
前作、そして本作との間にリリースされたカバーアルバム同様、レコーディングはLow Down Roulettes(真心二人+ベース岡部晴彦+ドラムス伊藤大地)の四人で行われており、今回はゲストミュージシャンは入れずに完全に四人のみで作り上げられた一発録音モノだそうです。インタビューによると60年代ロックの雰囲気を出したい、ということで全曲モノラルでのミックスを行った、とのこと。
収録楽曲はミディアム〜バラードの曲がほとんどで、アップテンポの曲はカントリー調の「アイアンホース」ぐらい。前作でのロックバンドとしてのダイナミズムに溢れた「バンドやってるぜ!」的な演奏はほぼ皆無。曲調もYO-KINGがボーカルをとる朗々とした曲が大半を占めているので、前作路線とは一転して一気に地味な雰囲気になったわけですが、モノラル録音ということで入れる音を意図的に減らし、勢いよりもアンサンブル部分の熟成を意識した聴き心地は悪くないです。歌詞のほうは「光るひと」「黒い夜」のような抽象的なモノローグだったり、「雲の形が変化をした」「その分だけ死に近づいた」のような深い意味ありげな歌詞だったりと難解度がアップしていて、失礼ながら「真心ってこんな文学的だったっけ?」と思ってしまうほど(笑)。
総じて全体像としては内省的。パブリックイメージとはちょっと異なる真心が聴ける1枚。筆者としては桜井秀俊ボーカルによる鉄道をテーマにした「アイアンホース」のようなコミカル&アッパーな曲がもう1〜2曲あればエンタメ的なバランスが良かったかな、とも思いました。
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