pandoras 2018年1月24日発売、小室哲哉と浅倉大介が新たに結成したユニット・PANDORAのデビューシングル。表題曲は「仮面ライダービルド」の主題歌ということで、通常盤マキシシングル、MV収録他のDVD付マキシシングルの他に玩具をセットにした数量限定生産盤も同時発売。

 小室と浅倉、かつての音楽事務所の先輩後輩関係でもある両者。共にプロデューサーとしての実績は申し分ないものの、筆者ぐらいの世代になると前者はTM NETWORK、後者はaccessのリーダーでありキーボーディスト、というプレイヤー的な活躍も記憶に焼き付いていたりするのでは。そんな二人が出会ってから約30年の付き合いを経て、正式には初のユニット結成というまさかの(?)展開を見せた昨年夏から約半年でリリースされた本作、表題曲の「Be The One」はフィリピン出身の女性シンガー・Beverlyを、カップリング曲の「proud of you」も仮面ライダー関連の女性4人組ユニットKAMEN RIDER GIRLSをボーカリストとしてフィーチャリング。小室も浅倉もボーカリストとしての経験はあるにはありますが(笑)、今回のところはサウンド面に絞ってのユニットのようです。

 収録曲は上記の2曲+通常盤のみ収録の両曲のショートバージョンということで実質は2曲。どちらの曲もクレジットは作詞・作曲・編曲:小室哲哉、浅倉大介とクレジットされ、どちらがどこまでを制作されたかは明らかにされていないのですが、独特な言い回しが目立つ歌詞の作詞は恐らく小室ではないかと。メロディーは特撮のテーマソングとしてお茶の間で流れることを意識したのかかなりキャッチーでどちらもサビの英語のフレーズは一発で覚えられそうなほど。そして完全なるエレクトロサウンドでのアレンジは浅倉っぽくもあり小室っぽくもあり…という大変抽象的な表現になりますが両者折衷といったところ。大物二人のコラボとなると、異なる音楽性のぶつかり合いから生まれる+αを、というのが通例ですが、この二人に関しては共通の音楽性から+αを引き出す方向のユニットなのではないかな、と。ハイトーンで攻めるボーカリスト達の声質ともマッチした楽曲だと思います。長尺の間奏などもなく、無駄のない適度な長さなのもいいです(笑)。

 「ボーカリスト、アート、さらにはテクノロジーとのコラボレーションによる新しいエンタテインメントが詰まっている。」と、歌詞カードに記されたPANDORAの紹介文。先日の小室哲哉の引退宣言で今後の活動がどうなるのかは分かりませんが、とりあえず今月発売のミニアルバムはチェックしてみよう、と思えるクオリティの好作品でした。