accesshm 2017年12月20日発売、access通算8枚目となるオリジナルアルバム。通常盤はシングル「Vertical Innocence」「永遠dive」「Knock Beautiful Smile」のアルバムバージョンを含む全11曲収録。初回生産限定盤にはアルバム収録曲「Inside me,Inside you」のライブバージョンを追加した全12曲+ライブ映像を収録したDVD同梱の2枚組。本レビューは通常盤となります。

 浅倉大介はプロデュース業、貴水博之は俳優としての活動を含むソロワークと並行して、accessとしてのシングルリリースやライブツアーは毎年欠かさず行っている彼らですが、オリジナルアルバムのリリースとなると実に5年振り。その前作は浅倉の個人レーベルからのリリースであることを考えると、メジャーレーベルからオリジナルアルバムをリリースすること自体が10年振りと、時代の流れに気が遠くなってしまうのですが(苦笑)、本作はインタビューによると本編は1曲目の「Cassini」のインストで始まり、10曲目の「Voyager」のインストまでで、歌詞ブックレットなどの記載にも10曲目までとそれ以降のトラックリストの間に「∞」マークを挟んで表記。要は11曲目以降は初回・通常どちらもボーナストラック扱いのようです。

 その本編、シングル曲に関しては「Vertical Innocence」は原型を崩さないリミックス、「Knock Beautiful Smile」はイントロ長尺のエクステンドバージョン。新曲にはタイトル曲「Heart Mining」に並んでリード曲の風格のある「Crack Boy」、彼らとしては珍しく生ベースを用いた純バラード「Inside me,Inside you」、アコースティックセッションをデジタル楽器に置き換えた風な「Friend Mining」といった小品まで、あくまでエレクトロというサウンドの軸を崩さずも、This is accessの範囲内で手広くアプローチしてみた楽曲が並びます。25周年ベストの時に書いた「偉大なるマンネリズムこそがaccess」、というのが筆者の持論(?)なのですが、もう少し詳細に語ると、浅倉の手掛けるデジタルサウンド、貴水の常に溌剌としたハイトーンボイスの組み合わせの枠内で色々と試みを行う姿勢こそがaccess、ということで、本作はまさにそんな筆者のニーズにドンピシャな佳作に仕上がっていました。

 ボーナストラックを含めてのコンパクトな演奏時間(通常盤で約45分)も聴きやすく、90年代のセールス全盛期を知るリスナーにも、各種ベストで彼らに興味を持ったライト層にも「その続き」として素直に楽しめるアルバムだと思います。