clipsmapcomp 2016年12月28日発売、同年末に解散したSMAPがデビュー以来25年間にリリースしてきた全シングルタイトル曲の映像作品を収録したMV集。全63曲をDVDは3枚組、Blu-rayは2枚組で収録(収録内容は同一)。

 タイトルからも分かる通り、1997〜2001年の作品のMVを10曲収録した「Clip! Smap」(2002年発売)の超拡大完全版。デビュー曲「Can't Stop!! -LOVING-」から、結果的に最後のリリースとなった両A面シングル「Otherside」「愛が止まるまでは」までのシングル全53作品を時系列順に収録。全曲フルサイズというわけではなく、またMVが制作されなかった楽曲に関してはライブ映像や秘蔵映像を用いて補完、という形でのコンプリート映像盤となっています。

 コンプリートシングルスということで、本作の前週に発売されたベストアルバムでは抜け落ちてしまった六人時代のヒット曲なども勿論収録されているわけですが、「映像作品」という意味では初期のMVは今観ると結構キツい…(苦笑)。雨の中のデビューイベントをハンディカメラで延々と映した「Can't Stop!!〜」のようなまさかの蔵出し映像から始まり、如何にもアイドルを演じている「正義の味方はあてにならない」、ファンクラブイベントのダイジェストに音を流しただけの「ずっと忘れない」辺りは当時の雰囲気をうかがえる貴重な映像かも。新曲が出ればMステなどには毎回出ていたし、特に力を入れて映像作品を作る必要がなかった時代だったということでしょう。特に「KANSHAして」はサビだけ…というのは本作中最も不憫な扱い(笑)。そんな中「がんばりましょう」「しようよ」はワンフロア映像なのですが良い見栄え。この二作の出典はジャニーズの販売ビデオだったようで納得。

 森且行が脱退した辺りからCSなどでクリップ番組が増えてきた需要に応えて「青いイナズマ」「ダイナマイト」など、ショートバージョンでも「ちゃんとしたMV」をぼちぼち作り始めるようになり、1997年の「セロリ」を皮切りに基本フルサイズ、撮影用のセットや屋外でのロケ、「Fly」は演技するシーンもあるショートムービー風、ストーリー仕立ての「Triangle」など、ぐっとクオリティの上がった映像を見せ始め、DVDではDisc-3にあたる2007年以降になると曲によっては俳優・芸能人・一般人・CGなども駆使して時に楽しくカッコ良く、という円熟した完成度の高いMVが満載で見応えがありました。「この瞬間、きっと夢じゃない」「Joy!!」「シャレオツ」「ユーモアしちゃうよ」辺りがインパクトという意味で好映像。そんな中、最大ヒットの「世界に一つだけの花」はライブ映像での収録。この曲にMVが存在しないのが残念といえば残念ですかね。

 「Smap Vest」以降のシングル曲も完全に網羅されているということもあり、SMAPのシングル史を映像込みで一気に辿れる、という有難い作品。映像集ということでCDよりも敷居は高いですが、お薦めの「ベストMVアルバム」でした。