goingmanatsu 2017年10月25日発売、GOING UNDER GROUND通算12枚目のオリジナルアルバム。両A面シングル「超新星」「よそもの」を含む全11曲収録。

 2015年以降の三人体制でのオリジナルとしては2作目。前作は古巣ビクターからメジャー流通での発売でしたが、本作は再びインディーズレーベルでのリリース。メンバー以外はドラムス、キーボードの外部メンバーを招いてレコーディングを行ったのは前作と同様ですが、前作で共同プロデュースを務めたキーボーディスト・橋口靖正が昨年末に急逝し、代わってオヤイヅカナルが参加(ドラムスの冨田政彦は変わらず参加)。プロデュースクレジットもGOING UNDER GROUND単独になるなど、大小の体制変化が起きています。

 本作の謳い文句の一部を引用すると、「これまでに通り過ぎていったいくつもの「過去の真夏」から教わってきたことをアルバム全編に落とし込んだ真夏の回顧録」とのこと。確かに「夏が僕らに嫉妬する」「Wasted Summer」など、まんま夏なタイトルがあったり、「よそもの」「ダニーボーイ」「君は誰ですか」のように過ぎ去った夏を想起させる歌詞が見受けられます。どれも真夏真っ只中!というわけではなく、それこそ彼らが度々口にしていた「脱・青春」を青い季節が去った今、俯瞰して振り返っているような風景描写だったりモノローグだったり。前作でようやく(?)訣別を果たした青春の祭りのあとをシニカルな視点を交えて綴られているのが全体像。

 一方でポップなメロディーやサウンドは比較的いつも通り。エレキギター中心のロック調を基本に、メンバーが脱退した現在となってもいかにもシンセ弾いています的な単音中心のキーボードや、手数の多いドラミングが聴こえてきたりするあたりは「ああ、今ゴーイング聴いてる」という感覚なのですが、かつての過去作のように新機軸を打ち出し路線を急激に変更して迷走せず、一回りした従来の「らしさ」を保ったまま次のステージに立っている、という現時点のスタンスは良いのではないかと。単に保守的なだけではなく、リード曲扱いでMVが作られ、ボーカルの松本素生が雨の中踊り狂う(笑)「あたらしい」のような生音+今風のエレクトロが融合したインパクトのある曲も中盤に登場するなどの攻めの姿勢も見受けられるあたりは好印象です。

 インディーズリリースにも関わらず、今回は発売後約一週間でレンタルが解禁になるという特例には筆者も仰天でした(苦笑)。三人になった「新生ゴーイング」を前作と合わせてかつてのファン層にも楽しんでもらえたら、と思います。