comealong3 2017年8月3日発売、山下達郎のコンピレーション・アルバム「COME ALONG」シリーズ第3弾。全13曲収録。

 「COME ALONG」シリーズは1979年にレコードショップの店頭演奏用レコードとして企画された、山下達郎非公認のコンピレーション盤が始まり。その辺りの詳しい説明はこちらを参考していただくとして、本作は1984年の「COME ALONG II」から実に33年振りに同シリーズとしてリリースが決定。本作発売の際に過去2作品も公認作品としてリマスターされ、3枚同時に発売の運びとなった経緯があります。

 コンピ盤ならではの要素として、通常のベストアルバムとは異なり、過去2作品にも参加していた小林克也が三度DJとして登板。いきなり1曲目の「Keoki la Molokai Kid 偉大なサーファー伝説?!」から3分強の間、英語でまくしたて、次曲の「CHEER UP! THE SUMMER」へとノンストップへと繋いだり、前曲と次曲の間には曲紹介や雑談などを含めたアナウンス(これも全部英語)を入れたりと、CD1枚約一時間弱のラジオ番組風で構成。本ブログの過去ログの中でも紹介しているDEENの「ナツベスト」的な演出がユニークで、例えばカーステなどに搭載して夏のドライブを楽しむ…などのニーズ(?)に応えた内容となっています。

 選曲は1983年以降の楽曲からシングル曲を中心にした夏向けセレクション。「高気圧ガール」「ドーナツ・ソング」、近年では「僕らの夏の夢」などを始めとしてタイアップ曲が満載で、達郎ファンでなくてもどこかで耳にしたような曲が取り揃えられ、軽快なDJとも相俟って聴き心地は最高。また、サマーソングコンピといっても陽気なナンバーだけではなく、終わりゆく夏へ哀愁を漂わせたり、過ぎ去った遠い夏の思い出を振り返る…といったメロウな曲も選ばれ、「さよなら夏の日」「Juvenileのテーマ 〜瞳の中のRainbow〜」などには筆者も思わず感傷的な気分になってしまいました。

 なお、大半が2012年のオールタイム・ベスト「OPUS 〜ALL TIME BEST 1975-2012〜」にも収録(特にDisc.2)されており、同作を持っているとかなり被ってるな…という印象は否めないものの、「OPUS〜」にはないDJやノンストップ要素が加わり、なおかつCD1枚ということで、山下達郎に興味はあるけどいきなり重量級のベストアルバムは…と敬遠しているリスナー層への入り口(夏コンピなので「クリスマス・イブ」は入っていませんが)としては最適かも。本作を聴いてより興味が沸いた方は「OPUS〜」へと進んでもらうのはいかがでしょうか。