1993年3月10日、池森秀一(Vo)、山根公路(Key)の二人を中心にデビューしたDEEN。
田川伸治がギタリストとしてメンバーに加わったのは公式には翌年6月の5thシングル「瞳そらさないで」から。同楽曲のCDシングル裏ジャケで顔写真が掲載されるも、メンバーとして名前がクレジットされたのは9月のデビューアルバム「DEEN」が初出。
以降、現在に至るまでの約24年間、ソロ活動を並行して行っていた時期もありつつ、ギタリスト・作曲・編曲家としてDEENの屋台骨を支えてきた彼が、今年3月10日開催のデビュー25周年記念日本武道館ライブを最後にDEENを脱退するというニュースが飛び込んできました。
長年のDEENファンである筆者も驚いたこの突然の脱退宣言。今回のエントリーは緊急企画として、田川伸治がDEENに残した作曲作品(共作、バンド名義を含む)の中から、筆者のベスト15曲を選び、DEENの歴史を辿りながらレビューしてみました。
「続きを読む」からご閲覧ください。
田川伸治がギタリストとしてメンバーに加わったのは公式には翌年6月の5thシングル「瞳そらさないで」から。同楽曲のCDシングル裏ジャケで顔写真が掲載されるも、メンバーとして名前がクレジットされたのは9月のデビューアルバム「DEEN」が初出。
以降、現在に至るまでの約24年間、ソロ活動を並行して行っていた時期もありつつ、ギタリスト・作曲・編曲家としてDEENの屋台骨を支えてきた彼が、今年3月10日開催のデビュー25周年記念日本武道館ライブを最後にDEENを脱退するというニュースが飛び込んできました。
長年のDEENファンである筆者も驚いたこの突然の脱退宣言。今回のエントリーは緊急企画として、田川伸治がDEENに残した作曲作品(共作、バンド名義を含む)の中から、筆者のベスト15曲を選び、DEENの歴史を辿りながらレビューしてみました。
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Best of 田川伸治 -DEEN's Works-
※表記のない楽曲は全て作曲:田川伸治。
LOVE FOREVER

作詞:山本ゆり/編曲:葉山たけし
1995年12月11日発売、8thシングル。
デビューから外部提供者によるシングル曲のリリースが続いていたが、前作の「未来のために」でようやく初のメンバー完全自作が実現。続く本作は作詞は外部ながら、作曲は田川のコンポーザーとしてのデビュー曲となった。
ピアノメインのバラード調でAメロ、バンドインしてミディアムにテンポアップしてのAメロ→サビ→ギターソロの間奏→サビというシンプルな構成の失恋ナンバー。2005年のセルフカバーベスト「DEEN The BEST キセキ」では田川単独編曲名義で構成やアレンジを大きく変化させて収録された。
少年

作詞:池森秀一/作曲:山根公路・田川伸治/編曲:古井弘人
「LOVE FOREVER」の両A面曲にして、数少ない山根&田川の共作曲。大人になった主人公が「あいつ」と過ごした少年時代を回想する王道バラード。翌年リリースの2ndアルバム「I wish」でもラストを飾る重要なポジションに配置されている。
両A面にもかかわらず一時期はカップリング曲として扱われていたものの、初期のDEEN自作バラードの名曲であり、後に2回のセルフカバーバージョンも制作された。
さよなら

作詞:池森秀一/編曲:DEEN・池田大介
1998年12月16日発売、3rdアルバム「The DAY」収録曲。
鈴の音や多重コーラスなど、クリスマスの時期を意識したアレンジの中での悲しい別れ歌。90年代のDEENの自作体制は山根公路と宇津本直紀(Dr)の二人がメインになる傾向が強く、この時期の田川は寡作ながら耳に残る楽曲を手掛けていた印象があるが、本アルバム唯一の田川作品であるこの曲もそのひとつ。アルバムクレジットでギター以外にベースも担当しており、この曲で弾いている可能性も?
ひとりぼっちのAnniversary

作詞:池森秀一/編曲:DEEN
2000年5月24日発売、4thアルバム「'need love」収録曲。
バンド名義初のセルフプロデュースアルバム。2000年初頭に宇津本が脱退。それに伴ってか本作では田川は既出曲を含めて4曲を提供。DEEN王道メロディーを紡ぐ山根と共に、これまでのDEENになかった曲調の楽曲を多く手掛けた。
二人の記念日を祝うはずが相手がつかまらない…という主人公の焦りを描いたちょっとコミカル(?)なダンスナンバー。サビでのブラスとストリングスの掛け合い、間奏のピアノソロなどのアンサンブルも聴きどころ。なお、この辺りまでの時期の曲は後年のライブでは基本的にキー下げで歌われるのだが、この曲は歌いやすいのか常に原キーでの披露となっている。
蒼い戦士たち

作詞:池森秀一/編曲:DEEN
4thアルバム「'need love」収録曲。
共に青春を過ごした仲間達との日々を振り返るシンプルな音数でのバラードナンバー。クレジットによると池森のボーカル、山根のエレピ以外の楽器はすべて田川がプログラミングも含めて担当するという、後のTriangle Cover Versionのプロトタイプ的な面も今振り返ると感じられる。
秋桜(Solostuck)

作曲:DEEN/編曲:田川伸治
2000年9月13日発売、コンセプトマキシシングル「Classics Two SEPIA 秋桜 〜more & more〜」の冒頭を飾るインスト曲。
DEENのアナザーサイドを四季に沿ってテーマにしていくClassicsシリーズ第2弾で、この時のテーマは「秋」。2トラック目に収録された表題曲に繋ぐイントロのイントロ的な役割を果たすアコースティックギター一本での独奏。表題曲のサビのメロディーを取り入れ、枯葉の舞い散る風景を音で表した秀逸な演奏が堪能できる。ライブでの披露の際はほぼ「Solostuck」と「本編」が続けて演奏されるようだ。
大きな空 小さな僕 featuring 宮本文昭

作詞:池森秀一/作曲・編曲:DEEN
2002年3月6日発売、カバーアルバム「和音 〜songs for children〜」収録曲。
セルフカバーを含む邦楽カバーアルバムの中での唯一の新曲(DEEN名義)。当時所属のビーイング外からのミュージシャン達とのコラボレーションを全面的に展開したアルバムであり、この曲ではオーボエ奏者の宮本文昭が参加。ピアノ、アコギ、オーボエのシンプルな構成が「和」を重んじた詞曲にマッチしていた。なおこれをきっかけにしてか、宮本のアルバムにDEENが参加したり、宮本の娘であるバイオリン奏者の宮本笑里が2009年のDEENの10thアルバム「LOVERS CONCERTO」でフィーチャリングされるなど、両者には縁がある。
Sail away

作詞:池森秀一/編曲:田川伸治
2006年10月11日発売、8thアルバム「Diamonds」収録曲。
2002〜2004年のDEEN's AOR期の楽曲は外部提供が大半で田川をはじめメンバーの作曲は少なかったが、この年以降は一部の例外を除いてほぼメンバー自作曲となる。本アルバムのテーマは「最新型DEEN's ROCK」。この曲も肩で風を切る感じの(?)乾いたロックンロールナンバー。アルバム内では正直印象の薄い曲であったが、直後のライブツアーでの生演奏で完全に評価が一転。ライブで化ける曲。
Sunrise Sunset

作詞:池森秀一/編曲:田川伸治
2007年8月22日発売、コンセプトマキシシングル「Classics Four BLUE Smile Blue」収録曲。
Classicsシリーズの完結編でテーマは「夏」。主人公の今後の夢を彼女に聞かせるという、表題曲の後日談的な聴き方もできる楽曲。イントロやアウトロで奏でられる水面を連想させる透明感のあるギターの音が心地良い。以前にも書いたがこの曲の歌詞にあるような将来の話まで出てくる曲はこれ以降はほとんどなく、ひたすらに歌詞の世界が若返っていくのが不思議である。
明日へ続く道

作詞:池森秀一/編曲:田川伸治
2008年6月4日発売、ベストアルバム「DEEN PERFECT SINGLES+」収録曲。
デビュー15周年を記念しての2枚組オールタイム・シングルベスト用に書き下ろされた唯一の新曲。オリエンタルなイントロに導かれてこれまでの足跡、これからの道程に思いを馳せる、15周年を迎えたその先を見据えた歌詞が光る。「DEENのベストアルバムの新曲には外れなし」という持論を筆者は持っているのだが(笑)この曲はそれを体現した楽曲。直後の初日本武道館公演では演奏されず、ライブでの披露は同年年末にかけての全国ツアーまで待たなければならなかった。
難点をいえばこのアルバム全体に音に迫力がなく、この曲もその煽りを受けていること。何らかの機会にリマスターして欲しいものである。
セレナーデ

作詞:池森秀一/編曲:田川伸治
2009年12月2日発売、10thアルバム「LOVERS CONCERTO」収録曲。
全曲ラブソングのコンセプトアルバム。先行シングル「Negai」(山根作品)と双璧をなす、本作での失恋ソング二巨頭。比較的明るいノリの曲を多めに制作してきた田川作品では珍しい直球バラードで、最後まで前向きな結論が出ることなく悲しみに浸っている歌詞も池森にしては珍しい。
Brand New Wing

作詞:池森秀一/編曲:田川伸治
2011年4月6日発売、38thシングル。
「LOVE FOREVER」以来約16年ぶりのシングルA面タイトル曲を担当。「旅立ち」をテーマにした作品を春にリリースする…というのはDEENでは頻出なのだが、本作はブラスを加えた生演奏でのダンスサウンド、という点が新鮮。前年から年跨ぎで行われた全国ツアーではカウントダウンライブ以降の追加楽曲として先行披露されていた。
MVやライブでは数人のダンサーを引き連れて池森が踊る、というのが定型なのだが、発売直後の武道館ライブでの複雑な振付ムービーを配信して観客にもサビで踊ってもらう、という企画はさすがに難易度が高かった模様(苦笑)。
なお、本作以降も田川は「心から君が好き 〜マリアージュ〜」「二十歳」「千回恋心!」「ずっと伝えたかったI love you」と、山根とほぼ交互でシングルA面を担当するようになっていた。
ありのまま抱きしめよう

作詞:池森秀一/編曲:田川伸治
2014年10月1日発売、42ndシングル「君が僕を忘れないように 僕が君をおぼえている」カップリング曲。
デビュー20年を経過し、表題曲をはじめとしてメンバーの実年齢とは裏腹に初々しいアップテンポのラブソングが急増した時期の楽曲。イントロや間奏でのギターのカッティングやキャッチーなメロディーなどが他の恋愛系楽曲よりも頭ひとつ抜きん出ている印象。ライブ映えしそうな曲でもあるが演奏の機会はそこそこである。
アマルフィ

作詞:池森秀一/編曲:田川伸治
2016年6月1日発売、16thアルバム「バタフライ」収録曲。
「DEEN de SKA!」をキャッチコピーに、レコーディングにスカバンド・SKAFF-LINKSのメンバーを全面起用して作り上げられたアルバムの中の1曲。この曲にもトランペット、トロンボーン、アルトサックスの三管が参加しているが、曲調はスカではなくかつてのDEEN's AORを彷彿とさせる演奏。この時期では珍しい大人びた雰囲気を感じられたのが新鮮だった。
Swing in Love

作詞:池森秀一/編曲:田川伸治
2016年12月21日発売、c/w集「Another Side Memories 〜Precious Best II〜」収録曲。
2006年以降のカップリング曲で構成されたカップリングベスト第2弾の最後に収録された新曲。同年のシングル「記憶の影」の通常盤カップリング「Let's Show Time!」同様、田川がほぼ一人でプログラミングを手掛けたような打ち込みによるビッグバンド風アップテンポナンバー。この「一人バンド形態」が翌年8月のオリジナルアルバム「PARADE」に繋がっていった…のだろうか。
以上、DEEN史を振り返りながらの田川作品15選でした。
途中加入メンバーのギタリストとしてDEENに加入し、作曲、プログラミングを含めた編曲、シングル表題曲の担当、近年では曲によってはボーカルソロパートも一部ですが務めるようになるなど、年を経るごとにバンド内での重要度を増していった彼の存在感。特にライブではソロコーナーも含めてステージ映えのするギタープレイを見せ続けてくれていただけに、彼が去った後のDEENは制作・ライブを含めてどうなってしまうのか…と見当が付きません。
DEENのリリースとしては2月28日に通算4度目のオールタイムベスト「DEEN The Best FOREVER 〜Complete Singles+〜」をリリース。通常盤4枚組、初回生産限定盤は楽曲提供元のアーティストのセルフカバーディスクを加えた5枚組、さらにFC会員限定の完全生産限定プレミアム盤は通常盤の4枚+ニューアルバム「DEEN The LAST」(何というタイトルだ…)の5枚組という3形態での発売。FCに入らないとニューアルバムが手に入らない…というのはDEEN史上最大の禁じ手ではないかと思いますが、安価で済ませられる月額300円+税のスマホ会員として入会できるというのがまだ救い(?)でしょうか。
そして3月10日の日本武道館公演。ここまで書いてきて何ですが筆者は日程が決まる前に用事が入ってしまって今回は参加できません。この日が三人のDEENで最後と言うならもっと先に言えよ!という正直な気持ちをここにちょっと記して(苦笑)、今回の緊急企画を締めさせていただきたいと思います。
※表記のない楽曲は全て作曲:田川伸治。
LOVE FOREVER

作詞:山本ゆり/編曲:葉山たけし
1995年12月11日発売、8thシングル。
デビューから外部提供者によるシングル曲のリリースが続いていたが、前作の「未来のために」でようやく初のメンバー完全自作が実現。続く本作は作詞は外部ながら、作曲は田川のコンポーザーとしてのデビュー曲となった。
ピアノメインのバラード調でAメロ、バンドインしてミディアムにテンポアップしてのAメロ→サビ→ギターソロの間奏→サビというシンプルな構成の失恋ナンバー。2005年のセルフカバーベスト「DEEN The BEST キセキ」では田川単独編曲名義で構成やアレンジを大きく変化させて収録された。
少年

作詞:池森秀一/作曲:山根公路・田川伸治/編曲:古井弘人
「LOVE FOREVER」の両A面曲にして、数少ない山根&田川の共作曲。大人になった主人公が「あいつ」と過ごした少年時代を回想する王道バラード。翌年リリースの2ndアルバム「I wish」でもラストを飾る重要なポジションに配置されている。
両A面にもかかわらず一時期はカップリング曲として扱われていたものの、初期のDEEN自作バラードの名曲であり、後に2回のセルフカバーバージョンも制作された。
さよなら

作詞:池森秀一/編曲:DEEN・池田大介
1998年12月16日発売、3rdアルバム「The DAY」収録曲。
鈴の音や多重コーラスなど、クリスマスの時期を意識したアレンジの中での悲しい別れ歌。90年代のDEENの自作体制は山根公路と宇津本直紀(Dr)の二人がメインになる傾向が強く、この時期の田川は寡作ながら耳に残る楽曲を手掛けていた印象があるが、本アルバム唯一の田川作品であるこの曲もそのひとつ。アルバムクレジットでギター以外にベースも担当しており、この曲で弾いている可能性も?
ひとりぼっちのAnniversary

作詞:池森秀一/編曲:DEEN
2000年5月24日発売、4thアルバム「'need love」収録曲。
バンド名義初のセルフプロデュースアルバム。2000年初頭に宇津本が脱退。それに伴ってか本作では田川は既出曲を含めて4曲を提供。DEEN王道メロディーを紡ぐ山根と共に、これまでのDEENになかった曲調の楽曲を多く手掛けた。
二人の記念日を祝うはずが相手がつかまらない…という主人公の焦りを描いたちょっとコミカル(?)なダンスナンバー。サビでのブラスとストリングスの掛け合い、間奏のピアノソロなどのアンサンブルも聴きどころ。なお、この辺りまでの時期の曲は後年のライブでは基本的にキー下げで歌われるのだが、この曲は歌いやすいのか常に原キーでの披露となっている。
蒼い戦士たち

作詞:池森秀一/編曲:DEEN
4thアルバム「'need love」収録曲。
共に青春を過ごした仲間達との日々を振り返るシンプルな音数でのバラードナンバー。クレジットによると池森のボーカル、山根のエレピ以外の楽器はすべて田川がプログラミングも含めて担当するという、後のTriangle Cover Versionのプロトタイプ的な面も今振り返ると感じられる。
秋桜(Solostuck)

作曲:DEEN/編曲:田川伸治
2000年9月13日発売、コンセプトマキシシングル「Classics Two SEPIA 秋桜 〜more & more〜」の冒頭を飾るインスト曲。
DEENのアナザーサイドを四季に沿ってテーマにしていくClassicsシリーズ第2弾で、この時のテーマは「秋」。2トラック目に収録された表題曲に繋ぐイントロのイントロ的な役割を果たすアコースティックギター一本での独奏。表題曲のサビのメロディーを取り入れ、枯葉の舞い散る風景を音で表した秀逸な演奏が堪能できる。ライブでの披露の際はほぼ「Solostuck」と「本編」が続けて演奏されるようだ。
大きな空 小さな僕 featuring 宮本文昭

作詞:池森秀一/作曲・編曲:DEEN
2002年3月6日発売、カバーアルバム「和音 〜songs for children〜」収録曲。
セルフカバーを含む邦楽カバーアルバムの中での唯一の新曲(DEEN名義)。当時所属のビーイング外からのミュージシャン達とのコラボレーションを全面的に展開したアルバムであり、この曲ではオーボエ奏者の宮本文昭が参加。ピアノ、アコギ、オーボエのシンプルな構成が「和」を重んじた詞曲にマッチしていた。なおこれをきっかけにしてか、宮本のアルバムにDEENが参加したり、宮本の娘であるバイオリン奏者の宮本笑里が2009年のDEENの10thアルバム「LOVERS CONCERTO」でフィーチャリングされるなど、両者には縁がある。
Sail away

作詞:池森秀一/編曲:田川伸治
2006年10月11日発売、8thアルバム「Diamonds」収録曲。
2002〜2004年のDEEN's AOR期の楽曲は外部提供が大半で田川をはじめメンバーの作曲は少なかったが、この年以降は一部の例外を除いてほぼメンバー自作曲となる。本アルバムのテーマは「最新型DEEN's ROCK」。この曲も肩で風を切る感じの(?)乾いたロックンロールナンバー。アルバム内では正直印象の薄い曲であったが、直後のライブツアーでの生演奏で完全に評価が一転。ライブで化ける曲。
Sunrise Sunset

作詞:池森秀一/編曲:田川伸治
2007年8月22日発売、コンセプトマキシシングル「Classics Four BLUE Smile Blue」収録曲。
Classicsシリーズの完結編でテーマは「夏」。主人公の今後の夢を彼女に聞かせるという、表題曲の後日談的な聴き方もできる楽曲。イントロやアウトロで奏でられる水面を連想させる透明感のあるギターの音が心地良い。以前にも書いたがこの曲の歌詞にあるような将来の話まで出てくる曲はこれ以降はほとんどなく、ひたすらに歌詞の世界が若返っていくのが不思議である。
明日へ続く道

作詞:池森秀一/編曲:田川伸治
2008年6月4日発売、ベストアルバム「DEEN PERFECT SINGLES+」収録曲。
デビュー15周年を記念しての2枚組オールタイム・シングルベスト用に書き下ろされた唯一の新曲。オリエンタルなイントロに導かれてこれまでの足跡、これからの道程に思いを馳せる、15周年を迎えたその先を見据えた歌詞が光る。「DEENのベストアルバムの新曲には外れなし」という持論を筆者は持っているのだが(笑)この曲はそれを体現した楽曲。直後の初日本武道館公演では演奏されず、ライブでの披露は同年年末にかけての全国ツアーまで待たなければならなかった。
難点をいえばこのアルバム全体に音に迫力がなく、この曲もその煽りを受けていること。何らかの機会にリマスターして欲しいものである。
セレナーデ

作詞:池森秀一/編曲:田川伸治
2009年12月2日発売、10thアルバム「LOVERS CONCERTO」収録曲。
全曲ラブソングのコンセプトアルバム。先行シングル「Negai」(山根作品)と双璧をなす、本作での失恋ソング二巨頭。比較的明るいノリの曲を多めに制作してきた田川作品では珍しい直球バラードで、最後まで前向きな結論が出ることなく悲しみに浸っている歌詞も池森にしては珍しい。
Brand New Wing

作詞:池森秀一/編曲:田川伸治
2011年4月6日発売、38thシングル。
「LOVE FOREVER」以来約16年ぶりのシングルA面タイトル曲を担当。「旅立ち」をテーマにした作品を春にリリースする…というのはDEENでは頻出なのだが、本作はブラスを加えた生演奏でのダンスサウンド、という点が新鮮。前年から年跨ぎで行われた全国ツアーではカウントダウンライブ以降の追加楽曲として先行披露されていた。
MVやライブでは数人のダンサーを引き連れて池森が踊る、というのが定型なのだが、発売直後の武道館ライブでの複雑な振付ムービーを配信して観客にもサビで踊ってもらう、という企画はさすがに難易度が高かった模様(苦笑)。
なお、本作以降も田川は「心から君が好き 〜マリアージュ〜」「二十歳」「千回恋心!」「ずっと伝えたかったI love you」と、山根とほぼ交互でシングルA面を担当するようになっていた。
ありのまま抱きしめよう

作詞:池森秀一/編曲:田川伸治
2014年10月1日発売、42ndシングル「君が僕を忘れないように 僕が君をおぼえている」カップリング曲。
デビュー20年を経過し、表題曲をはじめとしてメンバーの実年齢とは裏腹に初々しいアップテンポのラブソングが急増した時期の楽曲。イントロや間奏でのギターのカッティングやキャッチーなメロディーなどが他の恋愛系楽曲よりも頭ひとつ抜きん出ている印象。ライブ映えしそうな曲でもあるが演奏の機会はそこそこである。
アマルフィ

作詞:池森秀一/編曲:田川伸治
2016年6月1日発売、16thアルバム「バタフライ」収録曲。
「DEEN de SKA!」をキャッチコピーに、レコーディングにスカバンド・SKAFF-LINKSのメンバーを全面起用して作り上げられたアルバムの中の1曲。この曲にもトランペット、トロンボーン、アルトサックスの三管が参加しているが、曲調はスカではなくかつてのDEEN's AORを彷彿とさせる演奏。この時期では珍しい大人びた雰囲気を感じられたのが新鮮だった。
Swing in Love

作詞:池森秀一/編曲:田川伸治
2016年12月21日発売、c/w集「Another Side Memories 〜Precious Best II〜」収録曲。
2006年以降のカップリング曲で構成されたカップリングベスト第2弾の最後に収録された新曲。同年のシングル「記憶の影」の通常盤カップリング「Let's Show Time!」同様、田川がほぼ一人でプログラミングを手掛けたような打ち込みによるビッグバンド風アップテンポナンバー。この「一人バンド形態」が翌年8月のオリジナルアルバム「PARADE」に繋がっていった…のだろうか。
以上、DEEN史を振り返りながらの田川作品15選でした。
途中加入メンバーのギタリストとしてDEENに加入し、作曲、プログラミングを含めた編曲、シングル表題曲の担当、近年では曲によってはボーカルソロパートも一部ですが務めるようになるなど、年を経るごとにバンド内での重要度を増していった彼の存在感。特にライブではソロコーナーも含めてステージ映えのするギタープレイを見せ続けてくれていただけに、彼が去った後のDEENは制作・ライブを含めてどうなってしまうのか…と見当が付きません。
DEENのリリースとしては2月28日に通算4度目のオールタイムベスト「DEEN The Best FOREVER 〜Complete Singles+〜」をリリース。通常盤4枚組、初回生産限定盤は楽曲提供元のアーティストのセルフカバーディスクを加えた5枚組、さらにFC会員限定の完全生産限定プレミアム盤は通常盤の4枚+ニューアルバム「DEEN The LAST」(何というタイトルだ…)の5枚組という3形態での発売。FCに入らないとニューアルバムが手に入らない…というのはDEEN史上最大の禁じ手ではないかと思いますが、安価で済ませられる月額300円+税のスマホ会員として入会できるというのがまだ救い(?)でしょうか。
そして3月10日の日本武道館公演。ここまで書いてきて何ですが筆者は日程が決まる前に用事が入ってしまって今回は参加できません。この日が三人のDEENで最後と言うならもっと先に言えよ!という正直な気持ちをここにちょっと記して(苦笑)、今回の緊急企画を締めさせていただきたいと思います。
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