
「DEEN The Best FOREVER 〜Complete Singles+〜」
全曲レビュー・disc 02編
1.遠い空で
作詞:小松未歩/作曲:吉江一男・小松未歩/編曲:池田大介
1998年2月18日発売、14thシングル。
この年のDEENのシングル表題曲はすべて小松未歩の手によるものだが、この曲は彼女のキャリアの中でも珍しく作曲が共作名義。吉江一男は初期のDEENのアルバムにエグゼクティブ・プロデューサーとしてクレジットされていた人物である。
タイアップ先の日本テレコムのCMに合わせてか、遠距離恋愛をモチーフにしたと思われるほのぼのとした歌詞が特徴の佳曲。他に提供された小松楽曲の中と比べてインパクトが薄く、ライブでもまったくと言っていいほど披露されないため、B-Gram時代のシングルの中ではかなりマイナーな点は否めないか。リメイクも2007年になってようやく行われたが、その際はキーがかなり下がっている。
2.君さえいれば
作詞・作曲:小松未歩/編曲:池田大介
1998年5月27日発売、15thシングル。
同年3月に初のベスト「SINGLES+1」をリリース、次いで発売された本作がB-Gram RECORDS所属時の最後のシングルとなった。
アニメ「中華一番!」オープニングテーマ。この作品は未見だが、いわゆる料理対決漫画のアニメ化だそうで、「どんな勝負も勝ち続ける」「どんな時も守り抜く」などの力強いフレーズが並ぶ。この手の男らしい歌詞は池森はここまで手掛けてこなかったので当時は新鮮だった。MVは黒い衣装を基調としたメンバーが演奏し、長髪の池森が笑顔を見せずに真剣に歌う…という硬派なイメージ。この路線は結果的に1998年独自のものとなった。
ライブでは原曲、リメイク共々定番曲の扱いを受けているが、ライブ後半のメドレー枠に1コーラス程度で組み込まれることが圧倒的に多く、フルで演奏されたツアーは数えるほどしかない。
3.手ごたえのない愛
作詞・作曲:小松未歩/編曲:徳永暁人
1998年11月18日発売、16thシングル。
本作よりBMGファンハウス内に新設されたビーイング系レーベル「BERG」に移籍。開設当初は他にも所属アーティストは存在したが、最終的には実質DEENの専門レーベル状態となり、2003年に彼らがビーイングを離脱した時点で消滅した模様。
翌月発売の3rdアルバム「The DAY」からの先行シングルに相応しく、シャープでストイックなロック路線を展開。当時ビーイングの若手として作・編曲の実績を積んでいた徳永暁人の手によるハードなアレンジが光る。なお、徳永のDEENへの関与はこの曲のみで、続くアルバムのサウンドプロデュースはDEENが担当するなど、徐々に自作体制を整えつつある時期でもあった。
4.遠い遠い未来へ
作詞:AZUKI七/作曲:大野愛果/編曲:古井弘人
1999年3月25日発売、17thシングル。
作詞は後にGARNET CROWを古井と結成するAZUKI七、作曲は前年にコンポーザーデビューを果たした大野愛果が担当と、ビーイングの若手による提供作品。この時期はWANDSやFIELD OF VIEWなど実績のある中堅に若手が楽曲提供するという傾向があった。
ジャケット写真は「The DAY」路線を彷彿とさせるが、楽曲はハードな面が後退。かといってこの次のセルフプロデュース期とも異なる雰囲気と、過渡期ならではの作品。長年アルバム未収録だったが、2008年の15周年ベスト「PERFECT SINGLES+」でようやく初収録。
MVは同年のツアーBreak3の各会場へのメンバーの移動風景&ライブのワンシーンに加えてこの曲の演奏シーンを終始モノクロで撮影。この時点で既に池森は髪の毛を短く切っている。このツアー、映像収録が行われていそうなものだが未だに商品化はされていない。
5.JUST ONE
作詞・作曲:池森秀一/編曲:DEEN
1999年7月23日発売、18thシングル。
本楽曲よりメンバー自身によるセルフプロデュース体制に移行。前年はほとんど作曲に携わらなかった池森の自作曲単独クレジットされたシングル表題曲は初となる。シャープ製FAXのCMソング。
デビューから6年を過ぎてなおパブリックイメージの強い「DEEN=王道ラブバラード」に改めて取り組んだ渾身の一作。演奏もこれまで生か打ち込みか判別が難しかった楽器の音(特にドラム)も明確に「生っぽさ」が加わり、新たなDEENの第一歩に相応しい仕上がり。
翌年の4thアルバム「'need love」では、ライブツアー時に用いられた長めのストリングスイントロ+曲中に生のストリングスフレーズを追加した「-Break 4 Style-」で収録。このアレンジは横浜アリーナ公演のライブDVDとして映像にも残っている。発売直後に大々的にフィーチャーした反動か(?)以降のライブではまったく演奏されない超レア曲に。2015年の武道館公演のアコースティックコーナーで久々にフルで披露されたが、このイントロが演奏された直後の歓声の大きさは未だに忘れられない(笑)。
6.MY LOVE
作詞:池森秀一/作曲:山根公路・宇津本直紀/編曲:DEEN
1999年11月3日発売、19thシングル。
「JUST ONE」に続き王道バラードだが、アコギがメインの前作とは対照的に、ピアノの演奏を中心としてサビでバンドが盛り上がる構成。間奏でギターソロが入るが、アルバム「'need love」収録の際には改めて新規に録り直されている。2001年のバラードベスト「Ballads in Blue」でもアルバムテイクが採用されているが、それ以降のベストではシングルバージョンで収録されている。
フジ系のドラマ「風の行方」主題歌。いわゆる昼ドラタイアップにより年配層を中心に新たなファン層を開拓した…と言われているが、実際のところはどうなのだろうか。なお筆者はこの頃大学生であり、講義のない昼間に家に帰ってテレビをつけたらいきなり池森の歌声が流れてきて驚いた記憶がある(笑)。
発売直後を除くと、LIVE-JOYなどのツアーでは披露されないが、2004年夏の唯一の野外ライブ、同年末のカウントダウンライブ、そして初の武道館公演などの一日限りのスペシャルライブで演奏される確率が高い。その際は原キーで演奏される数少ない楽曲。
7.Christmas time
作詞:池森秀一/作曲:山根公路/編曲:DEEN・池田大介
1999年11月25日発売、コンセプトマキシシングル「Classics One WHITE」表題曲。
DEENのアナザーサイドを見せていくという「Classicsシリーズ」の第1弾。表題曲に加え同曲のインスト、カップリング曲、過去の楽曲のリメイク2曲を収録するという、ミニアルバム的なコンセプト作品である。
第1作はクリスマスを舞台にした壮大なバラード曲。宇津本直紀の在籍期間最後のリリース作品となったが、ドラムらしい音はシンバルぐらいしか聞こえず、完全にストリングスが主役という、確かにアナザーサイド的な一面を全面的に押し出している。
「永遠をあずけてくれ」同様、年末の時期にしか演奏される機会がないのはクリスマスソングの宿命(?)か。また「永遠〜」同様、アカペラバージョンも後に制作され、2002年の5thアルバム「pray」の初回盤ボーナストラックに収録されている。
8.Power of Love
作詞:池森秀一/作曲・編曲:DEEN
2000年4月19日発売、20thシングル。この作品より通常シングルもマキシ仕様に。
前年のバラード路線から一転しての明るいファンク調なパーティーチューン。MVもダンサーやエキストラを大量に動員して明るく楽しくカラフルな内容。シングルタイトル曲としてはインパクトは弱めだが、ライブでは盛り上げ楽曲として後半のメドレー枠で演奏される機会も多い。
なお、宇津本直紀がこの年の年明けに脱退を表明。ファンクラブの会報では正式に発表されたらしいが、インターネットもまだ完全普及していない当時にその情報を知ることは難しく、筆者はこのシングルのジャケットの表の池森、裏の山根と田川の写真を見て、そこで初めてDEENが三人になったことを知った思い出がある。
9.秋桜 〜more&more〜
作詞:池森秀一/作曲・編曲:DEEN
2000年9月13日発売、コンセプトマキシシングル「Classics Two SEPIA」表題曲。
「Classicsシリーズ」第2弾。秋をテーマにアコースティックギターをフィーチャー。田川伸治の技巧ソロが炸裂する「Solostuck」から続いて本編が始まる流れは同シリーズの中でも秀逸。
失恋を予感させるマイナー調のミディアムで、ドラムを中心として全体的に乾いたミックスが特徴。初のアルバム収録となった2007年の「DEEN The BEST クラシックス」の収録の際にリミックスされ、更に雰囲気が変わった。このアルバムテイクが後の20周年ベスト「DEENAGE MEMORY」、そして本作に収録されており、オリジナルバージョンは未だにアルバム未収録。
発売年のツアーBreak5の演奏と、2014年の武道館でのアコースティックコーナーでの披露が映像作品として残っている。
10.哀しみの向こう側
作詞:池森秀一/作曲:池森秀一・山根公路/編曲:DEEN
2000年11月15日発売、21stシングル。
珍しく池森・山根の共同作曲。「MY LOVE」に続いてのフジ系昼ドラ「幸福の明日」主題歌に起用。この2曲と「JUST ONE」と合わせてこの時期のバラード三大代表格とされる。宇津本が抜けた影響か、バンド感はあるもののドラムの存在感があまり強くない王道バラードといったところ。池森のみ出演し、雄大な大自然の中で熱唱するMVが制作された。
オリジナルアルバム未収録だが翌年のバラードベストでアルバム初収録。また、メンバー自身も気に入っているのか、基本的にはB-Gram期のリメイクが多い中、2012年リリースの12thアルバム「マリアージュ」のDISC-2「Triangle Cover Album」にてリメイクされたり、ライブでも演奏の機会が多い。
11.見上げてごらん夜の星を feat.ダイアナ湯川
作詞:永六輔/作曲:いずみたく/編曲:DEEN・時乗浩一郎
2002年1月30日発売、22ndシングル。
バラードベスト以外は池森(SHU名義)、田川とソロ活動が続いた2001年から明けて久々のシングルは坂本九がオリジナル歌唱を務めた日本のスタンダードナンバーのカバー。同コンセプトのカバーアルバム「和音 〜Songs for Children〜」からの先行シングル。バイオリニスト・ダイアナ湯川をゲストに招くなど、ビーイング外の人脈と積極的に繋がりを持ち始めたのはこの頃から。
前年までと比べると明らかに池森の声質に変化が起こり、高音を張り上げず、中音域を主体とした歌唱法に変化。従来のシャープさから丸みのある歌声になったが、この時は「カバー曲だから優しく歌っているんだな」という程度の認識であった。
12.夢で逢えたら feat.原田知世
作詞・作曲:大滝詠一/編曲:DEEN
2002年5月22日発売、23rdシングル。
「和音 〜Songs for Children〜」からのリカットシングル。既出アルバムからリカットされたシングルはDEEN史上現在のところこの曲が唯一。
本ベストのクレジットでは「feat.原田知世」だが、アルバムでは「featuring 原田知世」、シングルカットに際しては「DEEN&原田知世」と、表記に揺れがある。とはいっても演奏やパート割りはそのまま、ミックス変更のみ行われた模様。この変更が微妙すぎてどちらがどのバージョンなのか筆者は未だにはっきりと分からない(苦笑)。
男女のデュエットソングということで池森・原田は対等にパートを分けて歌っている。DEENでは見られないオクターブ下のユニゾンや下ハモなど、池森のアナザーサイド(?)が垣間見られる楽曲。
13.Birthday eve 〜誰よりも早い愛の歌〜
作詞:池森秀一/作曲:山根公路/編曲:DEEN・時乗浩一郎
2002年10月2日発売、24thシングル。
約2年振りのオリジナルシングル。Classicsシリーズを除くと意外にも初めて山根がシングル表題曲を単独で担当した作品でもある。ここから2004年末までの彼らは「DEEN's AOR」を掲げて活動することになる、その第1弾作品。この2年間でのほぼ全ての楽曲にドラムスに沼澤尚、本作ではピアニスト塩谷哲などの技巧派ミュージシャンを招いての演奏が魅力的で、新たなファンを獲得した時期でもあったと思う。
誕生日の前日を舞台にしたありそうでなかったラブソング。そのテーマを活かして(?)、デビュー20周年記念ツアーでもあったBreak18の千秋楽・2014年3月9日(=DEENデビュー21周年目イブ)にダブルアンコールとして久々にフルで演奏された。この模様は同年の洋楽カバーアルバム「君がいる夏 〜Everlasting Summer〜」の初回盤DVDに収録されている。
14.翼を風に乗せて 〜fly away〜
作詞:池森秀一/作曲:鈴木寛之/編曲:DEEN
2003年4月2日発売、25thシングル。
当初は第3弾となるClassicsシリーズ「Classics THREE SAKURA」として発売が告知されたが、発売一ヶ月ほど前に通常シングルとしてのリリースに変更された。その経緯からカップリングの「桜の下で逢いましょう」共々、春・別れ・旅立ちが共通のテーマになっている。
作曲は久々に外注だが、鈴木寛之はAOR期のDEENにシングル・アルバムを問わず楽曲提供を行っていた、この時期のみのレギュラー作曲家。シンプルなメロディーを優しく歌い上げる系のバラードである。エンハンスドCD仕様でデビュー10周年記念イベントへのネット抽選申込みの特典が付いていた効果か、「君がいない夏」以来のオリコンチャートTOP10入り(7位)を達成。
MVは妻を亡くした夫と小学生の娘による桜の季節を舞台にしたストーリー仕立て。池森はビルの屋上のような場所での歌唱シーンのみの登場だが、山根・田川は数秒ではあるがエキストラ的にストーリーに登場するので必見(?)。
(以下、後日更新予定のdisc 03編へ続きます)
全曲レビュー・disc 02編
1.遠い空で
作詞:小松未歩/作曲:吉江一男・小松未歩/編曲:池田大介
1998年2月18日発売、14thシングル。
この年のDEENのシングル表題曲はすべて小松未歩の手によるものだが、この曲は彼女のキャリアの中でも珍しく作曲が共作名義。吉江一男は初期のDEENのアルバムにエグゼクティブ・プロデューサーとしてクレジットされていた人物である。
タイアップ先の日本テレコムのCMに合わせてか、遠距離恋愛をモチーフにしたと思われるほのぼのとした歌詞が特徴の佳曲。他に提供された小松楽曲の中と比べてインパクトが薄く、ライブでもまったくと言っていいほど披露されないため、B-Gram時代のシングルの中ではかなりマイナーな点は否めないか。リメイクも2007年になってようやく行われたが、その際はキーがかなり下がっている。
2.君さえいれば
作詞・作曲:小松未歩/編曲:池田大介
1998年5月27日発売、15thシングル。
同年3月に初のベスト「SINGLES+1」をリリース、次いで発売された本作がB-Gram RECORDS所属時の最後のシングルとなった。
アニメ「中華一番!」オープニングテーマ。この作品は未見だが、いわゆる料理対決漫画のアニメ化だそうで、「どんな勝負も勝ち続ける」「どんな時も守り抜く」などの力強いフレーズが並ぶ。この手の男らしい歌詞は池森はここまで手掛けてこなかったので当時は新鮮だった。MVは黒い衣装を基調としたメンバーが演奏し、長髪の池森が笑顔を見せずに真剣に歌う…という硬派なイメージ。この路線は結果的に1998年独自のものとなった。
ライブでは原曲、リメイク共々定番曲の扱いを受けているが、ライブ後半のメドレー枠に1コーラス程度で組み込まれることが圧倒的に多く、フルで演奏されたツアーは数えるほどしかない。
3.手ごたえのない愛
作詞・作曲:小松未歩/編曲:徳永暁人
1998年11月18日発売、16thシングル。
本作よりBMGファンハウス内に新設されたビーイング系レーベル「BERG」に移籍。開設当初は他にも所属アーティストは存在したが、最終的には実質DEENの専門レーベル状態となり、2003年に彼らがビーイングを離脱した時点で消滅した模様。
翌月発売の3rdアルバム「The DAY」からの先行シングルに相応しく、シャープでストイックなロック路線を展開。当時ビーイングの若手として作・編曲の実績を積んでいた徳永暁人の手によるハードなアレンジが光る。なお、徳永のDEENへの関与はこの曲のみで、続くアルバムのサウンドプロデュースはDEENが担当するなど、徐々に自作体制を整えつつある時期でもあった。
4.遠い遠い未来へ
作詞:AZUKI七/作曲:大野愛果/編曲:古井弘人
1999年3月25日発売、17thシングル。
作詞は後にGARNET CROWを古井と結成するAZUKI七、作曲は前年にコンポーザーデビューを果たした大野愛果が担当と、ビーイングの若手による提供作品。この時期はWANDSやFIELD OF VIEWなど実績のある中堅に若手が楽曲提供するという傾向があった。
ジャケット写真は「The DAY」路線を彷彿とさせるが、楽曲はハードな面が後退。かといってこの次のセルフプロデュース期とも異なる雰囲気と、過渡期ならではの作品。長年アルバム未収録だったが、2008年の15周年ベスト「PERFECT SINGLES+」でようやく初収録。
MVは同年のツアーBreak3の各会場へのメンバーの移動風景&ライブのワンシーンに加えてこの曲の演奏シーンを終始モノクロで撮影。この時点で既に池森は髪の毛を短く切っている。このツアー、映像収録が行われていそうなものだが未だに商品化はされていない。
5.JUST ONE
作詞・作曲:池森秀一/編曲:DEEN
1999年7月23日発売、18thシングル。
本楽曲よりメンバー自身によるセルフプロデュース体制に移行。前年はほとんど作曲に携わらなかった池森の自作曲単独クレジットされたシングル表題曲は初となる。シャープ製FAXのCMソング。
デビューから6年を過ぎてなおパブリックイメージの強い「DEEN=王道ラブバラード」に改めて取り組んだ渾身の一作。演奏もこれまで生か打ち込みか判別が難しかった楽器の音(特にドラム)も明確に「生っぽさ」が加わり、新たなDEENの第一歩に相応しい仕上がり。
翌年の4thアルバム「'need love」では、ライブツアー時に用いられた長めのストリングスイントロ+曲中に生のストリングスフレーズを追加した「-Break 4 Style-」で収録。このアレンジは横浜アリーナ公演のライブDVDとして映像にも残っている。発売直後に大々的にフィーチャーした反動か(?)以降のライブではまったく演奏されない超レア曲に。2015年の武道館公演のアコースティックコーナーで久々にフルで披露されたが、このイントロが演奏された直後の歓声の大きさは未だに忘れられない(笑)。
6.MY LOVE
作詞:池森秀一/作曲:山根公路・宇津本直紀/編曲:DEEN
1999年11月3日発売、19thシングル。
「JUST ONE」に続き王道バラードだが、アコギがメインの前作とは対照的に、ピアノの演奏を中心としてサビでバンドが盛り上がる構成。間奏でギターソロが入るが、アルバム「'need love」収録の際には改めて新規に録り直されている。2001年のバラードベスト「Ballads in Blue」でもアルバムテイクが採用されているが、それ以降のベストではシングルバージョンで収録されている。
フジ系のドラマ「風の行方」主題歌。いわゆる昼ドラタイアップにより年配層を中心に新たなファン層を開拓した…と言われているが、実際のところはどうなのだろうか。なお筆者はこの頃大学生であり、講義のない昼間に家に帰ってテレビをつけたらいきなり池森の歌声が流れてきて驚いた記憶がある(笑)。
発売直後を除くと、LIVE-JOYなどのツアーでは披露されないが、2004年夏の唯一の野外ライブ、同年末のカウントダウンライブ、そして初の武道館公演などの一日限りのスペシャルライブで演奏される確率が高い。その際は原キーで演奏される数少ない楽曲。
7.Christmas time
作詞:池森秀一/作曲:山根公路/編曲:DEEN・池田大介
1999年11月25日発売、コンセプトマキシシングル「Classics One WHITE」表題曲。
DEENのアナザーサイドを見せていくという「Classicsシリーズ」の第1弾。表題曲に加え同曲のインスト、カップリング曲、過去の楽曲のリメイク2曲を収録するという、ミニアルバム的なコンセプト作品である。
第1作はクリスマスを舞台にした壮大なバラード曲。宇津本直紀の在籍期間最後のリリース作品となったが、ドラムらしい音はシンバルぐらいしか聞こえず、完全にストリングスが主役という、確かにアナザーサイド的な一面を全面的に押し出している。
「永遠をあずけてくれ」同様、年末の時期にしか演奏される機会がないのはクリスマスソングの宿命(?)か。また「永遠〜」同様、アカペラバージョンも後に制作され、2002年の5thアルバム「pray」の初回盤ボーナストラックに収録されている。
8.Power of Love
作詞:池森秀一/作曲・編曲:DEEN
2000年4月19日発売、20thシングル。この作品より通常シングルもマキシ仕様に。
前年のバラード路線から一転しての明るいファンク調なパーティーチューン。MVもダンサーやエキストラを大量に動員して明るく楽しくカラフルな内容。シングルタイトル曲としてはインパクトは弱めだが、ライブでは盛り上げ楽曲として後半のメドレー枠で演奏される機会も多い。
なお、宇津本直紀がこの年の年明けに脱退を表明。ファンクラブの会報では正式に発表されたらしいが、インターネットもまだ完全普及していない当時にその情報を知ることは難しく、筆者はこのシングルのジャケットの表の池森、裏の山根と田川の写真を見て、そこで初めてDEENが三人になったことを知った思い出がある。
9.秋桜 〜more&more〜
作詞:池森秀一/作曲・編曲:DEEN
2000年9月13日発売、コンセプトマキシシングル「Classics Two SEPIA」表題曲。
「Classicsシリーズ」第2弾。秋をテーマにアコースティックギターをフィーチャー。田川伸治の技巧ソロが炸裂する「Solostuck」から続いて本編が始まる流れは同シリーズの中でも秀逸。
失恋を予感させるマイナー調のミディアムで、ドラムを中心として全体的に乾いたミックスが特徴。初のアルバム収録となった2007年の「DEEN The BEST クラシックス」の収録の際にリミックスされ、更に雰囲気が変わった。このアルバムテイクが後の20周年ベスト「DEENAGE MEMORY」、そして本作に収録されており、オリジナルバージョンは未だにアルバム未収録。
発売年のツアーBreak5の演奏と、2014年の武道館でのアコースティックコーナーでの披露が映像作品として残っている。
10.哀しみの向こう側
作詞:池森秀一/作曲:池森秀一・山根公路/編曲:DEEN
2000年11月15日発売、21stシングル。
珍しく池森・山根の共同作曲。「MY LOVE」に続いてのフジ系昼ドラ「幸福の明日」主題歌に起用。この2曲と「JUST ONE」と合わせてこの時期のバラード三大代表格とされる。宇津本が抜けた影響か、バンド感はあるもののドラムの存在感があまり強くない王道バラードといったところ。池森のみ出演し、雄大な大自然の中で熱唱するMVが制作された。
オリジナルアルバム未収録だが翌年のバラードベストでアルバム初収録。また、メンバー自身も気に入っているのか、基本的にはB-Gram期のリメイクが多い中、2012年リリースの12thアルバム「マリアージュ」のDISC-2「Triangle Cover Album」にてリメイクされたり、ライブでも演奏の機会が多い。
11.見上げてごらん夜の星を feat.ダイアナ湯川
作詞:永六輔/作曲:いずみたく/編曲:DEEN・時乗浩一郎
2002年1月30日発売、22ndシングル。
バラードベスト以外は池森(SHU名義)、田川とソロ活動が続いた2001年から明けて久々のシングルは坂本九がオリジナル歌唱を務めた日本のスタンダードナンバーのカバー。同コンセプトのカバーアルバム「和音 〜Songs for Children〜」からの先行シングル。バイオリニスト・ダイアナ湯川をゲストに招くなど、ビーイング外の人脈と積極的に繋がりを持ち始めたのはこの頃から。
前年までと比べると明らかに池森の声質に変化が起こり、高音を張り上げず、中音域を主体とした歌唱法に変化。従来のシャープさから丸みのある歌声になったが、この時は「カバー曲だから優しく歌っているんだな」という程度の認識であった。
12.夢で逢えたら feat.原田知世
作詞・作曲:大滝詠一/編曲:DEEN
2002年5月22日発売、23rdシングル。
「和音 〜Songs for Children〜」からのリカットシングル。既出アルバムからリカットされたシングルはDEEN史上現在のところこの曲が唯一。
本ベストのクレジットでは「feat.原田知世」だが、アルバムでは「featuring 原田知世」、シングルカットに際しては「DEEN&原田知世」と、表記に揺れがある。とはいっても演奏やパート割りはそのまま、ミックス変更のみ行われた模様。この変更が微妙すぎてどちらがどのバージョンなのか筆者は未だにはっきりと分からない(苦笑)。
男女のデュエットソングということで池森・原田は対等にパートを分けて歌っている。DEENでは見られないオクターブ下のユニゾンや下ハモなど、池森のアナザーサイド(?)が垣間見られる楽曲。
13.Birthday eve 〜誰よりも早い愛の歌〜
作詞:池森秀一/作曲:山根公路/編曲:DEEN・時乗浩一郎
2002年10月2日発売、24thシングル。
約2年振りのオリジナルシングル。Classicsシリーズを除くと意外にも初めて山根がシングル表題曲を単独で担当した作品でもある。ここから2004年末までの彼らは「DEEN's AOR」を掲げて活動することになる、その第1弾作品。この2年間でのほぼ全ての楽曲にドラムスに沼澤尚、本作ではピアニスト塩谷哲などの技巧派ミュージシャンを招いての演奏が魅力的で、新たなファンを獲得した時期でもあったと思う。
誕生日の前日を舞台にしたありそうでなかったラブソング。そのテーマを活かして(?)、デビュー20周年記念ツアーでもあったBreak18の千秋楽・2014年3月9日(=DEENデビュー21周年目イブ)にダブルアンコールとして久々にフルで演奏された。この模様は同年の洋楽カバーアルバム「君がいる夏 〜Everlasting Summer〜」の初回盤DVDに収録されている。
14.翼を風に乗せて 〜fly away〜
作詞:池森秀一/作曲:鈴木寛之/編曲:DEEN
2003年4月2日発売、25thシングル。
当初は第3弾となるClassicsシリーズ「Classics THREE SAKURA」として発売が告知されたが、発売一ヶ月ほど前に通常シングルとしてのリリースに変更された。その経緯からカップリングの「桜の下で逢いましょう」共々、春・別れ・旅立ちが共通のテーマになっている。
作曲は久々に外注だが、鈴木寛之はAOR期のDEENにシングル・アルバムを問わず楽曲提供を行っていた、この時期のみのレギュラー作曲家。シンプルなメロディーを優しく歌い上げる系のバラードである。エンハンスドCD仕様でデビュー10周年記念イベントへのネット抽選申込みの特典が付いていた効果か、「君がいない夏」以来のオリコンチャートTOP10入り(7位)を達成。
MVは妻を亡くした夫と小学生の娘による桜の季節を舞台にしたストーリー仕立て。池森はビルの屋上のような場所での歌唱シーンのみの登場だが、山根・田川は数秒ではあるがエキストラ的にストーリーに登場するので必見(?)。
(以下、後日更新予定のdisc 03編へ続きます)
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