k2clastbest 2017年8月8日発売、米米CLUBの全シングルA面曲を時系列順に収録したオールタイム・ベストアルバム。全曲リマスター、Blu-spec 2CD規格の3枚組全38曲の通常盤、リミックスCD+MV他を収録したBlu-rayを加えた初回生産限定盤の2種での発売。今回のレビューは通常盤となります。

 SONY所属アーティストの宿命(?)か、公認・非公認に関わらず結構な数のベスト盤がリリースされている彼らですが、本作は再結成直前の2005年発売のリクエストベスト以来、12年振りのベストアルバム。シングル曲をリリース順に網羅するベストアルバムは、1997年の解散直後に「HARVEST」シリーズとして2作連作で発売されており、本作のDisc 1、Disc 2は完全にほぼ丸被りな内容。対して、再結成以降の全シングルを収録したDisc 3はベスト盤にはすべて初収録の楽曲。また、最新のデジタルシングル「コドモ ナ オトナ」「Uplight」は初CD化となります。

 まずDisc 1は1985年のデビュー曲「I・CAN・BE」から1991年の「ひとすじになれない」までの11曲。筆者が初めて彼らを知った曲は「浪漫飛行」で、それ以前の曲は後追いなのですが、この時期はファンク調のサウンドを基本にしながらも「加油」「KOME KOME WAR」「FUNK FUJIYAMA」など、これ普通シングルにするか?!というような(笑)攻めの姿勢の強さを改めて感じました。代表曲「Shake Hip!」やメロウ路線の「TIME STOP」なんかもこの時代の曲なのですが、前述の曲達のインパクトの前では結構かすみがちと言いますか(苦笑)。そういえば「Shake Hip!」は1990年に再録音されたシングルバージョンも存在するのですが、今回は(も?)収録されなかったのが残念。あのバージョンの方が馴染みがあるもので…。

 Disc 2は1992年の「君がいるだけで」から1997年の(当時)ラストシングル「Special Love」までの13曲。月9タイアップでトリプルミリオンに近い数字を叩き出した「君が〜」以降は、タイアップなどの関係もあるのかポップス路線へとシフト。「愛はふしぎさ」「俺色にそまれ」「手紙」「JUST MY FRIEND」など、筆者は完全にこのディスクがリアルタイムなので思い出深い曲が多いのですが、ミリオンヒットで大きく知名度を上げたバンドに、世間から求められる曲が変わってきたのか、Disc 1を経由して聴くと安定を狙った曲が多い印象は否めません。本作発売時のインタビューでもそれが遠因となって解散した(大意)と語られており、ファンの中でもこの時期の活動には否定的な意見をネットなどで散見したりしますが、良質のポップスを聴かせる、という点では3枚中一番優れたディスクだとも思います。

 再結成後のDisc 3は2006年の「WELL COME 2」から最新作「Uplight」までの14曲。復活シングル「WELL〜」を筆頭に、「E-ヨ」「MATA(C)TANA」「御利益」「080808」などの悪ノリもありの(笑)ファンク路線、「君を離さない」「ふりむかないで」などのバラード路線、「WE ARE MUSIC!」「恋のギャンブル」などのポップス路線と、彼らの見せる様々なジャンル毎のバランス配分が一番良いのがこの時期。腰を据えてちゃんと聴くのはほぼ初めての曲ばかりでしたが、Disc 1、2の良いところを凝縮させたとも思える、予想以上に良かったディスクでした。余談ですが、近作の「どんまい」やデジタルシングル2曲などには良い意味でクレイジーケンバンド的な雰囲気も感じられたのも、筆者の趣向的には好ポイントでした。

 「LAST BEST」というタイトルは一体…と思いましたが、前掲のインタビューによると、「LAST」と付ければ最後だと思ってみんな買ってくれるんじゃないか、という身も蓋もない(苦笑)理由でまあひと安心。期間限定復活の最後で永続活動継続を宣言した前歴もありますし、彼ららしいかな、と。32年間の活動を収めた大ボリュームのベストながら、1枚1枚はそれほどぎっちりでもないのでベテランのベストにしては結構聴きやすいと思います。米米入門リスナーの方にもお薦め。