
デビュー10周年時の2013年にリリースされたオールタイム・ベストアルバム「POPMAN'S WORLD〜All Time Best 2003-2013〜」の兄弟盤的な本作は、デビューから当時の最新シングルまでのライブバージョンを除いたカップリング曲を網羅したいわゆる裏ベスト。一部の曲は既に「POPMAN'S WORLD」に収録されていたり、オリジナルアルバムにはバージョン違いで収録されていたりするものの、ほとんどの楽曲がアルバム初収録。加えて本作でしか聴けないボーナストラックとして「壊れかけのサイボーグ」「フレ!フレ!」がDISC 2の最後に収録、さらにメンバーによる全曲解説も小冊子として封入するなど、これまでの音源を全て所持しているコアなファンへも所持欲をくすぐるようなサービスが施されています。
封入ブックレットやインタビューでも「カップリングは実験の場」と公言している彼らの作品ということもあり、タイアップが付いていた「スフィアの羽根」「雫」「石コロDays」「ハナツ」などのカップリングにしてA面的な王道スタイルの数曲を除くと、ピアノ一本で歌うような曲あり、打ち込みを使用して淡泊な雰囲気を醸し出す曲あり、ストリングスをフィーチャーしたその名も「弦楽四重奏のための『ドーシターコースター』」、連作形式の「Aアングル」「Bアングル」、「青春騎士」「君曜日」…などなど、オリジナルアルバム未収録前提の試みがなされた曲が多数。総じてインパクト狙いを外した地味な曲が多く、彼らのベスト盤を聴いて興味を持った層への次の1枚としてはお薦めできないのですが、本人達の解説ではここで培った実験成果が以降のシングルやアルバム曲に反映されている、ということで、彼らの飽くなき音楽性の追求の積み重ねの土壌を一気に体験できる点では、(いささかマニアックではありますが)意義のある作品集であると思います。
初回生産限定盤付属のDISC 3は、シングル盤の3曲目として初期〜中期でほぼ毎回、後期もチラホラと収録されているインストゥルメンタル曲(+ポエトリーリーディングの「Human relations」)を完全収録。特に初期の「蕾のテーマ」「天白川を行く」「ピーカンブギ」など、ピアノとアコギだけでこれほどの表現ができる!という彼らの音楽性の懐の深さに魅了される作品がまとめて聴けるのは嬉しいポイント。ボーナスCDで終わらせずに通常で3枚組でリリースして欲しかったものです(笑)。
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