリースもなく、正直言って世間一般的には「あの人は今」的な立ち位置だったのは否めない2010年代以降の彼女達ですが、今年でメジャーデビュー20周年ということもあって、どうやら本格活動再開の模様。そんな中ようやく届けられたこのアルバム、既出シングル曲は収録されておらず、本編11曲は全て未発表の新曲。そして初のセルフプロデュース作品になっています。
本作のために開設されたスペシャルサイトでは1曲ごとの楽曲解説が詳しく記載。久し振りのオリジナルアルバムということもあって原点回帰か、メンバー以外の名前も入った共作もいくつかありますが、基本的には玉城がメインライター。金城のピアノを軸にギターやリズム隊を招き、バンド編成でもポップで緩やか(?)な作品世界はこれぞKiroroといったところ。アカペラスキャットに挑んだ「ルルリラ」はやや異色ながら、他には特に新規リスナー開拓を目指した野心的なナンバーはありませんが、旧来のファンからのニーズに応えたような安定感のある楽曲が揃っています。
歌詞はさすがにそれぞれ三児の母になっているということもあり、マネージャーに要請されて書いたという「ずっとこれからも」ぐらいが純粋なラブソングで、母から子への愛を伝える「ラララ」、亡き義父に捧げた「あなたに会えなくなって」、これぞ家族愛な「無敵なBig Smile」、それらを全てひっくるめたような「OK OK」など、40歳を迎えた彼女達の年齢に相応しい内容。パーソナルを公開しているのにここで妙に若々しい歌詞を歌われても…という感じですし(笑)、このリアルさこそが現在の彼女達の立ち位置と言えるのでしょう。
1曲目の「アニバーサリー」は歌詞に彼女達の過去の作品のタイトルが盛り込まれた記念碑的なナンバー。このアルバムのリード曲はこの曲ではないでしょうか。リスナーとしてもようやくの再会を果たせた本作、願わくばこれだけで終わらずKiroroの継続的な活動にも期待したいところです。
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